勤務時間中の自己研鑽のための読書は避けるべき?

まとめ

私の考えは以下のとおり。

  • 研究や教育関連の自己研鑽を勤務時間中に行うのはOK。
    • 私にとっては研究や教育に関連する事柄は常に自己研鑽につながる。私が成長することは間接的に研究室の学生、授業を受ける学生にとってプラスになるので、大学や学生に不利益は与えていない。
  • ただし、上を言い訳にして本当に勤務をサボらないように注意する。
    • 大学や学生のためだけでなく、自分ががんばらなければ私の未来は全く無いので自分のためにそうする。
  • 勤務時間中にTwitterやブログに何かを書くのはOK。

--「李下に冠を正さず」の観点から言えば止めるべきだけど、勤務時間外にブログで情報発信なんてルールを決めたらブログ書く気がしない。Twitterも同上。楽しみ or 自分用メモが6割、研究者(むしろ大学教員?)からの情報発信の一貫としてが4割のつもりでやっているし、いくばくかは誰かの役にたっていそうなのでそうする。

  • 誤解されるのはしょうがない。
    • 誤解されるような行動とっている私が良くない。

いいわけしたくなった経緯

4日と5日に科学者・技術者のための英語論文の書き方―国際的に通用する論文を書く秘訣を読み、気になったところや今後の論文指導で使えそうなところを抜書きしてTwitterに投げていた。それが以下のTweet

なぜ、これをやろうとしたかというと、Twitterは書きながら考える人におすすめのツールでも描いたけれども、Twitterは140文字制限であること、また、簡単に文章を投稿できること(つまり、簡単に保存してくれる)から、自分の思いつきをまとめるのに便利な道具であると思っている。実際、卒論執筆時や論文発表時によくしてしまうミス(あるいは、注意しなければいけない点)を覚えておくのにとても威力を発した(Togetter:卒論あるある)。

また、先日の「卒論あるある」をまとめて日本語版チェックリストを作ったので、余勢を駆って英語版も作ってみようと思ったというのも理由。ちょうど、今月が締切の国際会議に投稿させようとしている学生が2名いるし、最終版の論文を投稿しなければいけない学生が1名と私自身もいるしというタイミングだった。

で、上記の抜書きに対して以下のコメントをもらった。

はてなブックマーク - 03月05日 のつぶやき - 発声練習

  • nishizuru きっと休暇をもらっていたのだと信じたい。 2010/03/06
  • tsugo-tsugo ↓確かに時刻歴のほうがはるかに気になる 2010/03/06
  • klon 内容とは関係ないけど、これ見ると午後の時間のほとんどをtwitterに費やしているように見えるんだけど、、、

また、Twitterでも以下のコメントをもらった。

http://d.hatena.ne.jp/next49/20100306/p1 ついったしすぎ

Twitterでのコメント1

2・3分の間隔で午後ずっとtweetし続ける大学教員。仕事とあまり関係ないように見えるんだけど。これが仕事なんだろう。 http://d.hatena.ne.jp/next49/20100306/p1

Twitterでのコメント2

これが、全く見たことのないIDからのコメントだったら「あら、遊んでいるようにみえたかしら?」というぐらいで気にとめなかったのだけど、コメントいただいたのがこのブログを比較的読んでくださっており、研究に関しても理解が深い方々だったので、ちょっとマズイと思った。「研究を知っている人たちからみても私の行為はアウト?」

他人の視点に立ってみると

確かに2〜3分に一回の頻度で、ひっきりなしにつぶやいているように見える。内容をみていただけば、どうやら論文の書き方関連のことを中心につぶやいていることがわかっていただけると思うが、根本的な疑問として「仕事中に論文の書き方の本なんて読んでいいの?ちゃんと勤務時間中は仕事して、プライベートの時間に読書すべきでは?」という疑問が浮かぶのはわかる。

確かに考えてみると事務の人や各種窓口の人が、勤務時間中に自分の能力アップにつながるとはいえ、読書をしていたら「今は仕事しろ!そんなもんは仕事が終わってから読め」と思わないでもない。

自分の視点に立ってみると

本当の本当に自分のためだけならば、本を抜書きして読む必要はない(少なくともあんなに大量に抜書きする必要はない)。学生が自分の論文を自己チェックするためのチェックリストやテクニカルライティングの授業を持ったときの準備として、本でのまとめられた記述が欲しかったというところ。自分のためだけの行為じゃないから、「それはプライベートでやれ」と言われるのには抵抗がある。

また、私が大学に雇われているのは良い研究成果を出すことが一つ、またそれと同じかそれ以上に学生をよく指導し、卒業時の学生の能力を入学時よりもUPさせるため。その観点から言えば、私が教育や研究の各種知識や能力を向上させるのは、大学が私を雇った理由と合致する。

「それは、他の職業でも一緒だろ?」という意見もあると思うけど、私もそう思う。本来は他の職業でも会社がその人を雇った理由に合致する能力向上については、勤務時間内に自己研鑽を図るのはOKなはずだけど、対人業務や締切の関係でそれが許されていないだけなのだと思う。大学教員は時間の使い方に関して自由度が高い(特に私は裁量労働制なのでより自由度が高い)。

なので、教育や研究に関する知識の増加や能力向上を図るのは勤務時間に行ってもOKというのが現時点での私の考え。ただし、もちろん、対人業務や各種締切は守るというのが大前提。
Twitterやブログを勤務時間に書くというのが悪いのでは?

「いや、自己研鑽のための本を読むことに疑問を呈しているのではなく『勤務時間中にTwitterやブログを勤務時間に書くというのが悪いのでは?』と思うだけだよ。」という意見もあると思う。これもまっとうな疑問。

これについては、良いか悪いかで言えば「悪い」ことだと思う。「じゃあ、Twitterやブログ書かなかったらいいじゃない」となるのだけど、私の正直な答えは「書きだす対象がTwitterやブログから研究室内SNSEvernoteに変わるだけなので、時間の使い方はあまり変わらない」というもの。私は書きながら考えるタイプなので。

どうせ、書くなら、共有しても良いことは共有しておけば誰かが役に立ててくれるかもしれない(もしかしたら、UnixLinuxコミュニティーの掲示板やMLなどを読んでいた経験からこういう発想なのかもしれないけど)。実際、Twitterやブログに書いておくと、今回いただいたコメントのように、私のエントリーやコメントに対していろいろと意見を頂けて刺激になる。なので、私はこれからも、私が不特定多数の人と共有してもかまわないと思った事柄に関しては、Twitterやブログで公開していくことにする。

「いや、だから、勤務時間内が問題なの!勤務時間内はメモを書き溜めて、勤務終わってからブログでもTwitterでもどこでも好きに公開したらよいでしょ?」と考えられると思うのだけど、正直それは面倒。そういう意見が主流になったら、Twitterもブログも止めて、研究室内だけで公開するTwitterもどきやブログを用意することにする。

まとめると、勤務時間中にTwitterやブログを書くのは良いことではないとは思っているけど、やめる気はないというのが私の現時点での考え。

じゃあ、ああいうコメントを書いた人が悪いと言うの?

こういう風に書いていくと「なるほど、next49はコメントした人たちを暗黙に非難しているんだな」と思う方もいらっしゃるだろうけど、そんな意図はない。途中で書いたとおり「仕事中に論文の書き方の本なんて読んでいいの?ちゃんと勤務時間中は仕事して、プライベートの時間に読書すべきでは?」や「勤務時間中にTwitterやブログを勤務時間に書くというのが悪いのでは?」と思うのは、ごく自然。ただ、何も言い訳しないと私が勤務もせずにサボっていると思われてしまうかもしれないので、このエントリーを書いただけ(もちろん、「あなたの考えは分かったけど、それはサボりだよ」という意見もあると思う)。

おわりに

klonさん、tsugo-tsugoさん、nishizuruさん、ikknさん、自分の考えを決める機会をくださりありがとうございました。

追記:引用の域を超えていないか?

わだいのたけひこのざっき:アウトプットの仕方に問題はないか?

引用の域を超えていないか?
ボスや,信頼のできる同僚の方は,一連のつぶやきをどう見られているのか?

正直、炎上を招くようなご質問で答えるのに躊躇してしまいますがお答えします。

出典を明記はしていますが、「引用は従」というルールからすると引用の域は超えていると思います(twitterのつぶやき全体が私の著作というように強弁すれば別ですが通らないでしょう)。著作権侵害であるか否かと言われれば著作権侵害でしょう。ただ、一方で、私があのように引用することであの本の売り上げが落ちるかどうかと言われれば否だと思っています(あの程度の引用では本の代替にならない)。なので、違法行為ですが訴えられないぐらいであると認識しています。

二つ目のご質問に対しては、ボスや同僚にはブログやTwitterのことを教えていないのでどうも思っていないと思います。ボスは私がブログをやっていること自体は知っていますが、どのブログが私のブログかは知りません。このブログの内容やTwitterの発言も実名であったならば変わっていると思います。

追記3

next49は裁量労働制で大学に雇用されています。

また、多くの大学が常勤の大学教員を裁量労働制で雇用しています。