ギリシャがユーロから抜けるとヨーロッパの政治的紐帯が崩れて短期的には不況になると予想される。中国の急成長が終わり、普通の成長へと切り替わる中、ユーロ圏の経済が失速すると、またもやアメリカ頼みの状態に。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事はギリシャが今月30日に期限を迎えるIMF向けの17億ドル(約2100億円)の支払いについて、同国が返済しなくてもIMFによる追加支援はないと述べた。
また同氏は27日のBBCとのインタビューで、ギリシャの7月5日の国民投票に関して、もはや検討されていない債権者の提案に対し有権者の意見を求めるものだと指摘した。
(IMFはギリシャ30日返済不能でも支援せず-ラガルド専務理事より)
ギリシャは当座のところ約2100億円必要なのね。そして、今年度のは4000億円ぐらいの支払いが大きな山場らしい。
しかも今年の借金返済を乗り切ってしまえば、その後のギリシャの支払いのスケジュールは、ずっと楽になります。
(ギリシャが「月曜日には銀行を開けない」と宣言 プレッシャーはメルケル首相へより)
一方、我が国にはこんな意味わからん理由で2520億円使う財政的余裕がある。そして、オリンピックの競技もラグビーの競技も体面さえ気にしなければ実施できる会場が首都圏にちゃんとある。
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設を巡り、下村文部科学相が29日、計画見直し案を明らかにした。
デザイン変更を見送ったことで、総工費は895億円増の2520億円まで膨れ上がった。完成時期も2か月遅れの19年5月末。五輪後に先送りされた開閉式屋根の設置費用はこれに含まれず、最終的な費用が確定しないまま建設を急ぐ形となった。
この日午前、下村文科相は、大会組織委員会の調整会議で見直し案を説明。費用高騰の要因となった「キールアーチ」構造などは変えず、8万人収容だった観客席は、可動式の1万5000席分を仮設席に変更する。下村文科相は、デザインを大幅に変更しない理由として、19年9月開幕のラグビーワールドカップに間に合わせるためだとした。
(最終費用、確定せぬまま建設へ…新国立競技場より)
新国立競技場の建設止めて、あの土地も民間に売却して、建設費と売却費を全部、ギリシャに突っ込もう!!そして、ユーロ崩壊を(一時的に)止めたという名声を勝ち取ろう。わけわからん理由で2520億円を使うぐらいなら、大経済圏であるユーロ救った方が経済的に割に合うと思う。ギリシャには今後50年くらい公立の施設の入場料を日本国発行のパスポート所持者に限り無料にしてもらえばいいんじゃない。なんで、国および地域の政治的安定性を左右する金額が面子を立てるためにポンと支払われるのかさっぱりわからない。
ちなみに平成16年度(2004年度)から国立大学への運営費交付金の一律削減が始まったのだけど、平成16年度運営費交付金に比べて平成26年度(2014年度)は約1200億円削減した。
平成26年度の日本学生支援機構の無利子奨学金の予算規模は約3000億円。今回の建設費を使えば無利子枠を2倍にできる。
追記(2015年6月30日)
「ギリシャの負債総額知らんのか?」というコメントをはてなブックマークでいただきましたが上で引用しているギリシャが「月曜日には銀行を開けない」と宣言 プレッシャーはメルケル首相へのサイトに記載されていたので理解しています。なので「ギリシャは当座のところ約2100億円必要なのね。」と書きました。
本当にギリシャを救うという観点で考えると、ギリシャはユーロを離脱して独自通貨を持つのが無難だと思います。この知識は以下のような記事を以前読んだことから得ています。
- ギリシャはデフォルト(債務不履行)常習国 歴史と最適通貨圏理論で解く問題の本質
- ユーロ危機の深層 「最適通貨圏」を形成できない欧州のジレンマ
- 経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策のアイスランドの項
- クルーグマンの反緊縮エントリー
- 追記:ギリシャの有権者が迫られる難しい選択 私がギリシャ人だったら、こう投票する――マーティン・ウルフ
ギリシャの国家運営が非常に不味いのは確かですが、だからと言って緊縮策を当たり前としてしまうとIMFは悪い実績が結構あるので、内容によるのだと思います。
また、「ギリシャに金払っても返ってこないぞ!」というコメントについてですが、そもそもこのエントリーは「どうせ無駄遣いするなら、ド派手に無駄遣いしちゃおう」という主旨のものですので、返ってくることを想定していないです。