科学リテラシーが何かはさておき、科学リテラシーが低いことで我々にとってどんな不利益があるかというと、専門家が正しいことをしようとしても我々自身がそれを阻んでしまうということが起こりえるというのが一番の不利益だと思う。世論のバックアップがなければ、専門家が科学的知見に基づいて正しいことをしようとしたとしてもそれを成し遂げることはできない。「自分が望んでいることなんだから、どんな不利益がでても良いじゃないか」という意見もあろうが、帰結を理解していて不利益をこうむるのと、利益があると誤解していて不利益をこうむるのでは話が違うと思うのが人情。
典型例が新型インフルエンザーへの対処、食品偽装問題への反応、BSE問題での反応など。
一方で、何を持って科学リテラシーとするかといえば、社会の状況や生活環境においてどの科学的事実を「常識」として知っておいたほうが便利であるかというのは異なると思う。なので、考え方を中心として構成し、その考え方を実感・納得できる事例をいくつか学べるようにしたほうが良いと思う。
ニセ科学批判批判で登場する科学への(科学者や専門家への)素朴な疑問が何を科学リテラシーの中心としておくかのヒントになるのではないかと思う。
- 「水からの伝言」を信じないでください
- 菊池誠:「水からの伝言」をめぐって(PDF)
- 音極道茶室:『「水からの伝言」を信じないでください』と言うのならやるべき事は一つだろう?
- 音極道茶室:誰かに何かを伝えるための「リテラシー」(水伝騒動の私的総括)
- kikulog:検証をめぐるあれこれ
- 山形大学理学部 物質生命化学科 天羽研究室:ニセ科学まとめ
- ニセ科学批判まとめ
あとは、BSEや食品偽装に関して世間や自分がどう反応したのかそれはなぜかというのも良い突破口に思える。
- 中西準子のホームページ
- 雑感485-2009.7.21「噂は本当だった−食品安全委員会委員の人事案についての国会不同意−」
- 雑感481-2009.6.30「偉い人の人事を私が潰したの? −世にも不思議な話−」
- 雑感475-2009.5.26「良い方向に軌道修正ができたリスク管理の例になるのではないだろうか−新型インフルエンザの厚労省対応−」
- 雑感473-2009.5.12「何時まで続くFlu Paranoia? −騒ぎ方で民度が分かる−」
- 雑感459-2009.1.5「安部英医師がなぜ無罪になったかが分かる−80歳の老医師を痛めつける理由があったのか−」
- 雑感440-2008.8.4「リスクテイクしている国は成長している−平成20年度経済財政白書−」
- 雑感432-2008.6.10「「リスト屋さん」をやめようよ! −REACH 予備登録開始に際して−」
- 雑感431-2008.6.3「石けん運動の経過について考える −びわ湖会議解散の報に接して−」
- 雑感422-2008.3.11「中国餃子と食品の安全 −問題は防疫−」
- 雑感374-2007.1.16「消費者も悪いというコメントについて」
- 雑感325-2005.11.22「BSE問題―そして、専門家がいなくなった」
- 雑感294-2005.3.1「頭を冷やそう!温暖化問題−不確実性の大きな事象にどう対処するか?−」:示唆的。
- 雑感293-2005.2.15「英国BSE感染牛の数についての報道は間違い」
- 雑感290-2005.1.26「予防原則」
- 雑感282-2004.11.24「漢方薬の問題 −高橋 晄正さんの訃報に接して−」
これを忘れちゃいかんというかこれをベースとするべきだ。
- AAAS - Project 2061 - 2061 Connections - Japanese SFAA:Science for All Americansの和訳
- Science Literacy for all Japanese
- wikipedia.ja:アメリカ科学振興協会