β2:フェンスを外す人の好例だと思う。
- 高木浩光@自宅の日記:武雄市長、会見で怒り露に「なんでこれが個人情報なんだ!」と吐き捨て
- Togetter:高木浩光先生@HiromitsuTakagiの「Ustream 平成24年度武雄市記者会見 「図書カードをTポイントカードに全部置き換え」」
- ガジェット通信:「図書館で本を借りたらTポイント」TSUTAYAが公立図書館運営へ――Facebook市長「本の貸出履歴は個人情報ではない」
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。
- 日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である。知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこそ表現の自由は成立する。知る自由は、また、思想・良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民の不断の努力によって保持されなければならない。
- すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である。
- 図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである。
- わが国においては、図書館が国民の知る自由を保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たした歴史的事実があることを忘れてはならない。図書館は、この反省の上に、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である。
- すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。外国人も、その権利は保障される。
- ここに掲げる「図書館の自由」に関する原則は、国民の知る自由を保障するためであって、すべての図書館に基本的に妥当するものである。
〜中略〜
第3 図書館は利用者の秘密を守る
- 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
- 図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
- 利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。
〜後略〜
(日本図書館協会:図書館の自由に関する宣言より)
戦前に思想善導機関として機能した図書館の歴史を反省し、1954年(昭和29年)に打ち出された。 1979年(昭和54年)に「第3 図書館は利用者の秘密を守る。」が加えられ、もとの第3は「不当な」と言う文言が削除され第4と改められた。
(ja.wikipedia:図書館の自由に関する宣言より)
「Amazon.co.jpやGoogleは利用履歴を使っていろいろやっているじゃないか?みんなそれを気にしないのにどうして図書館の本の貸出履歴を気にするんだ?」というところから議論を深めたうえで、「本の貸出情報は個人情報であるが、これを図書館の本の入荷および在庫調整、また、来館者を増やすための推薦システムの構築に用いるのは市民の利益にかなう」という結論なら別に良いと思う。
別の話として、貧乏人が己の興味に応じて新たな知識を得ることができる場としての図書館の価値が、インターネットおよびWeb利用の普及、ならびに、高校および大学への進学率向上によってどんどん下がっている現在において、国家や行政が個人の敵に回った時のダメージが想像し辛くなっているというのも図書館の貸出履歴が他者にみられることに対する忌避感を高めない理由なのだと思う。「Googleで検索すればいいじゃない」と思ってしまうもの。GoogleとAmazon.co.jpが政府と組んで、個人の自由を脅かす未来における図書館の立ち位置などを考えるとちょっとSFになってしまう。
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