ブレーンライティングが失敗するとき

以前のエントリ「ブレインライティング」にせっかくリンクしていただいていたのにさっぱり反応していなかった。申し訳ない。

フラスコさん曰く、ブレーンライティングは以下の欠点があるとのこと。

医学教育のワークショップとやらで監禁させられて、おばちゃんたちと「学生の問題点」とか「なんちゃら教育の問題点」とかについて、ブレインストーミングからKJ法というお得意の流れでまとめさせられました。
〜中略〜
ライティングの悪いところは、頭わるい人がおこなうと、同じようなことばっかり書き連ねてしまうこと。しゃべっているときは、もう書きましたよ、で済むんですが、ライティングにしてしまうと、同じような意見のカードを何枚も何枚も……ふつうのKJ法なら、その他のカードとして離れ小島におくられるような意見が、なにか一端の意見のようになってしまうという数の暴力が生じます。
これ全部オマエの私見やんか!というものを、むりやりまとめるバカらしさ。嗚呼。

実は私も「**君の??というテーマの卒業研究を終えるためにしなければならない作業を列挙する」というテーマで、数回ブレーンライティングを試してみてわかったことがいくつかある。

一つ目は、テーマに関して知識と経験が足りないメンバーの出す意見は役に立たない(たいてい抽象的すぎる)ということ。上記のテーマでは卒業研究をやったことのない卒論生は、当然のことながら卒業研究の作業がさっぱり想定できず「ソフトウェアの開発、開発したソフトウェアのテスト、実験、実験結果分析、卒論執筆」程度の抽象的な作業しか書くことができなかった。この程度の抽象度では、実際に自分が何から手をつけてよいのか分からず意味がない。

二つ目は、テーマの選び方によってはアイデアがたいして出ない。あるいは出ても抽象度が高すぎてしまうこと。卒業研究のテーマがソフトウェアの開発である場合には、たいていの場合。「要求分析、機能定義、使用するツールアルゴリズムプログラミング言語、データベースなど)の決定、実装、テスト、実験」という段階を経る。この各工程は、前工程の結果によって次の作業が決まるため、要求分析が終わっていない段階では、具体的な作業を思い浮かべることができない。私がブレインライティングを行ったテーマ「**君の??というテーマの卒業研究を終えるためにしなければならない作業を列挙する」で、**君の卒業研究テーマがソフトウェア開発だったときには要求分析のやり方に関して具体的な作業内容を列挙することはできたが、その後の工程の作業は大雑把にしかかけなかった。

三つ目は、フラスコさんが指摘する点と同じ。同じことが何回も出てくること。ただし、これは最初に各人にアイデアの方向性を割り振ることで回避できた。「++君は、開発環境の整備に関して、**さんは実験に関して、**さんは…」といった具合に。一回り後はそれほど同じことの重複はなかった。

まとめると以下の場合はブレーンライティングはうまく使えないかもしれない。

  • メンバーのほとんどがテーマに関してある一定以上の知識や経験を有していない場合
  • テーマが複数の工程から成り立っており、それぞれの工程の中身は前工程の結果によって定まるようなものになっているのにも関わらず、その全工程についてアイデアを出さなければならない場合
  • 全員が同じアイデアを書いてしまう場合

ただ、3番目の場合はアイデアのまとめ方によっては問題にならないと思う(同じアイデアは一つのアイデアとして扱う)。

とにもかくにも、1番目の「メンバーのほとんどがテーマに関してある一定以上の知識や経験を有していない場合」は致命的。こんな状態になったら、ブレインライティング/ブレインストーミングは全く役にたたなそう。