河野太郎議員の科研費及び競争的資金に関する改善要請(2016/10/21 23:00ぐらい)

河野太郎衆議院議員がTwitter上で科学研究費補助金についての改善すべき点を集めて、文科省に改善検討を指示してくれている。現時点までの改善要請をご自身のFacebookにまとめてくれているけれども読みづらいので転載。

科研費及び競争的資金に関する改善について

競争的資金に関しては、省庁横断的にルールの統一済み。もし、ルールの統一漏れがあれば内閣府ホームページの「競争的資金に係るご意見ご要望窓口」からご連絡ください(next49注 参考:内閣府:競争的資金制度


ただし、各大学・研究機関が独自に設定しているローカルルールに関しては、局地戦で勝ち取ってください。


以下、寄せられた主な要望に関して。

  • 予算の繰り越し手続きを簡素化・容易化してほしい。
    • 既に対応済み。
  • 各競争的資金制度の公募を一元的に把握可能にしてほしい。
    • E-Radで対応済み。
  • 研究不正に係る対応について、ガイドライン等の整備状況に係る各省からの調査の重複を排除してほしい。
    • 既に対応済み。
  • 経理書類のコピーの提出を廃止してほしい。
    • 科研費については対応済み。その他については調査中。
  • 委託費に於いて、リース以外にも研究機器の購入を可能にしてほしい。
    • 既に対応済み。
  • 国立試験研究機関に対しても間接経費を措置してほしい。
    • 既に対応済み。
  • 間接経費を運営費交付金等と合算して使用可能としてほしい。
    • 既に対応済み。
  • 研究費の合算による研究機器購入を可能にしてほしい。
    • 消耗品については対応済み。その他は検討中。
  • 会計報告書において、消費税別の記載を廃止してほしい。
    • 既に対応済み。
  • 研究補助者の雇用期日を年度末まで可能として統一してほしい。
    • 既に対応済み。
  • 学会に係る費用を支出可能にしてほしい。
    • 参加費については対応済み。課題に直結する学会で新たに加入する学会に関しては期間中は年会費についても支出可能。
  • 委託費により購入した備品の処分に係る手続きを簡素化してほしい。
    • 検討中。
  • 採択時の減額査定を廃止してほしい。
    • 検討中。
  • 審査コメントを応募者にフィードバックしてほしい。
    • 検討中。
  • 事務職員の雇用について研究費の合算使用を可能にしてほしい。
    • 検討中。
  • 配分機関と研究分担者が所属する研究機関との契約形態を統一してほしい。
    • 検討中。
  • 競争的資金以外の研究資金ともルールの統一を進めるべき。
    • 検討中。

その他のご意見、ご要望は内閣府ホームページの「競争的資金に係るご意見ご要望窓口」からご連絡ください。



風物詩:ニセ科学批判批判2016秋

ネット風物詩。でも、毎年毎年、こういう論争を知らない人がネットを使うようになっているので誰かがちゃんと答えていかないといけない。閲覧数目当てでこういうニセ科学批判批判を述べている人もいるかもしれないのでウェブ魚拓越しにリンクする。

What is ニセ科学

追記:伊勢田哲治さん提案の科学の定義

「もうダマされないための『科学』講義」第二章:伊勢田哲治「科学の拡大と科学哲学の使い道」pp. 96 - 98より

科学か、科学ではないかの判断のおもな対象は、普通は「主張」の内容です。
〜中略〜
同じものが時期によって科学的になったり、疑似科学的になったりすることはちょっとまずい。そこで私が注目したいのは「態度」です。主張の内容よりは、ある主張がどういう態度を取ってきたかということが、むしろ判断の対象として重要視されるべきではないだろうか、と思うのです。

もうひとつ、科学の方法論が分野によってまちまちなのは確かなので、ある程度のバラつきをゆるすようなメタ基準(具体的な基準を作るための基準)を考える必要があると思います。

以上のような条件をふまえて、わたしが今提案している科学の定義は次のようなものです。

以下の所与の制約条件の下で、もっとも信頼できる手法を用いて情報を生産するような集団的知的営み

  • (a) その探求の目的に由来する制約
  • (b) その研究対象について現在利用可能な研究手法に由来する制約

〜中略〜
科学の定義をする上で、絶対にはずせないポイントは「信頼性」です。われわれが科学というものに何を期待しているのかといえば、信頼性と呼ばれるものです。
〜中略〜
(信頼性を高める)こうした手段が利用可能である問題設定で、しかもその領域で仕事をしている場合に、こうした手段を取り入れないのは疑似科学的だといえるでしょう。逆に、いちばん信頼できる方法論が、伝統的生態学的知識を取り入れることだった場合には、それをしっかりと導入するのが科学だということになります。

この定義を使うと、疑似科学と呼ばれるものは、信用できる方法論があるのに、それを使わないようなものだという分類ができます。

ホメオパシー利用のおすすめが発端

最後にもう一度申しますが、ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います。
日本学術会議:「ホメオパシー」についての会長談話(PDF)より)

大学選びの際は休学中の学費も見よう

休学中に国立大学の学費1年分を払わなければいけない大学。大学在籍時に留学や起業などを選択肢にいれている高校生の方は、休学中にも関わらずべらぼうな学費をとる大学を避けた方が良いよね。
manazo.hatenablog.com

休学中に学費をとる大学があると知ってびっくりしたときのTogetterまとめ。休学中も経費はかかるので年間数万円程度はとっても良いかとは思う。
togetter.com

関連

正確に伝えようとすると語彙が必要になる

自分の見たものや感じたものを他人に正確に伝えようと思うと語彙が必要となると思うので、正確に伝える必要がないときには語彙がなくてもいいんじゃないかと思います。
anond.hatelabo.jp

なぜ、上のように感じたかというと量の問題を気にされているので、教養的な意味で語彙を増やしたいと思われたのかなぁと。

原稿用紙一枚分埋めるのですらだいぶキツイ。

作文で原稿用紙一枚埋めるのですら昔から無茶苦茶苦労した。

報告書などの場合は、同じ内容ならば短ければ短いほどよいとされますので、量は気にせず、伝えたいことが相手に伝わるかどうかで語彙の多少や必要性を考えた方がよいと思います。


ただ、Googleなどの検索エンジンを用いた検索のうまい・へたというのは用語をどれだけ知っているか(not 意味を知っているか)によるところが大きいと思います。

資料によって異なる一人当たりの研究費

こちらの産学官連携データ集2015~2016(PDF)のグラフを抜粋したツイート見て1人当たりの研究費2千万円越え!とびっくりして、原点をあさってしまった。


ツイートのグラフの元には「平成27年科学技術研究調査」(総務省)の資料を加工したとあるので、そちらを見てみる。すると、大学については大学教員や研究補助者が研究者として列挙されており、かつ、大学教員や研究補助者の給与も研究費に含まれていることがわかる(たぶん、研究室に賃料が発生している場合はその賃料も含まれる)。大学への調査票は以下のとおり。大学もこういうの解答するのは大変そう。

大学の研究者1人当たりの研究費が「平成27年科学技術研究調査」(総務省)産学官連携データ集2015~2016(PDF)で異なるのが不思議。国立はほぼ2倍の違いになっている。

平成27年科学技術研究調査 (p. 42, 表40) 産学官連携データ集2015~2016(p.49, 大学等 教員一人当たりの内部使用研究費)
国立 1,142万円 2,229万円
公立 1,111万円 1,657万円
私立 1,426万円 1,787万円

文部科学省:第8期研究費部会(第8回) 配付資料資料3-1 「個人研究費等の実態に関するアンケート」について(調査結果の概要)(PDF)にある「(H27年度の)年間の個人研究費は、 約 6割が 50 万円未満、 約 8割が 100 万円未満 となっている。」という調査結果と教授の給与1,000万円、准教授の給与800万円ぐらいと考えたとき、平成27年科学技術研究調査の方が妥当な値なのではないかと感じる。