Interop Tokyo 2008観戦記

6/11から13まで幕張メッセで行われている展示会Interop Tokyo 2008に情報収集に行ってきた。

過去のエントリーを見返すと2005年から毎年行っているつもりだったけど、昨年は行っていなかったみたい。2005年に初めて行ったときに比べると驚きと感動が少なかったような気がする。多分、原因は以下のとおり。

  • 初回は生まれて初めての展示会だったので何もかもが刺激的に見えた
  • 2005年は展示製品のかなりの部分がソフトウェア関連だったように思える。今年はほとんどがハードウェア関連。あるいは家電+ネット。私の専門はソフトウェアなので、ハードウェア関連はあんまり興味がわかない。
  • 2005年はインターネット時代到来(Web 2.0が言われた年だったような気が)の華やかなイメージだったが、2008年現在、ネットワークが使えること自体は当たり前になり、どちらかといえば、信頼性と安全性へと興味はシフト。これらをどうやって保証するのかという話題に移り、夢を語る方向から現実路線へ。
  • たぶん、出展企業数が2005年にくらべて減っている。今年はSun microsystemsMicrosoftOracleが出展していなかった。

最後を除いてほとんど私の内的原因だけれども、ソフトウェア「のみ」の時代が終わったのが主たる原因だと思う。帰りの電車の中で読んでいた勝間和代さんの知見がこの現象を説明している。

実は、多くの企業が利益を出せているのは、「他者が追いつくまでの時間の余裕を生かしているだけ」なのです。これを「時間のアービトラージ(裁定)」と呼びます。
〜中略〜
私は経営コンサルタントおよび証券アナリスト時代、インターネットを使ったビジネスが専門分野だったのですが、インターネットビジネスについてはITバブルの頃も含めて、市場よりもかなり悲観的な見方をしていました。なぜなら、誰かが何かを始めて儲かると、同じことを他者が一斉に始めるためです。
勝間式「利益の方程式」商売は粉もの屋に学べ!, pp. 26 - 28)

アプリケーションソフトウェアは第一にアイデアと要求定義が命。なのにアイデア著作権でも特許でも保護されない。要求定義はそのアプリケーションソフトウェアの機能を仔細に分析すれば予想がつく。これだけの条件がそろっているならば、あとは実現するためのソフトウェアエンジニアがいれば、いくらでもキャッチアップできるという状況。アプリケーションソフトウェア「だけ」ではもう商売がなりたたない。そのアプリケーションソフトウェアであつかうデータとか、そのアプリケーションが動くハードウェアとか付加価値が必要。

現在、生き残っている会社やこれから生き残る会社はソフトウェア「だけ」から脱却を図りつつある会社ばかりだと思う。

アマゾンが取次を経由せずに直接出版社から仕入れるようになるそうです。
〜中略〜
一見するとアマゾンというのはIT企業のようにも見えますが、その実態は「優れた倉庫」を持つ物流やさんです。今日のIT企業でここまで「モノを持つ」ということにカジを切った企業はなかなかありません。できるだけ何も持たずにビジネスをしようとするのが常套手段です。だからアマゾンは強い。
裏紙: アマゾン、取次ぎを中抜きより)

Googleだって、ソフトウェアメインの会社みたいだけど、あそこのパワーの源泉は大規模PCクラスタリングだもんね。あれのノウハウがあるからこそ、Googleの検索アルゴリズムが生きて(あるいはGoogleの検索アルゴリズムを生かすためにあの大規模PCクラスタがあって)、他者のキャッチアップを遅らせているのだと思う。そういう意味でGoogleが一番危機に瀕するのは大規模PCクラスタ構築、管理、拡張のノウハウを持った技術者がGoogleを離れていくときだと思う。それ以外は多分たいしたことはない。

ハードウェアを輝かせるためのソフトウェア、あるビジネス形態を円滑に動かすためのソフトウェア。こういう方向にソフトウェア開発の現場は動いているのだろうと思った。まあ、実際の技術者のみなさまにとっては当たり前のことなのだろうけど。

それでも、なんだかんだいって面白いネタを2,3は収集できたし、新しい用語もいくつか覚えたし、ハードウェアの進歩に度肝抜かれたし、テレビ業界は必死なんだなと確認できたりと面白かった。コンパニオンのお姉さん方綺麗だったし。

以下、メモ。

  • 仮想化大流行。素人から見ると何でも仮想化しておけみたいな感じを受ける。ぜひ、仮想化したからどんなメリットがあるのかを分かりやすくアピールして欲しい。導入したいのは技術じゃなくて、ソリューション。
  • グリーン***:消費電力を抑えたり、リサイクルできたりなどの環境問題に配慮した***のこと
  • 『HuuHoo』(フーホー):「『HuuHoo』(フーホー)は、人工知能やロボットに興味がある人のためのSNS。」だそうな。ここに知識工学系のコミュニティーをつくり、アイデアの実現の際の実装段階でこのSNSを運営しているとめ研究所が共同研究なのか受託なのかわからないけど絡むようにするのが目的みたい。面白い。
  • Black Hat Japan 2008:セキュリティのカンファレンス&トレーニングらしい。
  • いまでにIPv6が「もうすぐ、IPv6時代」というノリなのはどういうことか。2005年にあんなに華やかだったのに、今はちょいとさびしい感じ。