研究テーマとゴールをはっきりさせることが大事

卒業研究・修士研究時のセルフケアをお忘れなくのコメント欄で以下のコメントをいただいた。

next49さん

はじめまして。
私は修士課程から外部の大学院に進学したもので、いまM1です。
いつも修論のことが心配になるとこの記事を読んでいます。

外部進学で内部よりも研究に費やせる時間が短いので、この半年間自分なりにがんばってきました。
やったことのない実験方法をたくさん試してみたり、就職のこともあるのでいつまでに終わらせるか自分なりに計画をたててみたり…。
ですが、そんな計画通りにはいかず、今のところ予備実験ばかりで肝心の本サンプルで試してみるところですら行けていません。
当然本実験のデータすらありません。
先生とはこまめにディスカッションしていますし、データがでるたびにその都度報告しています。なかなか実験がうまくいっていないことも知っていると思います。
思い悩み体調を崩して2週間ほど学校をやすみました。また、インターンシップも2週間ほどありましたので1か月ほど実験をしませんでした。
予定はつねにびっしりだったし、気持ちも体も休まるときは一度もありませんでした。
周囲からは土日くらいゆっくりしたらいいと言われますが、なんだか自分ががんばっていないような気がして心のそこから休養することができません。

修士はレポートのようにこまごました提出期限があるわけではないですし、ここまでやれば終わりという目安もないと思います。

これから就活も控えていますが、精神状態が不安定で本当につらいです。
学校のカウンセラーにも相談していますが、研究室のことをよくわかっていないので、研究室変えたら?とかテーマ変えたら?とかしか言われません。

どこまでがんばったら、どれくらいデータがあったら、どんな内容の修士論文がかけたら終了できるのでしょうか。

「どこまでがんばったら、どれくらいデータがあったら、どんな内容の修士論文がかけたら終了できるのでしょうか。」というご質問から理解するに、研究テーマが定まっていない(理解できていない)状態なのだと思います。指導教員とちゃんと相談できているのでしたら、指導教員に研究テーマ、解決すべき問題(判明させたい謎・現象)、その問題が解決できたと言うための結果(最良の場合と最悪の場合の両方を尋ねること)を確認してください。「自分で考えろ」と言われるかもしれませんが、その場合はどの文献(論文)から調べ始めたらよいのかを教えてもらってください。

どれくらいのデータが必要なのかは、何を主張したいのかによって変わります。どれくらいがんばればよいのかは、そのデータを得るために行うべき作業の量と難易度によって変わります。ですから、結局は、何を主張したいのかをはっきりさせないと自分の研究のゴールが見えないわけです。仮に、とにかく実験をやって良いデータがでたら論文にしてみるというスタンスでも、どういう結果を期待して実験しているのかがわかれば終わりが見えない(その終わりまでたどり着くかどうかは別の話)ことはなくなると思います。

また、研究そのもののゴールでなく、修了するためにどれくらいのことをやればよいのかの目安については分野問わず以下の通りだと思います。

  1. 確実に修了できる:その分野の査読付き論文として発表できる成果である
  2. ほぼほぼ修了できる:その分野の学術会議で発表できる成果である(ただし、指導教員からのその会議での発表の許可を得ていること)
  3. たぶん修了できる:自分の所属研究室の過去3年分の修士論文で記載されている先行研究と比べ、難易度および作業量的にほぼ同じ成果である
  4. たぶん修了できない:自分の所属研究室の過去3年分の修士論文で記載されている先行研究と比べ、難易度および作業量的に劣る成果である
  5. 修了できない:指導教員を除く学科・専攻・コースの教員に「研究成果」として説明できない成果である

まずは、自分の所属研究室の修了生の3年分の修士論文(高々15編ぐらいだと思います)を読んでみることをお勧めします。

実のところ「どこまでがんばったら、どれくらいデータがあったら、どんな内容の修士論文がかけたら終了できるのでしょうか。」という質問が出るということは研究とは何かがまだわかっていない証拠です。まだM1ですので余裕はあります。ぜひ、研究のやり方に関する本を2〜3冊読んでみてください。指導教員に本を勧めてもらうというのも良いと思います。

半年間実際に手を動かして実験を行うことができたのですし、就職のためにインターンシップに参加するぐらいアクティブにふるまえたのですから、自分の取り組んでいる研究テーマが理解できれば、ちゃんと修士研究を進められると思います。ぜひ、就職活動を始める前に、研究テーマとゴールをはっきりさせてみてください。