国立大学と私立大学、理系と文系の分断は避けよう

なんか左翼系政治団体の発言みたいですが。

[国の財政] 歳出〜文教及び科学振興費〜 | 税の学習コーナー|国税庁に掲載されている歳出総額の円グラフを転載。何年度の歳出総額なのかはわからない。
f:id:next49:20180205191544g:plain

今回の話題である「文教及び科学振興費」はおよそ5.3兆円。防衛関連予算が5.1兆円。内訳は以下の通り。

文教及び科学振興費は、教育や科学技術の発展のために使われています。
その内訳を見ると、例えば、公立小・中学校の教員の給与などの3分の1を負担している「義務教育費国庫負担金」に1兆5,248億円、教科書の配付や国公立大学法人・私立学校の援助のための「教育振興助成費」に2兆3,315億円が使われます。
そのほかにも公立の小・中・高等学校の校舎改築などのための支出や、育英事業費などもあり、こうした予算によって、学校での教育が運営されています。

[国の財政] 歳出〜文教及び科学振興費〜 | 税の学習コーナー|国税庁より)

平成28年度の事例だけれども私立大学への助成金は以下のとおり。3千億円弱。

(1)平成 28 年度交付学校数は 877 校、交付総額は 3,211 億 6,333 万 7 千円であり、このうち一般補助は 2,701 億 3,600 万円、特別補助は 510 億 2,733 万 7 千円となっている。(表 1)
(2)学校種別の交付額は、大学 2,968 億 8,039 万 5 千円、短期大学 238 億 31 万 4 千円、高等専門学校 4 億 8,262 万 8 千円となっている。 交付額を1校当たりに換算すると 3 億 6,620 万 7 千円となり、学校種別では、大学 5 億 2,084万 3 千円、短期大学 7,829 万 1 千円、高等専門学校 1 億 6,087 万 6 千円となっている。また、交付額を学生 1 人当たりに換算すると 15 万 8 千円となっており、学校種別では、大学 15 万 6千円、短期大学 19 万円、高等専門学校 21 万 7 千円となっている。(表 2)
私学振興事業本部:私立大学等経常費補助金より)

助成金の位置づけは以下のとおり。

私立大学等の教育研究条件の維持向上と学生の修学上の経済的負担軽減、私立大学等の経営の健全化などを目的に、日本私立学校振興・共済事業団は国から補助金の交付を受け、これを財源として全額、学校法人に対して設置学校の経常的経費を補助している。
私大の補助金交付、日大が最高額…嘉悦大ほか4校で減額 | リセマムより)

私立大学の形状的経費の1割ぐらいを担う位置づけの様子。
resemom.jp

H28年度の国立大学90校弱への運営費交付金(私立大学への助成金に該当)は総額1兆1千万円弱(参照:PDF)。
univ-journal.jp

科学研究費補助金(通称「科研費」)に代表される国の競争的資金はH26年度予算で約4千百億円(出典:PDF)。これを国公立大学、私立大学、他の研究機関が取り合う構図。

私立大学等経常費補助金の総額は国立大学運営交付金の3分の1なのでかなりの額に思えるが、700校以上の総額で3千億円であるし、「交付額(一般補助と特別補助の合計額)がもっとも高いのは『日本大学』95億2,092万7千円、ついで『早稲田大学』90億2,179万9千円、『慶應義塾大学』82億4,051万5千円だった。」(https://resemom.jp/article/2016/03/11/30290.html:出典)というように配分がべき乗則っぽい(上位2割が全体の8割を占める)ので、よくある「F欄大学の分の補助金を国立大学へ回せ」というのは実効的でないかも。

ちなみに日本大学、早稲田大学、慶応義塾大学の補助金の額はこちらの運営費交付金ランキングの35位山梨大学〜42位東京学芸大学の運営費交付金ぐらいの額。運営費交付金の決め方は基本的に2004年以前の国立大学時代の運営費交付金をベースに算出され、その後、毎年1%減額し、2016年度から各大学割り当てから一定割合召し上げて、それを取り組み内容によって傾斜配分するというもの。

ご協力願い:2018年1月22日の関東地方大雪に伴う大学の休講措置に関する調査

1/23のSession 22のオープニングにて荻上チキさんが1/22の大雪に対して大学で休講措置をとっていたかどうかをデータに残すべきとおっしゃっていた。私もそう思ったので、Googleフォームで作ってみた。関東の大学に通われている学生のかた、教員のかた、ぜひご協力ください。集計結果のCSVはダウンロードできるように準備したいと思います。

goo.gl


なお、名寄せのために大学の表記は文部科学省のWebサイトに記載されている大学名でお願いいたします。

憲法13条により自衛隊が合憲の論法って憲法学者の間では新説なの?

政府解釈を護憲派憲法学者が述べるようになったのが最近ということ?平成25年11月13日安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(第4回会合);安全保障の法的基盤に関する従来の見解についてによると1972年の政府答弁で憲法13条により自衛隊が合憲の論法がでているようなのだけど。

最近では、さらに度を越した解釈改憲論も木村草太のような護憲派憲法学者から出ている。それによれば、自衛隊・安保は存在そのものが9条2項違反であるが、国民の生命・自由・幸福追求権の保障をうたった憲法13条が、戦力の保有・行使に対する9条2項の禁止を専守防衛・個別的自衛権の枠内で例外的に解除しているという。戦力という最も危険な国家暴力に対する憲法的禁止の例外的解除を、戦力に一切ふれていない憲法13条に勝手に読み込むのは法解釈の枠を超えた妄説で、国民の憲法改正権力を簒奪(さんだつ)する憲法学者によるクーデターと言ってもよい。

しかも、これは護憲派の自滅を意味する。同じ理屈で安保法制支持者が集団的自衛権解禁を擁護することも可能だというだけではない。専守防衛・個別的自衛権の枠内なら戦力としての自衛隊も、自衛のための戦力行使も合憲であるとするこの13条代用論は、自衛隊に違憲の烙印(らくいん)を押し続けるという原理主義的護憲派の「封印」も、自衛隊は戦力(フルスペックの軍隊)ではないという従来の修正主義的護憲派の「封印」も破るものである。

本来ならこんな13条代用論には護憲派から激しい批判が出てきて当然だが、新手の論法として黙認ないし是認されている。9条を変えないという結論さえ保持できれば、従来の護憲派が欺瞞的にせよ維持しようとしてきた「封印」ですら破っても、お構いなしなのである。護憲派が実は憲法破壊勢力だということの、これほど歴然とした証拠はない。
井上達夫: ウーマン村本よ、国民を「愚民視」しているのは誰かより)

関連エントリー
next49.hatenadiary.jp
next49.hatenadiary.jp

AoE (Anywhere on Earth)とはなんぞ

まとめ

AoEは標準時の決め方で「UTC - 12時間」。日本標準時(JST)を使うと「JST + 21時間」 「JST - 21時間」

本文

国際会議の論文募集(Call for Paper)を眺めていたら以下の記載があった。

For each of these deadlines, a cut-off point of 23:59 AOE (anywhere on earth) applies.
RuleML+RR 2018: Important Datesより)

どういう意味?と思ってGoogleで調べたところ標準時間(UTC)から12時間引いたタイムゾーンとのこと。つまり、「ある日」が地球上で最も遅く終わる地域のタイムゾーンの意味らしい。

Anywhere on Earth (AoE) is 12 hours behind Coordinated Universal Time (UTC). This time zone is in use during standard time in: Pacific.
AoE – Anywhere on Earth (Standard Time)

IEEE 802で規程されているらしい。

IEEE 802.16 Working Group ballot deadlines are established as the end of day "AOE", for "Anywhere on Earth." This means that the deadline has not passed if, anywhere on earth, the deadline date has not yet passed.
IEEE 802.16 AOE Deadline Documentation

日本標準時(JST)は「UTC + 9時間」なので、AoEは「JST + 21時間 JST - 21時間(UTCを挟んで12時間+9時間)」となる。世界中において公平な締切だ。

追記

あけましていきなりミス。JST + 21時間だと、AoEの締切の後にJSTの締切が来ちゃいますね。ご指摘ありがとうございます。

年齢別飲酒習慣の年次推移

TwitterのTLを眺めていて以下のようにツイートした。

それに対して以下のようなコメントをいただいた。

調べてみた結果、ご指摘のとおりだった。確かに最近の学生でお酒を飲まない人は多くなった。

飲酒習慣について

Googleで飲酒習慣の年次推移を探したところ該当するものがなかったので作成した。

以下のグラフと表は、厚生労働省: 国民健康・栄養調査の「飲酒習慣の状況(性・年齢階級別)」を元に作成。この「飲酒習慣」は、週3日以上で1日1合以上飲酒する者を「飲酒習慣あり」としている。 厚生労働省: 飲酒習慣者の年次推移(性・年齢階級別)によると、平成15年度以降と前では統計の取り方が変わっているため直接比較はできないとのこと。また、平成25年度はなぜか「飲酒習慣の状況(性・年齢階級別)」がない(翌年から復活している)。

f:id:next49:20171230013743j:plain

「飲酒習慣の状況(性・年齢階級別)」より総数の年齢階級別「飲酒習慣がある」割合(%)

元号 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上
H1 16.9 27.3 30.8 29.1 23.1 16.7
H2 16.2 28.2 31.5 30 27 15.8
H3 14 27.3 31 28.5 25.1 18
H4 15.2 27.3 31.5 30.7 27.1 15.7
H5 13.4 25.1 29.2 27.8 24.1 16.5
H6 13.7 24.1 26.8 27.7 23.9 16
H7 17.8 30.4 32.1 29.6 27.5 19.3
H8 18.9 30.5 32 30.4 26.3 16.6
H9 17.6 29.5 32.4 31.5 25.8 19
H10 17.5 29 33.5 32 27.6 20
H11 16.7 26.3 30.9 33 26.9 20.5
H12 17.2 29.8 29.9 31.2 30.9 18.2
H13 19.3 26.1 33.2 30.5 28.2 20.8
H14 14.6 22.4 32.2 31.4 26.2 20.2
H15 24.2 29.8 33.8 29.7 23 11.9
H16 11.4 23.2 28.5 28.8 22.4 11.4
H17 13 24 29.3 27.1 21.2 10.5
H18 10.1 22 27.4 29.1 20.2 9.5
H19 10.7 23.5 31.8 25.6 22.2 11.1
H20 11.5 20.7 24.8 27 23.4 11.6
H21 8.7 21.4 28.3 28.0 22.5 11.3
H22 9.3 20.7 26.0 25.3 24.7 12.4
H23 11.6 23.1 25.7 30.0 22.7 10.2
H24 8.5 20.0 24.5 26.5 24.5 12.1
H25 N/A N/A N/A N/A N/A N/A
H26 6.0 19.3 27.7 28.4 25.4 12.6
H27 7.1 18.8 23.8 29.0 23.8 12.2
H28 7.5 18.6 25.9 28 25 11.3

全体として減少のトレンドがあるように見える。特に若者は減っている。一方で以下のような記事もあった。

明日香はまず、厚生労働省の統計を調べた。同省は日本酒換算で1日1合(ビール中瓶1本)以上を1週間に3日以上飲む人を飲酒習慣者と定義し、調査している。飲酒習慣者の割合は2003年の21%から12年には20%へと微減だった。よく見ると男性は20~50代で割合が減り、女性は40代以上で増えていた。

ところが国税庁の統計をみると、酒類消費量は増えていた。1996年度の965万キロリットルをピークに減少傾向だが、12年度は853万キロリットルと3年ぶりに増加。総務省の調査では13年に2人以上世帯で家飲みと外飲みの支出がともに増え、単身世帯では支出総額が34歳以下の男性で08年以来の水準に回復、34歳以下の女性は過去最高額となった。
若者の飲酒、実は増えている?|ライフコラム|NIKKEI STYLEより)

アルコールによる健康被害について

厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」の要点は以下のとおりです。

生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、男性で14.6%、女性で9.1%である。平成22 年からの推移でみると、男性では有意な増減はみられず、女性では有意に増加している。年齢階級別にみると、その割合は男性では50 歳代、女性では40 歳代が最も高い。
日本生活習慣病予防協会:生活習慣病リスクを高める量を飲酒している男性は14.6%、女性9.1% 平成28年 国民健康・栄養調査より)