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卒研でデータでません→ やるだけやって情状酌量を期待するしかない

まとめ

  • 卒業のための条件を形だけでも満たしていなければ情状酌量すらできない。なのでとりあえず条件を形だけでも満たす
  • 「覆水盆に返らず」「配られたカードで戦うしかない」なので、やれることをやり、やるべきだったこと、やらなかったことを悔やむのは後回しにする
  • 桜を愛でる日本人の感性は冬眠してもらい、潔くあきらめない。休憩時間は漫画なら「花の慶次」、小説なら「影武者徳川家康」を読む。いくさ人の心意気に学ぶ

相談

「卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごう」でいただいたコメント

落ちこぼれ 2012/01/29 15:08

かなり前のエントリーのようですが、コメントさせていただきます。私も上の4年生さんのように泣いてしまいました

自分は工学系の4年なのですが、全くいいデータが出ていません。周りの皆は、卒論なんだからいいデータじゃなくていい、というんですが、そういうものでもなく、単に不備、のようなものに近いです。卒業した先輩の卒論を見てみると、とても自分は卒業できるとは思いません。

それでも数多くデータがあればいいのですが、細かいテーマ設定が学生にゆだねられており苦労して実験方法を設定したのが12月になってからでした実験内容も人間の動作を対象にしており、自分だけで頑張ってやるということができず、卒論までもうほとんど実験をすることもできません

テーマの決定の遅さ、実験の不備等、ここに書かれている方々とは違い全て自分の自業自得であり本当に情けなくなりました

それでも恥を忍んで教授にも相談したのですが、なんというか楽観視のような自分に興味がないかのような反応をされました。アドバイスはくれたのですが、現実問題で今からやることができないようなことでした

研究室で一人になり卒論発表のことをイメージすると、この1か月くらい泣いてしまう日々です。卒論提出は残り10日ほどで、まとめ始めなければいけないことはわかってはいるのですが、このデータでは間違いなく落とされると思い、何かできないかと考えたり、思考がまとまらず逆に停止してしまっています。

勝手な感情で、自分の悪さを棚にあげるようなことであるのは分かっています。しかし、それでも何かあればアドバイスお願いします

文面だけからは、一生懸命やったうえでこうなったのか、結局さぼった結果なのかわかりませんが、一生懸命やってこうなったという前提で以下を書きます。どちらにしても、今、やれることをやり、評価は天(指導教員や学科・専攻の教員たち)に任せるしかできることはないです。

まずは、卒業に要求されている条件を満たす

卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごうでも書きましたが、卒業研究では結果と同じかそれ以上に「努力」を評価の対象とします。研究の観点から良い結果がでていないとしても、それが努力の末であるならば、多くの場合卒業研究を行ったと評価してくれます。

努力というのは他人が評価するものであり、他人からの評価である限り、評価者の主観(認識)が入ります。この部分が研究室の指導における不透明な部分でであると思われるわけですが、同時にこれは救済措置を行える理由でもあります。つまり、指導教員や卒業研究の評価委員の調整が可能であるということです。

仮に、もろもろの事情により「まあ、ちょっと不十分だけど卒業させるか」という温情措置をする段取りになったときに、温情措置を受ける側が満たさなければいけないのは「明らかに不公平な判断である」と第3者に指摘されない環境を整えてあげるという点です。

大学や役所などの公的な機関では公平性を満たすことが第一責務です(関連:公平性が期待される役目・組織に手助けをもらうためには形式が必要)。第3者から「お前のふるまいは公平ではない」と言われることこそ、忌避される事柄です。このため、外形的に判断可能な卒業に要求されている条件を満たしていない人を温情措置で卒業させることは難しいです。

外形的に判断可能な卒業に要求されている条件はどういうものかといえば、その卒業研究のテーマがわからない人でも、条件を満たしているか満たしていないかについて、水掛け論にならずに指摘できる条件のことを言います。たとえば以下のようなものです。

  • 卒業論文を提出しているか、いないか
  • 卒業論文が普通の体裁、普通の分量、普通の構成になっているか、そうでないか
  • 最終発表会で発表しているかしていないか
  • 卒業研究で扱っている問題、研究の目的・目標、解決法・実験方法が説明できるか、できないか

これらの外形的に判断可能な卒業に要求されている条件が整えられていなければ、指導教員があなたを卒業させたいと思っても、他の教員から文句を言われ、立場がわるくなります。立場が悪くなるようなことをしたくないのは万人共通の事柄です。

ですから、まずは卒業のために満たさなければならない外形的に判断可能な卒業に要求されている条件を指導教員、先輩、学科・専攻からの通知、過去の事例などから把握し、とりあえずそろえてください。

やれることをやる。やるべきこと、やらなかったことは無視する

10日しかないのならば、やれることをやるしかありません。やるべきだけれどもやれないことはいくら考えてもやれません。やるべきだったけどやらなかったことについては、もう、あきらめましょう。因果応報を50回唱えましょう。私もタイムマシーンやもしもボックスが欲しくて気が狂いそうになるときがありますがしょうがないです。20歳超えた大人がやっちまったことです。やったこと(やらなかったこと)の責任を引き受けるしかないです。ここにこだわると手が動きません。

上述の外形的に判断可能な卒業に要求されている条件を満たすのは当然「やれること」です。これすらやれないならば、残念ながら卒業できる能力を身に着けていないのですからあきらめてもう一年がんばりましょう

研究の内容としては、最低限の物語が構成できる材料を最短時間で整えましょう。工学系ならば、以下のながれをとるはずです。

  1. 問題
  2. 問題の解決法の提案
  3. 解決法の実行
  4. 解決法の評価

問題、解決法、評価を拡大 or 縮小して、最低限この物語が成立するように構成しましょう。卒業論文の場合はネガティブな結果も「解決法の実行」として利用してOKです。なぜ、そのようなネガティブな結果になったのか、どうすればポジティブな結果になるのかを「解決法の評価」として力の及ぶ限り検討すればそれでよいです。

「問題」の縮小については、指導教員の知恵を借りましょう。あまりにもつまらない「問題」にしてしまうと、卒業研究として成立しなくなってしまいます。

相談の文には以下のようにありましたが、もう一度検討するべきです。

それでも恥を忍んで教授にも相談したのですが、なんというか楽観視のような自分に興味がないかのような反応をされました。アドバイスはくれたのですが、現実問題で今からやることができないようなことでした

私が学生に指導する際にも上記のようなリアクションをされることが多いのですが、まずは、その指導の本質的な部分は何かを把握するべきです。

  • 「現実問題で今からやることができないようなことでした」のどの部分が今からできないことになるのでしょう?そのできない部分を簡略化するとデータの信頼性はどのくらい落ちますか?
  • 結果から主張することを弱めていくと、実験を簡単化できないでしょうか?
  • 部分実験にして、部分的主張をするということはできないでしょうか?
  • 過去に取集したデータをその指導の観点から再解釈できないでしょうか?
  • その実験で明らかにしたいことを別の方法で調べることはできないでしょうか?

やるべきことの中からやれることだけを行うわけですが、何が「やれること」なのかを検討するのも難しいと思います。「やれること」を検討するときの重要なことは以下の点です。

  • 「やるべきこと」を自分が実際に行えるかどうかを無視して全列挙する。
  • 最低限の品質を満たすことだけをやるべきことに含める
  • 「やるべきこと」の列挙が終わったあとに、自分の能力、現在の状況と合わせて「やれること」をピックアップする

思考の発散(列挙)と収束(まとめ)を同時に行ってはいけません。ほとんどの場合、列挙は「今の自分の都合」に引きずられて、矮小化されます。

「やれること」の列挙が終わったら締切前に「ヴァァァーーーー」となってしまったときにある手順で実行します。

あきらめない

本当に卒業したいならばあきらめないことが重要です。

  • 卒業できない > 再発表・再提出する > 自分の無知・無能を他人に知られる

卒業できないならば、再発表や卒論の再提出で済む方がマシです。再発表・再提出しないですむならば、叱られたり・あきられたりすることで、自分の無知・無能を他人に知られる方がましでしょう。あなたは傷つきますが、他人は気にしません。なぜならば、自分の無知・無能を他人に知られるなんて日常茶飯事です。偉そうにこんなエントリー書いている私だって、未だにボスに「もうちょっと頑張った方が良いんじゃないの?」と言われますし、査読者に「ひどい。」「つまらない結果」と言われています。

努力したとみなされるには、やはりそれなりのアウトプットが必要です(関連:最低限の成果というものがあるんです)。ですが、いまさらアウトプットの量をそんなには変えられません。ならば、やらなかったことについてはあきらめるべきです。一方で、今からでもやれることは、あきらめずにやるだけやってみるべきです。

やらなかったことに対する諦めと、今からやれることが卒業に役立つという希望の二つが必要です。つらいときは自分に言い聞かせよう「三ヶ月後の自分はきっと笑えている」という感じでがんばってください。

おわりに

こういう相談へのアドバイスが自分で言っていることなのにことごとく自分の胸に突き刺さるので胸が痛いです。