現在、東京都では20代~30代の感染者が全体の感染者の半数程度を占める状況になっているとのことです(20代が約30%、30代が20%)
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テレビや新聞、政府発表などを聞くと「大学生が飲み屋や立ち飲みでバカ騒ぎし、感染拡大させているイメージ」があるようなきがします。例えば以下の記事では、お酒はサラリーマンですが、併記して大学生のことが書いてあるので、先のイメージを補強しているように感じます。
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待ち合わせをしていた大学4年の女性(22)はそれを耳にし、少し申し訳なさそう。「でも、コロナが収束するのを待っていたら、何もできないまま学生生活が終わっちゃう」
しかし、首都圏にいる大学生は20代~30代のいわゆる「若者」の数に対してそんなに多くありません。首都圏にいる20代の大学生(多くは22歳で卒業)は20代社会人(非大学生)に比べて少数です。データが古いですがe-Statで見つけた「人口推計 平成26年10月1日現在人口推計 」の「都道府県,年齢(5歳階級),男女別人口-総人口」によると東京、神奈川、埼玉、千葉の5歳階級人口は以下のとおりです(人口は千人単位)。
都・県名 | 総数 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 |
東京都 | 13,390 | 737 | 925 | 999 | 1,073 | 1,177 | 1,043 | 863 | 720 |
神奈川県 | 9,096 | 477 | 522 | 574 | 672 | 789 | 708 | 580 | 500 |
埼玉県 | 7,239 | 380 | 398 | 435 | 518 | 610 | 527 | 440 | 418 |
千葉県 | 6,197 | 307 | 329 | 365 | 433 | 511 | 442 | 377 | 361 |
東京について20代・30代に占める大学生の人数はざっくり考えみます。多めに考えて20~24歳の半数を大学生・専門学校生としたとき約36万8千人。残りを社会人とすると約299万7千人。若者(20代~30代)における大学生は12%ぐらいです(20代に占める大学生の割合は約28%)。7年前のデータですが傾向は似通っていると思います。
また、最近、大学生との触れ合いが少ない方々には驚きかもしれませんが、最近の大学生は酒をたしなみません。データとしても、令和元年度の「国民健康・栄養調査」でもその傾向がでています。
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”「飲酒習慣のある者」とは,週に3回以上飲酒し,飲酒日1日当たり1合以上を飲酒すると回答した者。”の定義に基づき、「飲酒習慣の状況-飲酒習慣の状況,年齢階級別,人数,割合-総数・男性・女性,20歳以上」のデータから抜粋します。かっこ内は男性の割合です。
年代 | 飲酒習慣がある割合(%) | 飲酒習慣がない割合(%) |
20-29歳 | 7.8 (12.7) | 92.2 (87.3) |
30-39歳 | 17.2 (24.4) | 82.8 (75.6) |
40-49歳 | 25.2 (38.3) | 74.8 (75.6) |
50-59歳 | 28.1 (41.4) | 71.9 (58.6) |
60-69歳 | 26.8 (45.6) | 73.2 (53.4) |
飲酒習慣に性差が大きいですが、自分が属する世代の数分の1(30代は1/2, 40~50代は1/4)しか飲酒習慣がありません。さらに最近の大学生はお金がないので飲み屋に行きたがりません(参考:大学生のアルバイト平均月収は3万3,559円 - コロナ禍で前年比15%減少 )
以上から、「大学生が飲み屋や立ち飲みでバカ騒ぎし、感染拡大させているイメージ」はたぶん正確ではありません。20代の飲酒習慣が他の年代よりも低いことから考えると、別の場所(たぶん、職場が一番多いと予想)での対策を検討した方が効果があるのではないかと思います。