低温調理の「合法」な温度とは何ぞや?

まとめ

  • 厚生労働省が食品別の規格基準において加熱食肉製品の加工基準として芯温が63度で30分加熱という基準が書いてある
  • 妊婦さんの場合、赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症になる可能性を防ぐため中心が67℃になるまでの加熱した方が良いみたい

本文

パル:低温調理器を使ったを「おいしそうだな」と読んでいて気になったのが以下の記述。温度に違法や合法もあるの?

そんなわけで63℃・7時間でやっています。63℃は合法。

いつもどおりGoogle先生「低温調理 合法 63度」に尋ねるとdabo_gc:低温調理と食の安全:何度なら安全なのか?がヒット。その中で厚生労働省:食品別の規格基準についてが紹介されていて、その中に63度の由来があった。

牛の肝臓又は豚の食肉は,飲食に供する際に加熱を要するものとして販売の用に供されなければならず,牛の肝臓又は豚の食肉を直接一般消費者に販売する場合は,その販売者は,飲食に供する際に牛の肝臓又は豚の食肉の中心部まで十分な加熱を要する等の必要な情報を一般消費者に提供しなければならない。ただし,第1 食品の部D 各条の項○ 食肉製品に規定する製品(以下9において「食肉製品」という。)を販売する場合については,この限りでない。
 
売者は,直接一般消費者に販売することを目的に,牛の肝臓又は豚の食肉を使用して,食品を製造,加工又は調理する場合は,その食品の製造,加工又は調理の工程中において,牛の肝臓又は豚の食肉の中心部の温度を63℃で30 分間以上加熱するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。ただし,一般消費者が飲食に供する際に加熱することを前提として当該食品を販売する場合(以下9において「加熱を前提として販売する場合」という。)又は食肉製品を販売する場合については,この限りでない。加熱を前提として販売する場合は,その販売者は,一般消費者が飲食に供する際に当該食品の中心部まで十分な加熱を要する等の必要な情報を一般消費者に提供しなければならない。
食品、添加物等の規格基準 (昭和34年厚生省告示第370号)−抄−:第1 食品:B 食品一般の製造,加工及び調理基準:第9項

上の記述は牛レバーと豚肉についてだけだけど、現在は牛肉の生肉の提供が従来よりも厳しく制限されている。牛の生肉については厚生労働省:食品別の規格基準について生食用食肉(牛の食肉(内臓を除く。)であって,生食用として販売するものに限る。)に以下のように記載されていた。

2 生食用食肉の加工基準
生食用食肉は、次の基準に適合する方法で加工しなければならない。

  1. 加工は、他の設備と区分され、器具及び手指の洗浄及び消毒に必要な専用の設備を備えた衛生的な場所で行わなければならない。また、肉塊(食肉の単一の塊をいう。以下この目において同じ。)が接触する設備は専用のものを用い、一つの肉塊の加工ごとに洗浄及び消毒を行わなければならない。
  2. 加工に使用する器具は、清潔で衛生的かつ洗浄及び消毒の容易な不浸透性の材質であって、専用のものを用いなければならない。また、その使用に当たっては、一つの肉塊の加工ごとに(病原微生物により汚染された場合は、その都度)、83°以上の温湯で洗浄及び消毒をしなければならない。
  3. 加工は、法第 48 条第6項第1号から第3号までのいずれかに該当する者、同項第4号に該当する者のうち食品衛生法施行令(昭和 28 年政令第 229 号)第 35 条第 13 項に規定する食肉製品製造業(法第 48 条第7項に規定する製造業に限る。)に従事する者又は都道府県知事若しくは地域保健法(昭和 22 年法律第 101 号)第5条第1項の規定に基づく政令で定める市及び特別区の長が生食用食肉を取り扱う者として適切と認める者が行わなければならない。ただし、その者の監督の下に行われる場合は、この限りでない。
  4. 加工は、肉塊が病原微生物により汚染されないよう衛生的に行わなければならない。また、加工は、加熱殺菌をする場合を除き、肉塊の表面の温度が 10度を超えることのないようにして行わなければならない。
  5. 加工に当たっては、刃を用いてその原形を保ったまま筋及び繊維を短く切断する処理、調味料に浸潤させる処理、他の食肉の断片を結着させ成形する処理その他病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれのある処理をしてはならない。
  6. 加工に使用する肉塊は、凍結させていないものであって、衛生的に枝肉から切り出されたものでなければならない。
  7. (6)の処理を行った肉塊は、処理後速やかに、気密性のある清潔で衛生的な容器包装に入れ、密封し、肉塊の表面から深さ1cm 以上の部分までを 60度で2分間以上加熱する方法又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌を行った後、速やかに4度以下に冷却しなければならない。
  8. (7)の加熱殺菌に係る温度及び時間の記録は、1年間保存しなければならない。

Googleでヒットした「合法生肉」という謎ワードは上記の加工基準を満たした施設で加工した生肉のことらしい。基準に合格 or 適合しているのだから「合格生肉」or「適合生肉」としたらよいのに。

話戻って、63度の方は食肉製品の加熱食肉製品の加工基準に書いてある。

製品は、その中心部の温度を 63度で 30 分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法(魚肉を含む製品であって気密性のある容器包装に充てんした後殺菌するものにあっては、その中心部の温度を 80度で 20 分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法)により殺菌しなければならない。

さらにGoogleで調べたところ、妊婦さんが生焼け肉を食べることで赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症になる可能性があるとのこと。

〜前略〜
また、妊娠中の女性が感染することにより起こる先天性トキソプラズマ症は、死産および自然流産だけではなく児に精神遅滞、視力障害、脳性麻痺など重篤な症状をもたらすことがある。
〜中略〜

ブタに限らずトキソプラズマは全ての温血動物に感染可能であるため、魚介類を除き、哺乳類である鯨を含めた獣肉や鳥肉の生食や加熱不十分は常に感染のリスクを伴う。妊婦もしくはその可能性のある方は、肉の生食は控えるとともに、肉を調理する際には、中心部まで十分に加熱することやまな板を肉用とその他用に分けるなどの対応が必要である。なお、食肉中のシストの不活化には、中心が67℃になるまでの加熱4)、あるいは中心が-12℃になるまでの凍結5)が有効であるとされる。電子レンジによる加熱では内部温度の十分な上昇が得られないため必ずしも確実であるとはいえない6)。なお冷蔵処理では原虫の感染能を排除できないため注意が必要である。

国立感染学研究所:トキソプラズマ症とはより)

以上メモまで。