規則を守って人の嫌がることを一切しないジャーナリストがベストかというと…

この件に関してツイッターとかはてなブックマークとかでは北海道新聞社に批判の意見が強い。
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記者は22日午後に大学関係者に逮捕され、道警旭川東署に引き渡された。署によると、記者は取材のため、関係者以外立ち入り禁止の看護学科棟4階に立ち入っていたという。学内ではこの日、不祥事が相次いだ吉田晃敏学長の解任を議論する学長選考会議が開かれていた。

朝日新聞の取材に対する旭川医大の回答によると、職員が選考会議の会議室から廊下へ出ようとしたところ、扉の隙間から会議内容を録音していた記者に出会った。職員が身分や目的を尋ねたが明確な返答がなく、逃げ去ろうとしたため、学外者が無許可で建物内に侵入したと判断し、警察へ連絡したとしている。

確かに私が職員でも身柄をなんとか確保して警察呼ぶ(少なくとも大学の警備員さんは呼ぶ)と思う。一方で、「北海道新聞の記者の***です。~の取材のため録音していました」と言ってくれれば、録音の削除は求めると思うし、新聞社に抗議するとは思うけど、警察までは呼ばないと思うところ。

で、BuzzFeedの岩永氏が以下のツイートをして、批判されている。

主たる批判点は「大学が立ち入り禁止と指定した場所に立ち入ったのが悪い」というところ。確かに講義室がある場所を除き、教員室や研究室、実験室があるあたりを部外者がうろうろするのは私も困る。研究室のゼミとかを廊下で録音されるのも困る。だから、この批判はうなづけることではある。

でもなぁ、と思うのは件の大学長はいろいろと問題視された行動をとってきた公的な人物であること。
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眼科医の吉田氏は旭川医大の1期生。2007年、北海道大出身者らが歴代学長を務めた同医大で、初の生え抜き学長に就いた。遠隔医療の研究開発で全国的に知られ、09年にはそれまで6年だった学長任期を無期限に延長し、14年にわたる“長期政権”を敷く。

www3.nhk.or.jp

そして、この話は国立大学全体のガバナンスに関連している。
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以上のことから、公的な事柄に関する取材対象であるのは明らかだと思う。

公的機関や会社などの組織は規則を作る側であるので、自分たちに都合の良いように規則を変えられる。このため、規則を守って人の嫌がることを一切しないように取材しましょうということになると、規則を自由につくれる側が非常に強く、市民に情報がでてこないようになってしまう。典型的なのが最近の行政文書の破棄の話。

規則を破ることはいけないことなのだけれども、公的な利益の増進につながることに関しては「違法性阻却事由」という考え方に基づき、許容するのが良いのではないかと思う。
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