さっきのエントリーを書くときにたまたま見つけたページ
国立大学法人は、運営費交付金、授業料収入、その他外部資金の導入により運営されています。法人が出来る業務は研究成果の普及であり、その業務を遂行する過程で対価を得ることは許されても、積極的に収益事業を営むことは出来ません。従って教育・研究をアッピールし外部資金の導入をし、教育研究の高度化を図ると共に、そのオーバーヘッドの一部を大学運営に当てることはあっても、基本的には運営費交付金と授業料収入で大学は運営されています。
人件費、人員について少し数値を示します。「平成17年度国立大学の財務」に纏められた国立大学法人の平成16年度の財務状況に因りますと、宮崎大学の16年度の人件費率(総事業費に対する人件費の占める割合)は59.3%(全体平均=65.4%)で、17年度は60.3%となり、1%増加しています。医療職種を除く(教育文化学部、工学部、農学部および医学部で診療に関わらない教職員)16年度の人件費率は82.0%(全体平均=74.9%)、ワースト10で、17年度は81.7%と、僅かの変動しかありません。年齢構成を含めて医療職種(病院の教・職員)が、現実的には人件費率の低下に貢献していることが分かると思います。企業では人件費率が50%を超えたら倒産するレベルと言われています。
大学設置基準に必要な専任教員数には規定があります。平成18年5月1日のデータでは、国立大学法人教員(本務者)1人あたりの大学院生を含む学生数は10.36人、私立大学のそれは22.84人で、国立大学は私学の4.5割強の学生数に過ぎません。宮崎大学のそれは8.88人で、全国平均を下回る数値です。専任事務職員に関する大学設置基準の規定はありませんが、国立大学の事務職員(本務者)のそれは11.22人(宮崎大学は10.74人)、私大は19.0人で、国立は私学の6割弱です。このことから大学経営の改善を図るには、先ず人件費の抑制、有効活用が最大の目標になることは、理解して貰えると思います。上記の数値から私学並みとまでは言いませんが、教員が教育、研究にもう一踏ん張りし、事務職員が業務の効率化を図れば、5%の人件費削減(宮崎大学では人員削減と言って良い)による影響は、消化、吸収できる範囲内と思います。
これは、どこの国立大学でも同じようなものだと思う。運営費交付金の削減を人員削減で対応するしかない(年間数千万円削減されているときに他の方法では対応できない)。大学の資本は「人間」にあるのに「人間」を減らしてどうするの。国立大学が私立大学に勝る点は明らかに「学生数に対して教員が多い」しかない。私学が卒論生を教員一人あたり20数人担当するのに大して、国立大学は高々6人程度であるということ。このような比率だからこそ実験系の手間のかかる研究のノウハウを伝授することができる。私立大学では教員の能力の問題ではなく教えるべき人数の制約からやりづらい。
国立大学の教員を私立大学と同じように働かせて、国立大学がうまく自立して運営できるようになったとして、今まで国立大学が提供していた贅沢な学習環境はどこが用意することになるんでしょう?大学院大学院大学みたいなのを1つぐらい作ってそこが提供するんでしょうか?なんなんじゃな。