あなたの人柄や言動を良く知らない人がいる場で、2ch用語やネット用語を連発するとどういう評価をうけるでしょう?そして、それはなぜでしょう?その理由と同じ理由で、卒論や発表会でも不用意に専門用語を使わないようにしてください。
- 専門用語は内輪にしか通じない言葉(ジャーゴン)であることを認識する
- 略語が意味する用語が山ほどあるのを認識する
- 造語はあなた以外の誰も知らない言葉であることを認識する
- 専門用語、略語、造語を読み手・聞き手が理解できるように提示すること
専門用語は内輪にしか通じない言葉(ジャーゴン)であることを認識する
みなさんは、仕事のメールなどで「要件定義ktkr」「仕様に関してはggrks」とか使わないと思います。なぜでしょう?くだけすぎていて不謹慎であるというのも理由ですが、理由の第一は意味が分からないからです。私はネットサーフィン(古い言葉ですみません)が好きなのでこれらの用語を知っていますが、多くの人は使いません。ちなみに始めて「ktkr」をみたときは「クトゥクル」と読んでおり「クトゥルー神話のことかな」と思っていました。
論文や研究の発表会の目的は、自分の研究成果を伝えることです。そういうお題目が嫌いであれば「あなたが卒業に値するほど真面目にとりくんだことを証明する」と言い換えましょう。どちらにせよ、読み手や聞き手に分かってもらわなければ話になりません。伝わらない言葉を使って、理解の負担を相手に課すのはやめましょう。
では、どうやって使うか?同じ学科・コースの同級生で自分の研究室に属しておらず、かつ、普段のおしゃべり・知的水準が具体的にイメージできる人間を1人思い浮かべてください。その人が理解できない専門用語については初出時にすべて説明しましょう。説明する時間がないならば使うのを止めましょう。
略語が意味する用語が山ほどあるのを認識する
BLって何の略でしょう?そうです、Base lineの略ですね。えっ?違うって。広辞苑で調べると BL = bill of lading:船荷証券の意味のようですね。えっ?これも違う?
アルファベットで表す言語の名詞を表す略語は理屈上無限に作ることができます。このため、略語をフルスペルの提示なしに使ってはいけません。多くの人は、「ATM」を automated teller machine 銀行の現金自動預入れ支払い機を表す略語と思っていますが、別の人にとっては、 antitank missile 対戦車ミサイルを表したりします。どんなに当たり前であると思っている略語であっても、必ず別の意味にとる人はいます。非同期コミュニケーションである文書によるコミュニケーションでは相手の誤解を随時といてあげることができません。誤解されないように書きましょう。
具体的には、初出時に必ずフルスペルを提示し、その上で「以後、〜略語〜と表す」とか「・・・(〜略語〜)」と略語の提示をしましょう。
造語はあなた以外の誰も知らない言葉であることを認識する
とっても当たり前のことですが、あなたが生み出した造語の意味はあなたしか知りません。そして、運が悪いことにあなたがよっぽど言語学的センスをもっていないかぎり、本当に新たな用語を作ることはできず、既存の用語を組み合わせて造語を生み出すことでしょう。その結果、造語の元となった用語の意味にひきづられて、あなたの造語は誤解されます。
たとえばこのエントリーに書いてある例のようになります。
造語についてどのように使うべきかは上述のエントリーをご覧ください。