ちゃんと議論するのは良いけど「個人情報保護法でいう個人情報でないから問題ない」は勘弁

30日に閣議決定の予定ということは、未公開情報なの?ということは、リークによる観測気球?

政府が経済対策に盛り込む規制改革案が明らかになった。企業や病院などが持つ個人情報を匿名化したうえで他の企業に売買できる新ルールをつくり、新商品の開発や新規ビジネスの創出を後押しする。
〜中略〜
保護を前提としている個人情報の売り買いに道を開くのは初めて。情報の出し手として患者データを保有する病院や、POSデータを持つスーパーなど流通業を想定している。

情報の出し手側が住所の一部や氏名、電話番号など個人を特定できる情報を削除したデータを作成。その情報を製造業などが買い取り、地域や年齢層に応じた新商品の開発や市場調査に生かせるようにする。

複数の機関や企業から個人情報を集めて加工・分析し、企業に情報提供する新たなビジネスが生まれる可能性もある。たとえば、製薬会社では「複数の機関から広く集めた個人情報があれば、副作用の軽減など製品の改善に生かせる」との声が出ている。

個人の間では情報流出への不安も強いとみられ、政府は2013年秋をメドに個人情報をどこまで隠せば「匿名化」とみなせるかを明確にしたルールをつくる方針だ。早ければ13年の臨時国会個人情報保護法改正案を提出する。
〜後略〜

「個人情報をどこまで隠せば「匿名化」とみなせるかを明確にしたルールをつくる方針」とのことなので、絶対反対と騒ぐ段階ではないのだけれども、ぜひ、「個人情報保護法でいう個人情報でないから問題ない」という論法で議論するのは勘弁して欲しい。個人情報保護をめぐる法体系の整備がWebの発展と普及および大規模データを利用する技術の発展の速度に追いついていないのが現状なので、「個人情報保護法でいう個人情報でないから問題ない」という考え方でルール化を進めると、病院などではとんでもないことになる。患者が遠方からたくさん来る病院などは良いが、基本的にある地域の人しか通わないような病院の場合、年齢と性別だけでかなり絞り込みできると思う。

金になる個人の行動履歴、属性情報が集まるところ(病院、鉄道・バスなどの交通機関、ガス・水道・電気会社、銀行、郵便局、教育機関、各種公共施設など)は、我々の社会生活において欠かせないところが多い。欠かせないのだから選択の余地は低く、行動履歴や属性情報を提供するのが嫌だから、それを使わないということは難しい。選択の自由があるところと選択の自由がないところ一緒くたにして考えてしまうと、予想外のトラブルが発生してしまうし、プライバシー侵害は回復が難しい傾向があるので慎重に扱った方が良いと思う。

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