原著論文と調査論文と学位論文の違い

誰も教えてくれない論文シリーズ(1回目を除き、本を読めば書いてありますが)

ついでに、原著論文と調査論文と学位論文の違いをざっくりと。これははじめての科学英語論文 5th Ed.という論文の書き方の本にも書いてある。

原著論文とは、論文の種類の違いで一生懸命説明している「論文」のこと。基本的に1論文につき1テーマ(1トピック、1つの問題)について書かれている。複数の問題を並行的に扱うのはご法度。雑誌や会議録に載る論文のほとんどがこれ。

調査論文(レビュー論文、サーベイ論文)は、あるトピックに関する原著論文を調査してある視点からまとめた論文。この種類の論文は、他人の研究成果をまとめたものであるため、新しい事実や成果は含まれない。ただし、その研究分野の概略や現状を知るのにとても有用である。

学位論文卒業論文修士論文、博士論文)は、実は自分の研究成果に対するレビュー論文である。卒業論文修士論文なんかは、一つの問題についてまとめているので、ページ数に制限のない原著論文のイメージだと思う人も多いが、本来はあれはレビュー論文。修士論文を執筆するまでに複数編の原著論文があるならば、それをある観点からうまくまとめて編集するべき。

特に博士論文は、自分の研究成果に対するレビュー論文の観点が強い。多くの博士課程では、修了要件として(狭い意味での、すなわち学術雑誌掲載の)原著論文数編が求められる。なので、博士論文は単独の成果ではなく、複数の成果を合わせたレビューにならざるを得ない。私の博士課程の指導教員の口癖は「博士論文は書くものではない、編集するものだ。」というもの。複数編の原著論文があるはずなので、それを編集すれば博士論文がすぐに出来上がるでしょ!という意味。

以上、ご参考まで。

追記

まったく違う話もある。分野によって、国によって制度や方針が異なるということか。