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俺たちのBL論

読書

昨年末から聞き始めた(もう、4か月たつの!?)Session 22で紹介されており、面白いと思ったので購入。ただ、そのあと積読になっていたので、別府旅行のおともに持ってきた。

大変面白かった。「かわいい」に関する検討は本当に素晴らしいものだった。

私とBL

BL小説は読んだことがないのだけど、好きな作家の栗本薫/中島梓さんのいくつかの作品が男同士の恋愛を書いているので、中学生~高校生にかけていくつか読んでいた。グインサーガもパロ編、新モンゴール編になるとまっていましたとばかりにそっちに走るので読んでいた。

また、中学生のときにはまったシリーズ「ダーコーヴァ年代記」(著者マリオン・ジマー・ブラッドリー)もちょいちょい同性愛、しかもおじさん同士だったりするのを入れてくるのを読んでいた。

また、中島梓名義のコミュニケーション不全症候群タナトスの子供たち―過剰適応の生態学小説道場を読んでいたので、「やおい」というのは少なくとも栗本さんにとって、否応なく評価される対象にされてしまうことへの抵抗と逃避の手段・場であるという理解だった。なので、最近BLが流行っているというのが不思議だった。そもそも「やおい」と「BL」の違いがわからない状態だった。

今回読んで腑に落ちたこと

何度も著者のサンキュータツオさんが注意喚起しているのは以下のこと。基本的に個人的体験であるということ。

BL、ボーイズラブというものを語る前に、まず言っておきたいことは、私自身、今思い切りBL作品やBL的に世界を見る愉しみを満喫していますが、おそらく完全には理解し切れていないし、またBL体験は、誰の話を聞いても非常に個人的な話になっていき、一般化しにくいものであるということです。そして、おそらく、この世界のことを完璧に理解している人も、またいないということです。
(p. 10より)

あくまでも著者のタツオさんと春日さんの説明に沿ってという形だけど本を読んでいて腑に落ちたことがいくつかあった。

  • 栗本/中島式の生存のための「やおい」という側面があるにせよ、もっと自分にダメージが来ない世界において理想的な恋愛や理想的な絆を見るというようなライトな愉しみかたがあるということ
  • BLとやおいの関係。乙女読み、腐女子読み、BL読み。私は乙女読みまでが修得済みスキルだと思う。なので女性が主人公のダーコーヴァ年代記「ホークミストレス」とかは中学生のときにすごい困惑した。
  • なんでもかんでも「かわいい」か!と思ってしまう理解できない「かわいい」には隙や未完成などのネガティブなものを補完可能な余白としてポジティブにとらえる認識が入っている
    • この発想はなかった。「かわいい」答案とかの例を作れそう
  • 関係性こそが肝!美男同士がただただいちゃいちゃするだけではだめ
  • 女性を抑圧し、傷つける性としての男性の一つの抜け道がBLなのかもと思わされる第3部。異性キャラに対する「萌え」に性的なものが多少であれ含まれてしまうところを「かわいい」を極めていくときに「異性」であることが邪魔になってくる。
  • なぜに「男同士」なのかの理由の一つが「頑丈で乱暴に扱っても壊れない(イメージ)」というのはなるほど。
  • 百合モノが男性に人気がでたというのは 栗本/中島式の生存のための「百合」という側面。すなわち、男性も評価される対象となったという側面もある。
  • 参加記:コンテンツ文化史学会2013年第1回例会「コンテンツと歴史」 - 発声練習でも疑問に思っていた新選組がなんであんなに人気なのかの理由の一端が193ページから始まる春日さんお勧め時代劇ベストカップル。その中の「新選組血風録」の項があの疑問の答えのように思える。腐女子読みのスキル持ちにズンズンささったのだろう。

「かわいい」のところはもっと深い鉱脈がありそうなので、ぜひ、掘っていってほしい。