英語が苦手な人が英語が達者な人に英語論文執筆を手伝ってもらうときに注意すべきことのメモ。以後、英語が達者な人を「達人」と表記する。
論文のお約束は自分で調べる
英作文とテクニカルライティングは異なる技能なので、それぞれを学ばないといけない。
達人がテクニカルライティングの知識を持っていない場合、達人が提案する文や物語をそのまま受け入れてはいけない。達人のことを、喋る語彙辞典、文法辞典、類義語辞典として遇するのが無難。論文のお約束に準じているかどうかを必ず依頼者がチェックすること。
論文のお約束をしるためには、自分が本を読むのが一番簡単。
できるかぎり添削を頼む
翻訳ではなく、添削を頼むこと。自分が母国語で書いたり、話したりしたものを達人に英文に直してもらうのが翻訳。自分が書いた英文の表現を変えてもらったり、正しく直してもらったりするのが添削。
たとえ、翻訳であったとしても、日本語文の段階で達人が理解できない文に関しては必ず自分に確認をしてもらうように段取りを組むこと。
達人は英作文能力が高いので、日本語として曖昧な文章であっても英文にできてしまう。英文になった後だと、自分ではその英文の良し悪しが判断できない。日本語文の段階で、おかしな文章をつぶさないといけない。
また、論文の筋を達人に修正してもらうのは基本的には無理。構成案の段階で指導教員に指導してもらうこと。
専門用語の提示は自分が行う
自分の分野の専門用語については依頼者自身が調べて、それを達人に伝えること。達人は英語の専門家であり、依頼者の研究分野の専門家ではない。日本語では同じ言葉でも、英語にすると異なる言葉になる例はいくらでもある。
指導教員に見せる前に自分でよく確認する
あなたが学生であるならば、必ず指導教員に論文指導をお願いしたほうが良い。上述のとおり、達人は英作文はうまいかもしれないが論文のお約束や、研究そのものに詳しいわけではない。
指導教員に論文指導をお願いするまえに、必ず自分自身で原稿を見直すこと。「英語には問題ないはずだから」といって達人に下駄を預けないこと。自分の論文です!特に時制と主語、複文に注意すること。共著の論文なのに「The author proposed ...」なんて書いてあったら張り倒されるかもしれない。
責任はすべて自分がとること
論文を書いたのは自分。英語の表現について達人に手伝ってもらっただけ。採択されたら手伝ってくれた達人に感謝し、不採択だったら自分の論文構成能力の不備を痛感しましょう。どちらにせよ、結果がわかったら達人にお礼を述べること。