IT技術者と研究者を橋渡しする論文ソーシャルブックマークシステム

読者の皆さんの中には、「論文」と聞くと身構えてしまう方も多いのではないでしょうか? 論文というと、書くのも読むのも大変で何だか小難しいことが書いてあるもののように思えるものです。それどころか、「論文とは縁がない」「プログラムがすべてだ」と思う方もいるかもしれません。しかし、ある特定分野の技術や研究を詳しく知るためには、論文は手軽で確実な情報源です。

とはいえ、忙しい技術者のみなさまが論文を読むのは結構手間のかかる話。

  1. 基本的に英語なので英語が苦手だときつい
  2. 字数制限があるので、情報が断片的(1つの論文で1つのトピックしか述べていない)
  3. すべての論文を手にいれられるわけではない
  4. まず何の論文を読むべきかわからない。データベースで調べたとしても大量の情報がでてしまう。

以上のことと先日のセルフアーカイビングの話と合わせて考えると、日本における論文ソーシャルブックマークサービスは「技術者と研究者を橋渡しする」をコンセプトに発展したらいいんじゃないかなぁと妄想している。特にIT業界向けに。

論文ソーシャルブックマークサービスは以下のものを提供できれば素敵。

  1. 論文に関する日本語タグ付け
  2. 論文概要の日本語訳
  3. 読んだ感想 or コメント
  4. おすすめ関連文献

論文概要の日本語訳の部分は著作権問題が発生しそうだけど、一般的に概要は自由に読めるようになっているのでお目こぼししてもらえるのではないかと。

論文情報を蓄積してくれる主たるプレーヤーとして卒論生と大学院生(特に論文概要の日本語訳と日本語タグ付け)、感想やコメントそしてブックマーキングをするプレーヤーとしてIT技術者、おすすめの関連文献の提示を(日本語論文の)著者の3者がそれなりの利益を得るシステム設計ができればおもしろいのではないかと思う。たとえば、論文概要の日本語訳はポイントを支払わないと見えないようにしておいて料金を徴収し、その徴収した料金で日本語訳にした大学院生にポイントを払うようにするとか。

昨日、パラパラと人工知能学会会誌2009年7月号に目を通したけど、特集が「Web技術、ビジネスモデルとAI」「WebアイデンティとAI」で記事の内容もこの分野に疎い私にもおもしろく感じた。この記事の内容ならはてなブックマークで上位独占できると思う(つまりIT技術者は興味を持ちそう)。情報処理学会会誌も結構おもしろげな特集を毎月組んでいるので、最近の流行り(ただし、英語文献の研究の流行りからするとちょっと遅れる。でも、ビジネス誌に比べれば十分に早い)がわかる。ACMの学会誌やIEEE-CSの学会誌も毎月おもしろそうな特集を組んでいる(私は読めていないけど)。こういう情報がもう少し楽ちんにアクセスできるようになれば、知りたいIT技術者の人はたくさんいるんじゃないかなぁ。

IT技術者ならば英語文献を読みこなせるようになれというのは分かるけど、英語ができないけどすっごい頭のキレる人とかすっごいコード書く人とかもいるわけだし、大学と企業がすっごく分断されている状況もなんとかしないといけないので、こんなサービスあったらよいなぁと思う。機関リポジトリとかセルフアーカイビングの流れとも合わせたらおもしろいんじゃないかな。