風物詩:ニセ科学批判批判2016秋

ネット風物詩。でも、毎年毎年、こういう論争を知らない人がネットを使うようになっているので誰かがちゃんと答えていかないといけない。閲覧数目当てでこういうニセ科学批判批判を述べている人もいるかもしれないのでウェブ魚拓越しにリンクする。

What is ニセ科学

追記:伊勢田哲治さん提案の科学の定義

「もうダマされないための『科学』講義」第二章:伊勢田哲治「科学の拡大と科学哲学の使い道」pp. 96 - 98より

科学か、科学ではないかの判断のおもな対象は、普通は「主張」の内容です。
〜中略〜
同じものが時期によって科学的になったり、疑似科学的になったりすることはちょっとまずい。そこで私が注目したいのは「態度」です。主張の内容よりは、ある主張がどういう態度を取ってきたかということが、むしろ判断の対象として重要視されるべきではないだろうか、と思うのです。

もうひとつ、科学の方法論が分野によってまちまちなのは確かなので、ある程度のバラつきをゆるすようなメタ基準(具体的な基準を作るための基準)を考える必要があると思います。

以上のような条件をふまえて、わたしが今提案している科学の定義は次のようなものです。

以下の所与の制約条件の下で、もっとも信頼できる手法を用いて情報を生産するような集団的知的営み

  • (a) その探求の目的に由来する制約
  • (b) その研究対象について現在利用可能な研究手法に由来する制約

〜中略〜
科学の定義をする上で、絶対にはずせないポイントは「信頼性」です。われわれが科学というものに何を期待しているのかといえば、信頼性と呼ばれるものです。
〜中略〜
(信頼性を高める)こうした手段が利用可能である問題設定で、しかもその領域で仕事をしている場合に、こうした手段を取り入れないのは疑似科学的だといえるでしょう。逆に、いちばん信頼できる方法論が、伝統的生態学的知識を取り入れることだった場合には、それをしっかりと導入するのが科学だということになります。

この定義を使うと、疑似科学と呼ばれるものは、信用できる方法論があるのに、それを使わないようなものだという分類ができます。

ホメオパシー利用のおすすめが発端

最後にもう一度申しますが、ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います。
日本学術会議:「ホメオパシー」についての会長談話(PDF)より)