ライフハッカー:まずは自力で答えを導き出すことが、よりよい学習につながるというタイトルには心から同意。でも、気を付けなければいけないのは「まずは」ということ。じゃあ、そもまま、ずっと自力で答えを考えてみた場合どうなるか?問題の性質によっては、どうにもなりません。引用部分の孫引きですが以下の強調部分が重要!
シンガポール国立教育機関の学習科学研究所の研究員であるManu Kapurさんは、雑誌『学習科学(the Journal of the Learning Sciences)』で、解き方が分からない数学の問題において、正解を導き出そうとしている人は、後で同じような問題をよりうまく解くことができると報告していました(被験者は問題の本質について一般的な知識があり、正解を導くだけの潜在能力はあります)。
(ライフハッカー:まずは自力で答えを導き出すことが、よりよい学習につながるより)
自分の中に答えにつながるものがない場合、いくら考えたって答えは見つからない。たとえば、ドイツの地理をまったく知らないのに、ドイツの首都についていくら考えても首都がわかるはずない。海を見たことも聞いたこともないのに、海洋資源についていくら考えても、何も得ることはできない(漢字圏の人なら文字からいろいろと考察できるかもしれない。でも、それだけ)。
「まずは自力で答えを導き出す」という推奨事項が、「常に自力だけで答えを導き出さないと意味がない」と義務・強迫観念に変わると、 卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごうで悪循環にはまっちゃう人になるか、「何がわからないか」がわからないをそのままにしておかない技術モドキで書いた「何がわからないか」がわからないをそのままにしておく人になってしまう。
いきなり答えや正解を他人に尋ねるというのもまずいけど、同じくらい、常に自力のみで答えを見つけようとするのもまずい。お釈迦様や孔子の言うようにその中間が一番望ましい(真ん中が難しいならば、答えや正解を他人に尋ねる側に属した方がいろいろと過ごしやすいとは思う)。
一定期間、答えを考えてみて答えが見つからないならば、現在取り組んでいる問題の答えを導き出すのに十分な知識や技法が自分に備わっているかどうかを一旦検討してみた方が良い。
たとえば、私が考える卒業研究・修士研究の場合に「自力のみ」をあきらめる時間は以下の通り。
考える時間 | 卒業研究 | 修士研究 | |
1週間 | 3〜7月 | 1年次前半 | |
3日間 | 8〜10月 | 1年次後半 | |
24時間 | -- | 2年次前半 | |
3時間 | 11月 | 10月〜12月 | |
15分 | 12〜2月 | 12〜2月 |
よほどの哲学的および人生の進路を決める問題でないかぎり、3日間考えて解決の目星もつかないならば知識のストックが足りないのでインプットした方が良いと思う。
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はてなブックマークコメントより。非常に重要な指摘。
- 「まずは自力で試みる」から「どこかの段階で自力を諦める」の線引き判断が最も難しく、それができれば最初から苦労しない(全体を理解しているに等しい)。
まさにおっしゃるとおり。だからこそ、時間や量(X冊調べたら終わりなど)で強制的に振り返りタイム or 諦めタイムを決めるのが重要。そして、「誰ならば基準を持っているか?」「どうやれば解決のヒントを見つけられるか?」と問いをシフトさせた方が良い。