私は大学教員なので大学無償化は歓迎すべきことなのですが、それよりも先に幼児~中学校までの教育無償化をしたほうが良いと思う。
自民党は、大学などの高等教育の授業料を無償化した場合の財源として、使い道を教育政策に限定する「教育国債」発行の検討に着手する方針を決めた。
大学無償化のコスト
Googleで検索したところ社会党の福島議員が以前しらべていたみたい。有能。
大学無償化のためにかかる費用です。国立大学で、3315億円、私立大学で、2兆6808億円、公立大学853億円、全大学で、3兆976億円です。 pic.twitter.com/oeXZhIfvT5
— 福島みずほ (@mizuhofukushima) 2016年4月26日
大学種別 | 無償化に必要なコスト |
国公立大学 | 4,168億円 |
私立大学 | 2兆6808億円 |
大学全体 | 3兆976億円 |
就学前教育の費用対効果と無償化のコスト
さまざまな調査で就学前教育(小学校前の幼児教育)が生涯賃金に与える影響などが高いということが調べられている。
保育園無償化のコストについては以下のとおり。
幼児教育の費用については、政府の教育再生実行会議が3~5歳の教育無償化を提言しています。しかし実現には年間約7800億円かかるとされています。政府は財源を確保したうえで段階的に取り組む方針ですが、めどはたっていません。
そもそも提案されていた幼児教育無償化については上の引用記事のとおり
- 読売新聞:無償化方針 めど立たず…幼児教育(2015年の記事)
- 保育のお仕事:賛否両論の幼児教育無償化…どうなる?今後の幼児教育(2015年のエントリー)
給食費の無償化と給食費徴収の問題
この試算も福島議員。有能。
公立小学校における平均給食費は年額約46,930円である。国公立と私立を合わせた児童数は全国で約660万人である。うち95.6万人は就学援助などにより給食費が免除されているので、
46,930円×564.4万人≒2,648億円
一方、公立中学校における平均給食費は年額約53,702円である。国公立と私立を合わせた生徒数は全国で約352万人である。うち57.9万人は就学援助などにより給食費が免除されているので、
53,702円×294.1万人≒1,579億円
よって、小中学校の合計は4,227億円になる。
ただしこの試算は①私立小中学校における給食費の計算も、公立の給食費を基準に計算している②給食の新たな開始に伴う設備などの費用が入っていない、という点については注意が必要。
4227億円の費用の捻出はできると考える。何とか給食の無償化を実現したい。そのために国会で頑張ります。
給食費は、校長の私会計で扱われている現状がある。
【回答4】もこの見解の延長線上にある判断であり、これでは地方公共団体の公的事業として実施している学校給食が、校長の私会計(一存会計)によって賄われることになり、財政民主主義を無視したものといえる。
このような地方自治法を無視した判断をなぜ文部省が行い地方公共団体においてまかり通ったのか、理解することはできない。しかし、判断の背景を推測することはできる。管理局長回答が出された当時、収納は現金が原則であり戦後復興の中で当時も貧困家庭も多く、教員が保護者の給与日に合わせて集金するという状況も続いていた。1960年に地方自治法第235条の4による雑務金の取り扱いの整備が行われた際に、学校給食費の扱いも『公会計化』(歳入処理)に切り替えるべきであったが、そのままに放置されてしまったのである。
(公教育の無償化への再構築 ― 学校徴収金、とくに学校給食費の公会計化をステップとしてより)
いつも聞いているSession 22でこの話を知った。
www.tbsradio.jp
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結論:とりあえず国公立大学の無償化の代わりに給食費無償化を行おう
大前提として教育国債を発行するというのは良いと思う。なぜならば、現在はインフレを起こしたい状況なのにデフレに戻りつつあることから財政政策&金融政策の両方が必要なので。でも、お金使うにしても使う先は考えたい。
無償化 | 無償化に必要なコスト | |
国公立大学無償化 | 4,168億円 | |
私立大学無償化 | 2兆6808億円 | |
大学全体無償化 | 3兆976億円 | |
3~5歳の教育無償化 | 7,800億円 | |
小・中学校給食無償化 | 4,227億円 |
大学無償化という話をするときに、国公立大学と私立大学では無償化についての議論が大きく変わると思う。そこで、まず国公立大学だけを考える。で、国公立大学の無償化の代わりに給食費無償化を行おう。
もし、全大学を検討対象とするならば、大学教育を無償化する代わりに、大学教育の経費(授業料&入学料)を半額にして、残った分を就学前教育の無償化につっこむのが良いと思う。