大学教職員や教育関連官公庁勤務ではない方が考える適切な国立大学のあるべき姿を見たいというエントリーを書いたし、ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Being between Neuroscience and Marketingで国内大学強化に向けた考察も始まっているので、以前、私のアメリカの大学に関する情報源であったアメリカの大学政策事情さんのアメリカの大学に関する過去エントリーを勝手にリストアップ。ちょっとだけ行うつもりが、全部のエントリーに目を通してしまった。教育関連ブログのRSSに登録しておこう。
まずは、アメリカの大学政策事情の筆者であるyanatakeさんの問題意識がかかれたエントリーを転載。
日本で高等教育を語る上で、必ず引き合いに出されるのがアメリカの大学です。「アメリカではこうである」というのは、別に間違ってもいなければ、悪いことでもありません。比較は大事ですし、他の国で行われていることというのはかなり参考になります。ただ、気をつけなければならないのは、間違った情報を伝えてはいけない、ということです。とくにやってはいけないことは、自分の主張したいことを正当化したいがために、イメージが誇張されたアメリカの大学を引き合いに出すことです。議論の主導権を握るために、こういった「嘘も方便」みたいな手段は有効かもしれませんが、これを続けていくと、「嘘も100回言えば真実になる」わけです。
基本的に、このブログでは、「等身大のアメリカ高等教育を伝える」ということをその主目的としています。アメリカの大学にもすごいところがあれば、改善すべき点もあるわけです。むしろ改善すべきことの方がよっぽど多いような気もします。
しかし、そういった負の部分も背負い、バランスをとりながらアメリカの大学は発展をしてきています。僕はアメリカの大学を今の地位に押し上げてきたのは、その問題を対処する姿勢であった、そう思います。そしてその姿勢こそが、僕がアメリカの大学に魅かれる一番の理由です。
アメリカの高等教育システムをそのまま日本に持ってくることには、そこまで意味はありません。実際に文化など基礎的条件が違うので、教育システムも変わってきて当然であり、むしろ変わらなければおかしいと思います。
日本には日本の問題があって、それは日本人にしか解決できません。
アメリカでは正解であっても、それが日本で正解とは限りません。
そのためには、アメリカの大学を雲の上の存在のようなまなざしで見るのではなく、それを地上に引き戻して、客観的に相対化して見る必要があると僕は思います。そうなったとき、初めてアメリカの大学というものが見えてくるし、その本質が見えてくると思います。そして、相対化して初めて自分自身というものがまともに見えるのではないか、僕はそう思うわけです。そしてそれがこのブログを続ける理由な訳です。
以下、勝手に分類&リストアップ
日本の教育に関する話
アメリカの高等教育概観
- アメリカ大学小史? アメリカの大学の始まり
- アメリカ大学史? −私立大学の始まり−
- アメリカ大学史 ? Dartmouth Case
- アメリカ大学史? 多様性の始まり
- アメリカ大学史? 番外編 アメリカの大学と日本の大学の決定的な違い
- アメリカ大学史? - Thomas Jeffesronの夢−
- これを紹介したくでこのエントリーを作った。教育機関は国の歴史と切り離せないので、そのまま真似れるところとそうでないところを見分けるためには成り立ちを知らないといけない。
- 基礎力について? −アメリカの中等教育の抱える問題−
- 基礎力? −大学編−
- 日本との学部教育の違いについて
- もっと勉強します
- アメリカ大学教育の苦悩? −あがり続ける学費−
- アメリカ大学教育の苦悩? −アメリカの労働市場−
- アメリカ大学教育の苦悩? −貧富の差と卒業率−
- 2005年時点でのアメリカの大学教育の現状と問題
- アメリカでの就職活動
- アメリカでの就職活動?
- アメリカでキャリアアップするために
- アメリカで大学院が機能する社会的理由
- 1が普通の就職活動について、2が大学教員の就職活動について。また、別の時のエントリーだけれども、アメリカの就職と大学の関わりを考える上でも重要と思うエントリーを列挙した。
- Affirmative Action
- Affirmative Action その2 −教授の定年−
- 教授の定年 −定年が撤廃されたその後−
- アメリカの教授と終身雇用制度
- 教授の話 −Post Tenure Review-
- 教職員採用の話からテニュアトラックの仕組み、テニュア獲得後の話まで
- General College ?
- General College 2 - Land Grant University-
- General College 3 -教育理念と実践−
- General College 4 -その終焉−
- General College 5 -時代が味方しなかった理由−
- 連邦政府とアメリカの大学
- 政府が個人データを欲しい訳
- 連邦政府と大学の関係について。また、どのようなデータを利用しているか(利用したいか)について
- Transferの文化
- 卒業率と大学間移動の話。
- Early Admission
- Early Admission 2: ハーバードに続いてプリンストンも
- 日本で言う推薦入試制度がハーバードとプリンストンで廃止されたという話。
- Lottery ScholarshipComments
- Lottery Scholarship 2
- yanatakeさんが行政の方へ転職された後のエントリー。議会とのやりとりが興味深い。また、議会の奨学金が当初の目的を達しているかどうかをチェックする姿勢がすごい。
- Funding Formula
- 運営交付金の申請についての話
大学の組織についての話
- SHEEO
- 今回取り上げるエントリー群執筆時のyanatakeさんの職場の話
- Full-time equivalent のすすめ −経費削減のために−
- どのようにデータを収集するのかの話。単位が重要。
- コミュニティカレッジの入試課の状況
- コミュニティカレッジに関する簡単な説明とその入試課の職員の話
- アメリカの職場環境 (教育機関編)
- yanatakeさんが見たアメリカ人の働き方
- Institutional Research が機能するために必要なこと
- Institutional Researchが機能するために
- 卒業生の実態
- 大学は世間からどう思われているのか
- 自分の仕事について
- カンファレンスに行ってきました
- Student Unit Record Update
- Measuring Up 2006
- Time to Degree
- 教育行政を進めるためにはデータが重要だという話。
- アメリカの政府系NPO
- NPOが実行部隊としてだけでなく、政策立案においてもさまざまなに重要な役割を果たしているという話。
- Policy Perspective
- 収集したデータをどのように解釈するかは立場や役割によって違うという話。新聞記者の方のつっこみ力に驚き。
- OECD
- Education at Glance 2006
- OECDデータの受け取り方について
- National Survey of Student Engagement
- 州立大学の費用対効果を測るための調査。NPOが中心となってはじめたとのこと。
アメリカの教育に関する状況
- 学費が上がる理由
- 学費上昇をくいとめるために −連邦政府の思惑−
- 大学と国の関係について
- 日本の大学と「民営化」
- 大学の学費が上がっているという現状から、大学と国の関係、日本の国立大学法人化の件に対するコメント
- Haravardの投資家たち
- 世界でも最大級の資本力を持つ大学Haravardの話。合わせて下の話もどうぞ。
- isologue:世界の大学のファイナンス力格差
- Developmental Education
- リメディアル教育の話。日本でも数年前から話題に。