実験でうまくないデータがでたときの対応

生粋の関東人ですが「なんでやねん!」

多くの研究者は、実験で自分の立てた仮説に都合の悪い結果が出てしまった場合、そのデータを捨て、仮説を正当に証明できるデータが得られるのを待つ。だが、小保方晴子氏はSTAP論文のDNA解析画像でそれをせず、切り張りで見栄えを良くするという安易な道を選んだ。

産経新聞:小保方氏「基礎的倫理観 身に付いていない」より)

適切な手順は以下のとおり。

  1. 実験条件および実験手順が計画どおりだったかどうかを確かめる(違っていたら再実験)
  2. 実験条件および実験手順が仮説を検証するのに適切なものであるかを確かめる(違っていたら計画しなおし、再実験)
  3. 実験条件および実験手順が計画どおりであるならば、予算と時間との兼ね合いのもと複数回実験を繰り返す
  4. 計画どおりの実験条件および実験手順で、複数回実験し、誤差などを検討の上で仮説を正当に証明できるデータであるかを確かめる
    1. 仮説を正当に証明できるデータであるならば、仮説を採用。次の実験および論文投稿へ
    2. 仮説に都合の悪いデータであるならば、仮説を捨てて、そのデータを説明する仮説を立てる
  5. 新たに立てた仮説が正当に証明できるデータを得るための実験を計画する
  6. 計画どおりに実験する(1に戻る)

科学的な事実と仮説が対立する時には事実を採用し、仮説を捨てるのが科学の基本。もちろん、「事実と思われる事象」が科学的な事実ではないということはありえる。だから、まずは科学的な事実であるかどうかを検討することが重要。

産経新聞が正しくコメントを掲載しているとするならば、たぶん「仮説を正当に証明できる」に「仮説が正しいかどうかを正当に判定できる」という意味を込めてしまっているのだと思う。とにかくこの記事は修正した方が良い。

追記2(2014/04/12):変更されたらしい

Togetter:小保方氏騒動についての蔵田伸雄・北海道大教授の談話のあれこれによると件の産経新聞の記事は訂正されたらしい。実際に見てみると以下のように訂正されている。最初の版よりも良くなっている。

多くの研究者は、苦労して実験で得たデータをそのまま使って、自分が立てた仮説の正当性を示そうとする。だが、小保方晴子氏はSTAP論文のDNA解析画像でそれをせず、切り張りで見栄えを良くするという安易な道を選んだ。

産経新聞:小保方氏「基礎的倫理観 身に付いていない」より)

冒頭にも引用しているけど訂正前はこちら。

多くの研究者は、実験で自分の立てた仮説に都合の悪い結果が出てしまった場合、そのデータを捨て、仮説を正当に証明できるデータが得られるのを待つ。だが、小保方晴子氏はSTAP論文のDNA解析画像でそれをせず、切り張りで見栄えを良くするという安易な道を選んだ。

産経新聞:小保方氏「基礎的倫理観 身に付いていない」より)

残念なのは訂正したという注釈が元記事にないこと。訂正したという注釈は産経新聞の報道に関する誠実さを表すだけなのに残念。「間違いがあってはいけない」という強い制約も捏造や不正を生む温床であるので、このような新聞社の振る舞いも今回のSTAP細胞の話の遠因になっていると思う。