身も蓋もないが本当に有効な「論文の書き方」

CAREERzine:身も蓋もないが本当に有効な「企画書の書き方」のフォーマットパクリです。

前例を重視する

論文には内容と結果、主張の独自性は求められますが、形式については独自性を求められません。むしろ、独自性が高く前例にしたがっていない論文はダメな構成の論文であるとみなされる傾向にあります。

企画書を書くとき、とくに、異動したてであるとか、新しい仕事であるとか、そういう場合は必ず、その部門での企画書に目を通しておくべきです。どういう順番で書いてあるか、どこを手厚くしているか、などに着目していきましょう。あるいは、前例となる企画書をフォーマットだと思って文章を上書きしていくのも有効です。
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研究テーマや投稿先の学術雑誌、国際会議によって論文が通りやすいフォーマットというのが決まっていることが多いです。必ず投稿先の学術雑誌や国際会議の会議録にざっと目を通してどういう話の進め方をしているのかを確認しましょう。

書類とはインターフェイスです。もとのインターフェイスのよしあしはもはや関係なく、使いなれたインターフェイスなので、どこに何が書いてあるのかがわかりづらい、新しいインターフェイスを渡されても困るだけ。あなたのいる場所での種類のインターフェイスがどうなっているかを熟知することが重要なのです。
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論文も基本的な性質は「報告書」です。しかも数十年の歴史のある磨き込まれたインターフェースを持っています。代表的なインターフェースの構成がIMRADです。論文を書くときに「どこに何を書け」と細かく言われるのは論文が情報交換のインターフェースだからです。なので、あなた独自のインターフェースを作って読者を混乱の渦に巻き込まないようにしましょう。なお、分野によってはIMRADでない形式が求められることがありますので注意しましょう。

先行研究や過去の自分の成果を間接的に評価するような内容は書かない

先行研究と今回の研究成果の違いを明確にすることは論文の命です。研究においてもっとも重要なのは新規性(未だ誰もおこなっていないこと)と独自性(その人でなければできないこと)です。

特に前年度に似たような企画をしている場合、「去年と違って今年はこれをします」という話をせざるをえないのですが、その場合、心がけておきたいのが前任者や上司への気遣いです。
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学術論文においての気遣いは「はっきり、明確に、直接的に、だけど人格攻撃ではなくコトを批判する」となります。間接的な評価は読み手に負担をかけるのでよろしくありません。はっきり、明確に、直接的に評価しましょう。ただ、注意しなければいけないのは、学術論文は「コト」について述べているのであり「人」について述べる文書ではありません。実験方法、結果、結果の解釈など「コト」について論理的に評価を行いましょう。科学の基本は「人は間違うものである」という点にあります。論文における実験方法や条件の記述に再現性が重要視されるのはこのためです。

先行研究だけでなく、自分自身の過去の成果に関しても「はっきり、明確に、直接的に、だけど人格攻撃ではなくコトを批判する」のが重要です。謝罪など論文においては不要です。間違いに気づいたから訂正し、正しい結果を報告する。これが重要です。

ちなみに、卒業論文指導の壁の一つは学生に「先生や先輩の成果を批判してよいのだよ」と納得させるというものです。

査読者の流行をとらえる

見た目はそっけなくても、決裁者の流行をとらえた企画書であれば通りやすくなります。
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至言です。論文も同じです。まあ、学術雑誌の特集号や国際会議の場合はそもそもトピックとして「何が流行しているのか?」を列挙してくれているのでそれに合わせれば良いのですが、それでも、同じトピックでも流行の解決方法、実験方法、分析方法というのがありますからそれの改善案を提案した方が採択確率が上がることがあると思います。

……などと書くと、「上司の気分に合わせて媚びるのかよ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうおっしゃる方は、逆のパターンを使って、「こちらが出そうとしている企画に慣れていただく」という策を取るのがいいでしょう。
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ココロンは本当にキレキレですね。おっしゃるとおり。「真に新しい研究成果の重要性は、多くの人に理解されない」。この事実を胸に刻んでください。新しいということは今まで世界に存在しなかったのですから、その価値や利用方法も同時に知られていないのです。特にそれが独自性が高いものであるならば、提案者以外の誰もがそれを思いつかなかった可能性があるわけです。その研究成果の重要性や価値、評価の仕方を世界に教えるのは提案者であるあなたの責任です。

どこの本で読んだか忘れましたが、「新しいアイデアを論文として投稿するときは数度のリジェクトは当たり前と思いましょう」という記述を読んだ記憶があります。なお、査読者によるアイデアの盗用には注意が必要です。対応については先輩研究者に尋ねてください。

短く簡潔に書く

ページ数を守りましょう。毎週、数百から数千のレベルで発表されている学術論文において「長い」ということはそれだけでデメリットになります。読者が短い時間ですぐに情報を得ることができるのが良い論文です。

新しい企画を立てるときは、必ず長めにしておかなくてはなりません。なぜなら裏付けが必要だからです。
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人工知能学会学会誌2008年5月号:「国際会議に通すための英語論文執筆」特集によれば、論文の場合は新たなアイデアである場合は、「当たり前のところからネチネチと重要性を組み立てる」のが重要だとのこと。長めに書くならIntroductionとその次の章くらいかな?あとは参考文献でちゃんと先行研究調査をしていることをアピール。

追記(2009年7月13日)

本当の本当に身も蓋もないが本当に有効な「論文の書き方」を提示してくださった方がますのでご紹介します。

以下、先生の言葉マルパクリ

「私は論文を書くときには参考資料としてのソース以外に、(全く内容が関係なくても)論理構造がしっかりしている構成用の論文を用意します」

これはとても重要。ただし、お手本にする論文はちゃんと選ぶ必要があります。