確かにこれはワクワクする実験課題。分野違いの私だって、これは面白そうだと思う。私は、こういう教育効果もあり、かつ、興味を引き出せるような課題を出せる能力を身に着けないといけないなぁ。
学部4年生になって、実習はもうそろそろ大人扱いされてきて、かなり自主的に実験をさせてもらいました。記憶が正しければ(なにしろ50年近く前なので)、4月の最初の日に、先生が学生の人数分の試験管(8本)を持ってきて、ニコニコしながら説明を始めました。
これらはみな成分の違う粉末が入っているとのこと。一種でなく、二種入っています。中身は、全員違うのだから、自分でやらんと駄目なのね。
はい、この実習の目的は、これらの試験管内に入っているもの2種類を当てて下さい。自分の頭で考えて、実験をやって証明をして下さい。
そしてこれらの2種類の化合物を合成する反応を自分でやってみてください。
それじゃこれで、7月上旬まで自由にやっていいですから。
この実験のどこが良いのか?思いつくままに
- 課題が難しすぎない。努力して、いろいろと調べれば物質を特定できる。→「先生の説明では、とんでもない難しい化合物は入ってないし、1ステップか2ステップ程度の合成反応が実習室でできるような常識的な化合物のものです、という説明がありました。」
- 努力に応じた結果が得られるのはやる気になるポイント
- 何かの本を調べたらすぐに結果がわかるというものではない。
- 自分がやってもやらなくても結果がわかっていることをやるのはつまらない
- 正しいやり方・効率的なやり方が示されていないので、試行錯誤が組み込まれている
- 正しいやり方や効率的なやり方自体を探さなければならない
- 結果が正しいことも自分で示さなければならない
- これまで習ってきたことの復習を強制的にさせる構造になっている
- これまで行ってきた実験(追実験)が実験をやること自体が目的なのではなく、型稽古(道具・手段)であったことを認識できるようになっている
- 習ってきたことをどのように応用するのかの一例になっており、習ってきたことの位置づけを再構成することができる
- 調べ方の練習になっている
やはり、「課題が難しすぎず、努力すればできる」という点が素晴らしい、その上で、試行錯誤しなければいけないようにしているのが素晴らしい。