杉田水脈議員は「いいね」しただけで名誉感情を侵害したとされたわけではない

伊藤詩織さんが杉田水脈議員を訴えていた裁判の高裁判決が出た。

digital.asahi.com

mainichi.jp

www.huffingtonpost.jp


この判決に対して、「ネット右翼」方向の典型的な受け取り方は以下のとおり。アゴラは本当にダメだなぁ。
agora-web.jp


地裁判決および高裁判決に従えば、備忘録代わりに「いいね」使っている人は心配しなくて大丈夫。でも、2022年10月現在、Twitterには「ブックマーク」があるから備忘録にはそちらを使うようにした方がよい。

判決では、対象ツイートの内容は、「さしたる根拠もなく控訴人(伊藤さん)が性被害を受けたとの事実を否定した上で、控訴人らを揶揄、中傷し、あるいは人格を貶めようとして侮辱するものであるから、控訴人らの名誉感情を侵害するものと認められる」と指摘。これらに「いいね」を押して賛意を示すことは、同様に名誉感情を侵害するものだとした。

「いいね」の回数が計25回に上ったことや、杉田議員が「いいね」以外にも伊藤さんに対して揶揄や批判などを繰り返していたことに触れ、「単なる故意にとどまらず、控訴人の名誉感情を害する意図をもって(「いいね」の)押下行為を行ったものと認められる」と判断した。

さらに、杉田議員が当時11万人のフォロワーがいたことや、国会議員であることから、「その発言には一般人とは容易に比較し得ない影響力がある」として、「いいね」を押した行為が「名誉感情を違法に侵害するもの」だと認定。「控訴人の精神的苦痛は軽視し得ないものというべき」だと結論づけた。

伊藤詩織さん中傷ツイートに「いいね」、杉田水脈議員に賠償命令 東京高裁 | ハフポスト NEWS より)

以下の複合的な判断で「いいね」を押したことが名誉感情を侵害する行為(の一環)と判断されている。

  1. 杉田議員が国会議員であること+多くのフォロワーがいたこと
  2. 「いいね」以外にも伊藤さんに対して揶揄や批判などを繰り返していたこと
  3. 「いいね」を意図的に、繰り返し、一定の目的をもって行っていたこと

こちらでも青木理さんのコメントで上記の点が補足されている。
www.joqr.co.jp

TBSラジオ Session 10/20 での荻原チキさんの解説。
anchor.fm


今回の高裁判決の反応で「『いいね』しただけで…」と述べている人は、ニュースを聞いていない or 記事を読んでいないか、誤った情報を拡散させようとしていると判断できる。

ポリタスTVでこの伊藤詩織さんが杉田水脈議員を訴えていた裁判を取り扱っている回

以下、ポリタスTVでこの伊藤詩織さんが杉田水脈議員を訴えていた裁判を取り扱っている回。以下、いくつかメンバーシップ限定動画が混じっています。

2022年10月21日:「いいね」裁判で杉田水脈議員が逆転敗訴 | 伊藤詩織さんと杉田水脈議員の名誉感情侵害をめぐる裁判で東京高裁が杉田議員の責任を認める判決。複雑な構図を解説(10/21)(公開動画)
youtu.be

2022年3月25日: 杉田水脈議員の「いいね」名誉感情侵害認められず|伊藤詩織さんが杉田水脈議員の「いいね」を巡って提訴した裁判で東京地裁は伊藤さんの請求を棄却。判決後の記者会見映像(3/25)
youtu.be

2021年11月30日:ジャーナリスト伊藤詩織によるはすみとしこ氏他2名に対する訴訟提起、判決言い渡し後記者会見 (2021年11月30日)
youtu.be

2020年8月21日:中傷ツイートに連続「いいね」 | 伊藤詩織氏が杉田水脈議員を名誉感情侵害で提訴した件について、提訴に至った背景を解説します(8/21)
youtu.be(公開動画)