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真っ赤な論文原稿が指導教員から帰って来たら?

指導教員から真っ赤になった論文原稿が帰ってきたとしたら、基本的にあなたは良い先生のもとで学んでいるという証拠。まずは、先生にお礼を言うこと。

はじめに

フェアな態度が重要。

  • 多くの場合は先生と学生の関係は一対多であるので、あなたが論文の指導をもらいたいときには他の学生もそう思っているということをよく理解する。うまく、他の学生とタイミングをずらして指導を受けるのはうまいやり方.
  • 指導教員も自分の仕事を持っているわけなので、締切り直前に論文指導を求めても拒否されることがある。自業自得だと思って諦めること。
  • 指導教員の指導は論文の書き方、内容、表現に関するものであり、「あなた」に対するものではないので冷静に指摘を受け止めること。
  • 指導教員が一番がっかりするのは、一生懸命指導した内容に対して無視されること。それが、故意あるいはそうでないとしても「無視した」という結果が重視されるという点をよく理解するべき。理解できない場合、納得できない場合は必ず指導教員に問い合わせるのが重要。
  • 論文の原稿は必ずバージョン管理すること(手動か自動かを別として)。いつの段階の原稿を指導教員に見せたのかを後から確認できるようにしておくべき。
  • 指導教員の立場にたって、読みやすく、指導しやすいように原稿をつくること。電子ファイルで提出する場合には、必ず指導教員にどういうフォーマットが良いのかを尋ねること

前処理

指導済みの原稿を頭から直していくのはうまくないやり方。作業的な修正と創造的な修正の二段階に分けて修正していく。まずは、指摘された点に関し、理解できない点について指導教員に確認する(読みづらい字などもここで指摘)。そして、指摘された内容を作業的修正(頭を使わない修正:形式、図、表、参考文献)と創造的修正(頭を使う修正:流れ、内容、表現など)の2つに切り分ける。

作業的な修正

作業的修正を先に行う理由は、時間を有効に使うため。作業的修正は「作業」なので時間さえ費やせば必ず修正できる。論文執筆作業はノリが大切なので、ウォーミングアップとして必ず達成できる修正はちょうどよい。なお、作業的修正に関して修正漏れがあると指導教員は次回以降真面目に指導してくれなくなるので注意。

以下、注意点を列挙。

  • 特に参考文献のページ数、出版社、日付の並び順に注意。
  • 誤字、脱字はエディターの置換機能を使って直す(指摘されている点以外でも存在するかもしれないため)
  • 誤字の間に改行をはさんでいると置換機能がうまく働かないかもしれないので注意
  • 英語論文ならば
    • 必ずスペルチェッカーをかける。
    • 数えられる名詞が裸のまま(冠詞がついていないかつ複数形にもなっていない)登場しないかどうか注意。
    • 三単現のsが抜けていないかどうか(特に関係代名詞を主語とする場合に注意)。
    • 文になっているかどうか(複文の構成ルールにあっているかどうか。動詞が二つ以上登場していないか)
  • 日本語論文ならば
    • 英数字が半角になっているかどうか?
    • 句読点が統一されているかどうか(「、。」か「、.」か「,.」のどれか)
    • 助詞がおかしくないか
    • 主語と述語の対応がとれているか?
    • 全部、常体で統一されているか?
  • 表・図ならば
    • 単位は記載されているか?
    • 表と図のタイトルはついているか?位置は大丈夫か?
    • その表と図は論文中で説明されているかどうか?
  • 形式について
    • 大学・学部・学科・会議・雑誌指定のフォーマットにしたがっているかどうか?
    • フォントは統一されているか?
    • (Wordの場合)無駄にハイパーリンクなどが張られていないかどうか?
    • TeXの場合)クロスリファレンスはちゃんと表示されているかどうか([?]みたいになっていないかどうか)

創造的修正

創造的修正は、まさに考えないと修正できないので正解がほぼない。時間を十分に使い取り組むしかない。基本的には、影響が大きい点(流れ、章立てなど)から修正を始める。あとは、やりやすいところから始める。指摘された点に対して、その指摘を受け入れない場合には、必ずどうしてそのように判断したのかを指導教員に説明すること(無視は最悪の行動であるのを留意)

追加実験などは、論文の修正が終わってから行うこと(時間をうまく使う)。また、関連研究調査は、締切りを勘案して時間を区切って行う(各分野の論文データベースを利用する)

後処理

必ず見直すこと。また、指導教員が気持ちよくかつ効率的に論文指導ができるように原稿を用意すること。

  • 修正が終わったら必ず「一晩おいてから」もう一度自分で読み返すこと(修正後すぐに読み返しても、間違いを発見できない)
  • もう一度だけ、頭を使わない方の指摘された点が全部修正できているかをチェックする
  • 修正後の原稿の電子ファイルをのちに参照できるように保管する
  • ダブルスペースで印刷し、左肩を綴じる(特にしていされない限り両面印刷にしないこと)。また、表紙にどの段階の原稿なのかを区別するための印をつける
    • 私は指導教員への提出日付と論文の投稿締切りを表紙に書いておくことを推奨する(締切りを書いておくことで暗黙に早く読んでくれることをお願いする)
    • 複数人に指導をしてもらっている場合は、上記の提出日付に加えて、指導をもらう人の名前も書いておくとよい
  • 指導教員に修正した原稿を渡すときには、以前に修正してもらった原稿も合わせて渡すこと

おわりに

私の場合、1編の卒業論文修士論文を指導するのに平均3時間かかる。10ページ程度の英語論文の場合は3時間、10ページ程度の日本語論文の場合は1時間半ぐらいが目安。今年卒業・修了する学生が合計10人ならば、30時間*X回(平均3回ぐらい)を論文指導に費やさなければならない。こういうときに、誤字・脱字、形式のミスなどがいつまでも直らないと本当に嫌な気分になる。ぜひ、指摘された点に関しては漏れなく修正、もしくは、反論して欲しい。

あと、12月〜2月にかけての卒論・修論を指導している先生には優しくしてあげてほしい。非常にいっぱいいっぱいなので。

追記

「指導教員の指導は論文の書き方、内容、表現に関するものであり、「あなた」に対するものではないので冷静に指摘を受け止めること。」というのは英語ではこういうように簡潔にいえるのか。勉強になります。

去年とったUniv. of Hawaiiの"Acting for the Camera" のクラスを今年も取っているのだけれど、このクラスは厳しい。演技を実際に撮影してそれを見ながら先生がツボをついた批評をしてくれる。映像が目の前にあるので自分としても直面するしかない。毎回ぼこぼこにされる感じだ。 (ただ、今回2回目なんで少し余裕をもって参加できているんだけど、そうすると先生は常に、それぞれの参加者の現在のレベルに対して1ステップ上を基準にした批評をしていることが見えてきたのだが。)

で、先生がしつこく念を押すのが、"Don't take it personally." ということ。批評の対象となっているのはあくまでその場に出された「作品」であってつくった本人の人格に対するものではない。「役者の場合はこの違いを認識することがとりわけ重要だ」と先生は言う。批評の対象となっている映像には役者自身が映っているわけで。画面の中の自分を指して「ここがまずい」と言われた時にそれをpersonallyに取らないようにする、というのは確かに少々難しい。