総合科学技術会議トップ > 専門調査会 > 基本政策専門調査会 > 第8回の配布資料日本の大学発ベンチャーが悲惨な失敗をしないためのポイント(PDF)がすっごくわかりやすくて鮮やか。誰だこの資料作った担当者は!早くこの人を重要なポストにつけて意思決定させてくれ。
ベンチャーがうまくいくための条件をベンチャー会社の組織、市場、資金提供者の観点で列挙し、その条件と日本の現状を照らし合わせて分析している。
3.リスクマネー(エクイティ・ファイナンス)の特徴と大学発ベンチャー
日本では、戦後長らく中央銀行統制下のメインバンクシステムが極めて有効に機能してきたことから、エクイティ・ファイナンスへの理解と実践が著しく欠如しており、これが、「ベンチャー不毛の地」となっている最大の要因である。(加えて、銀行や商社の人がMBA の教科書や留学で学んでも実体験がなく、日本では実地で学べるところが僅か。また、大成功例としてのロールモデルが少なく、他の高給職に比べ敬遠されてしまう。)
〜中略〜
(3)大学発ベンチャーの取るべき正しい行動
- 融資(debt)には手を出さない。個人保証もしない。原則として、エクイティ+若干の自己資金。補助金も裏負担・支払時期などの変動リスクに十分留意する。
- 成功の見込みがなくなった時点で、早期に清算する。(累積赤字を抱え込み、破綻を待つのは愚の骨頂。)
- バーン・レート(手元資金量/毎日の出費=残存可能日数)を極力引き下げる。
- 創業時にマーケットの専門家を参加させる。
- できれば、創業メンバーに外国人を入れる。(出身国市場を直接・間接に理解し、パートナーシップやビジネス交渉の際に力を発揮する。資金調達等でもネットワークを利用できる可能性が高い。シリコンバレーでは自然にこうしたチームができる。)これによって、最初からグローバルな発想ができる
4.適切な創業ベンチャー政策の方向性
創業ベンチャーやVCの特性に対応し、パブリックドメインを明確に意識した適切な政策パッケージが不可欠。異質なdebt の発想に基づく細切れ政策では、仮に、「ベンチャー対策」と銘打っても、通用せず、効果は挙がらない。
詳細は省くが、必要とされる政策パッケージは以下のとおりである。
この分析結果からなら、大学や科学者の質を問う前にまず規制緩和や立法措置により、ベンチャー市場が成り立つ条件を用意するのが最優先だと思うのだけど。