試験監督に駆り出される立場からみると負担が増えるだけの新センター試験

6月14日までパブリックコメントが求められている。TwitterのTL見て「あっ、書かなきゃ」と思い、資料読み始めたけど、今のセンター試験をより複雑にする方向に進化しているだけなのでがっくり。これで、英語の試験も今まで通り実施するとなったら一体この大騒ぎは何の意味があったのか。

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このたび、その進捗状況として、平成29年5月16日に①「「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」実施方針(検討素案)」、②「「大学入学共通テスト(仮称)」実施方針(案)」及び③「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告(案)」について、現時点での検討状況を公表いたしました。(※)

以下、「「大学入学共通テスト」実施方針(案)」より

3.実施主体
共通テストは利用大学が共同して実施する性格のものであることを前提に、大学入試センター(以下「センター」という。)が問題の作成、採点その他一括して処理することが適当な業務等を行う。

上の記述はどういうことかといえば、試験会場の提供や試験監督、補助要員、事務員などを出すのは大学ですよと言っている。すなわち、現在と一緒。

「国語」、「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」については、「8.で見直しを行うマークシート式問題」に加え、記述式問題を出題する。

※ 共通テストの英語試験の取扱いについては、引き続き、以下の2案について大学・高等学校等の関係団体等の意見を聞きつつ検討する。

≪A 案≫
平成32年度以降、共通テストの英語試験を実施しない。英語の入学者選抜に認定試験を活用する

≪B 案≫
共通テストの英語試験については、制度の大幅な変更による受検者・高校・大学への影響を考慮し、平成35年度までは実施し、各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することを可能とする。

○ なお、認定試験では対応できない受検者への対応のための共通テストの英語試験の実施については、別途検討する。

B案だとセンター試験に英語が引き続き生き残る。外国語科目の韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語はいったいどうなるの?

10.実施期日等
○ 共通テストの実施期日は、1月中旬の2日間とする。
○ マークシート式問題と国語、数学の記述式問題は同一日程で、当該教科の試験時間内に実施する。
○ 成績提供時期については、現行の1月末から2月初旬頃の設定から、記述式問題のプレテスト等を踏まえ、1週間程度遅らせる方向で検討する。

1月に一発勝負なのは変わらない様子。でも、記述式が増える分、受験生への合格通知は遅れる模様。

CBTの導入については、引き続きセンターにおいて、導入に向けた調査・検証を行う。平成29年度については、問題素案の集積方法の検討及び集積等を行う。
この成果も踏まえ、平成36年度以降の複数回実施の実現可能性を検討する。

CBTになった場合も、大学で実施されそうで大変にアレ。

追記:リスニングの効果は?

センター試験にリスニング試験が加わったことでリスニング力が上がったかどうかの評価をしている報告は無いっぽい。CiNiiで探して関連ありそうなのは以下の文献。

  • 内田照久, 大津起夫:大学入試センター試験への英語リスニングテストの導入に至る歴史的経緯とその評価, 日本テスト学会誌 9(1) 77-84 2013年6月. (著者のページよりダウンロード可)

センター試験への英語リスニングテスト導入の成果の検証のため,現在,大学入試センターにリスニング・テスト検証研究会が設置され,九州大学や筑波大学の協力の下,検討が進められている(大学入試センターリスニングテスト検証研究会, 2012)。九州大学では,平成17~23年に学部1年生を対象に実施した英語学力試験TOEFL-ITPに基づき、九州大学の入学者集団の英語成績の推移を検討している。また高校生・大学生を対象とする調査も別途行い,高校生及び大学入学者の英語成績推移について検討している。さらに,高校の英語科担当教員を対象とする調査も行って,高校の教育状況,高校生の学力状況についての検討も進めている。

これまでの結果としては,個別大学や高校における標準化されたテストの結果の範囲では,センター試験でのリスニングテスト実施前後の英語学力については,際だった変化は認められていない。しかし,高校英語教員のアンケートでは,リスニング力やスピーキング力は大半が向上したと判断されていた。

単発なので比較はできないけど、この結果からするとリスニングがセンター試験に入っている意味はあるのかも。

「読むこと」「聞くこと」は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)A1上位からA2下位レベルに集中。