今週が学内締切りなので申請書作成。応募は若手研究(B)の予定。今年の申請書は昨年の申請書を改善して作ろうと思うのだけど、そもそも昨年の申請書に基づき作ってよいかどうかを、審査結果を元に分析してみる。科研費の申請が不採択だった場合、学術振興会は書面審査のおおよその順位などを教えてくれる。
審査結果概略
- 研究種目:若手研究(B)
- 応募件数:23,355件、採択件数 6,487件、採択率 27.8%
- 細目:知能情報学
- 応募件数:100件、採択件数 30件、採択率 30.0%
- 採択されなかった研究課題の中でのおおよその順位
- A(上位20%)
- 評定要素毎の結果(4段階の評定結果の平均点、4:優れている、3:良好である、2:やや不十分である、1:不十分である)
- 研究課題の学術的重要性・妥当性: 3.00
- 研究課題・方法の妥当性: 2.33
- 研究課題の独創性および革新性:3.00
- 研究課題の波及効果および普遍性:2.33
- 研究遂行能力および研究環境の適切性:2.67
- 人権の保護および法令などの遵守を必要とする課題の適切性について
- 特に問題ない
- 研究経費の妥当性について
- 特に問題なし
直感的な感想
先輩の先生方曰く「採択されなかった研究課題の中でのおおよその順位」がAでないならそのテーマが悪いか、分野が悪いかのどちらか。」とのこと。今回はAだったので、この細目でこのテーマは一応脈があると見てよい。なので、これをどう直していくのかを検討していくこととする。
申請先細目の検討
平成22年度公募要領56ページによると、若手研究(B)は4人のピアレビューアによる書面審査が行われるとのこと。当然、自分の研究テーマの価値を高く評価してくれる分野に申請すべき。
また、「科学研究費補助金(基盤研究等)における審査および評価に関する規程」の6ページ「各専門分野への配分方法」によると各専門分野ごとに配分枠が設けられている。分野ごとの配分枠は前年度の応募件数を参考にして決められるので、昨年度の応募件数が少ない細目は避けたほうが良い(科学研究費補助金(基盤研究等)における審査および評価に関する規程の42ページ別添2を参照)。
ところが、細目ごとの応募件数と採択件数は公開されていない(自分が申請した細目については教えてもらえる)。そこで、科学研究費補助金申請の際に必要そうなリンク集で書いたように、細目ごとの書面審査の審査委員の数で応募件数を検討することとする(審査委員が多い=応募件数が多い)と考える。採択率についてはどの細目もほぼ同じくらいに抑えていると仮定する。
審査委員名簿に審査委員名簿がある。昨年度の委員の名前はまだ公開されていないので平成20年度の委員の数を見ることにする。私は、分科「情報学」が適当であろうと思うので、そこの委員を数えてみる。
情報学基礎 | 6名 | ||||
ソフトウェア | 6名 | ||||
計算機システムなどA | 6名 | ||||
計算機システムなどB | 12名 | ||||
メディア情報学 A | 15名 | ||||
メディア情報学 B | 6名 | ||||
知能情報学 | 12名 | ||||
知覚情報処理など A | 15名 | ||||
知覚情報処理など B | 6名 | ||||
感性情報学など A | 6名 | ||||
感性情報学など B | 6名 | ||||
図書館情報学など A | 6名 | ||||
図書館情報学など B | 8名 | ||||
認知科学 | 7名 | ||||
統計科学 | 6名 | ||||
生体生命科学A | 6名 | ||||
生体生命科学B | 6名 |
知能情報学の審査員の人数は多いのでこの細目は応募件数が多いであろうと予想する。一応、科研費データベースでこの細目はどういう系統のテーマが採択されているのかを調べてみる。具体的には研究分野のキーワードを「/情報学/ OR /知能情報学/」とし、研究種目のキーワードを「/若手研究(B)/」としてみる。必要により採択年を絞る。
評定要素の検討
学内の科研費説明会で先輩の先生方がおっしゃっていたのが、評定に2点台があったらまず採択されないという話。
平成22年度公募要領56ページによると、若手研究(B)は4人により書面審査が行われると書いてあるけれども、平均点を見る限り3人で審査をした結果みたい。特に問題が無ければ3点をつけると仮定すると私のもらった点の分析は以下のとおりになる。
評定要素 | 平均点 | 解釈 | |||
研究課題の学術的重要性・妥当性 | 3.00 | 特に問題なし | |||
研究課題・方法の妥当性 | 2.33 | 2人が問題ありと判断した | |||
研究課題の独創性および革新性 | 3.00 | 特に問題なし | |||
研究課題の波及効果および普遍性 | 2.33 | 2人が問題ありと判断した | |||
研究遂行能力および研究環境の適切性 | 2.67 | 1人が問題ありと判断した |
「学術的重要性と妥当性」と「課題の独創性・革新性」に関しては特に問題なし。「研究遂行能力」には1人から疑問を持たれた。「方法の妥当性」と「波及効果」においては落第というのが昨年度の申請書。
以上より、修正の方針は以下のようにする。
- 研究の命は「学術的重要性と妥当性」と「課題の独創性・革新性」だけど、とりあえず及第点をもらっているので、この部分はより読みやすく分かりやすく書き直すにとどめる。
- 「方法の妥当性」と「波及効果」においては落第点だったので、全面的に書き直す。
- 「研究遂行能力」は、いまさらどうもできないので、特に変更なし。
各項目の修正は、科学研究費補助金(基盤研究等)における審査および評価に関する規程の53ページに書いてある「基盤研究(A・B・C)(審査区分「一般」)、若手研究(A・B)の第1段審査における評定基準等」を参考に直す。
おわりに
これを書いたのは自分の申請書のどこを直せばよいのかをはっきりさせたいのが第一の理由。第二の理由は、来年以降の自分のため。一度、明確な手続きかしておくと作業を始めやすいので。第三の理由は、ログを見ると「科研費」について検索してこのページにいらっしゃる方が結構いたので、その参考に。