研究打ち合わせにおいてメモをすべきポイント

奇跡のヤン曰く

メモなんてとる必要はないんだ。忘れるということは、当人にとって重要でない、ということだ。世のなかには、いやでも憶えていることと、忘れてかまわないことしかない。だからメモなんていらない。――ヤン・ウェンリー
格言集 銀河英雄伝説 飛翔篇より)

ただし、何が重要で何が重要でないのかは、立場、状況、自分の持っている知識によって変わるもの。今の私が重要でないと思ったことも、1か月後の私なら重要だと思う可能性がある。よって、見習い期間中は、ヤンの格言を「自分にとって重要でないと思うことは忘れてしまうから、メモをとれ」と使うべき。なぜメモをとらない若手社員が増えているのかを読んで、メモの取り方がわからないからメモを取らないという話題がでていたので、学生が先輩や教員と研究打ち合わせをするときに何に注意をしてメモをとるべきかをちょっとメモ。

基本は、5W1Hをメモする。研究打ち合わせにおいてもっとも重要なのは「行動の提案」だと思われる。行動の提案についてメモすべき優先順位は以下のとおり。

  1. What:何をするのか
  2. Why:なぜ、それをするのか
  3. When:いつまでにそれをするのか(いつからそれを始めるのか)
  4. Where:どこでそれをするのか
  5. How:どのようにしてそれを行うのか
  6. Who:誰が(誰と)それを行うのか

絶対に忘れてはいけないのは「What:何をするのか」。これがインデックスキーなので、こいつを忘れてしまうと先輩や先生に確認すらできない。なので必ずメモしておかなければいけない。打ち合わせ中に「〜したほうが良いよ」「〜するべきだ」という行為の提案がでてきたならば、必ず「What」をメモすること。

次は「Why:なぜそれをするのか」。先生から割り当てられたテーマであっても、最終発表会や外部発表で説明するときや論文を書くときには、行った行為や結果の妥当性については自分で説明しなければならない。このとき、「なぜ、その行為を行ったのか」はとても重要なポイントとなる。また、研究なので、最終的な成果をどのようにしたら得られるかについて先輩や先生が絶対の確信を持っていない可能性がある。このとき、「Why:なぜそれをするのか」は、その指示や提案に従うべきかどうかの重要な判断基準となるし、次の行動をどうすればよいかの判断基準になる。また、研究中に自分が迷走しているかどうかは、今から行う行為の「Why:なぜそれをするのか」を良く検討することで(目的や期待する成果とどうつながるのか?を考えることで)判断することができる。「Why」は100%理解しなければいけない。これが理解できない限り、「How」なんてどうでもよい。

「When」「Where」は実験系の行為の提案の場合には超重要なのでメモしておく。実験設備や機器、試薬の利用には時空間的制限があるのが普通であり、こういうデータっぽいものこそ記憶しておくのがしんどい話なので、メモしておく。

「 How:どのようにしてそれを行うのか」については、指示や提案してくれないことも多いし、別のより良いやり方もあり得るので、どちらかというと優先順位は低い。自分がHowについて困っており、打ち合わせでこれについて相談したのであれば話は別。実験の場合は、決まったプロトコルに従う必要があるので、自分でメモするよりも、プロトコルのありかを教えてもらうのがベターだと思う。そして、そのプロトコルをみながら、より細かいHowを教えてもらうか、盗むかするのが良い。

「Who:誰が(誰と)それを行うのか」については、ほとんどの場合「自分」になるので優先度は低い。誰かに頼まなければならない場合はちゃんとメモしておいた方が良い。

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