日経スペシャルガイアの夜明け:我が家は大丈夫か!?〜そこにある倒壊の危機〜

番組中に構造計算のためのソフトウェアが紹介されており、姉歯一級建築士の偽造についてこういう説明がされていた。

  • 地震力」というパラメータをいじった
  • 一般的には1.0である値を0.5にした
  • 普通の設計者ならば、この値を1.0から動かすことを考えない

実際にテレビでは、パラメータを0.5にしてみせていた。この証言を信じるならば、地震力というパラメータは定数として扱うべきか、もしくは、最悪でも数値の範囲指定を(1.0以上)しておくべきだったのじゃないのかと思う(実際には、聞き取り調査をして調べるべきだと思うが)。

ちょっとGoolgeで検索。
国土交通大臣認可構造計算ソフトウェア(Googleで「国土交通大臣認可 構造計算 ソフトウェア」で検索)

とこれだけある。これを探すうちに見つけたのが以下のBlogのエントリー

これらのエントリーで紹介されていた偽造の実態はこれのよう。

これまで国土交通省が確認していた単純な「書類の差し替え」だけではなく、パソコンの編集ソフトを使って、「構造計算ソフト」上の数字を直接書き換える手口。

改ざん防止機能が付いている公認ソフトもあるが、一部のソフトでは計算結果をワープロソフトにコピーし、エラーの文字を消して大臣認定番号を書き込むことができることが判明した。

ガイアの夜明け、不正確じゃないか。実際エラーが出るのもかまわず計算結果を出力し、その出力結果を偽造したというのが本当のところの様子。まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記:建物構造計算用の大臣認定プログラムは改竄可能?のコメント欄で分析されていますが、検査会社は、データを再計算するのではなく、書類のチェックをするだけの機関である模様。

提出されたデータを再計算したらすぐに不備がわかるのにどうしてわからなかったのだろう?と疑問だったけれども疑問が解けた。再計算していないんだから、わからないはずだ。

まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記:建物構造計算用の大臣認定プログラムは改竄可能?のコメント欄では、プログラムの出力結果の非改ざん性も重要な要求であると指摘している。

以上より、構造計算のソフトウェアに関する問題点としては、

  • 使用状況や認可の手続きをもう一度洗い直し、入力させるべきではない値を入力パラメータとしない
  • 入力パラメータとして与えられる値の範囲指定をする
  • 入力データ、出力データの改ざん防止措置を義務付ける

という点があげられます。国土交通省は、偽造の再発防止のために至急認可基準を改定し、再認可しなおしたほうが良い。

と同時に、国の他の機関においてもこれらの点について確認させ、不適切な認可基準で認可済みソフトウェアを決めていないかどうかをチェックさせたほうが良い。

みずほの誤発注といい、ソフトウェア工学とソフトウェアの運用法に関しての生きた題材になってしまった悲しい例だけれども、これを生かさなければもっと不幸な事例になってしまう。

おまけ。