日本人も日本人の見学をお断りするぐらいだから

似たような話をネットでみたり、シリコンバレーで活動している方々から聞いたなぁと。見学の対応には人件費かかる。
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つまり、彼らが訪問客と会う理由は、その先にビジネスの機会を見出しているからに過ぎない。ただでさえ労働力が不足している国である。観光ガイドをしているほど、彼らに時間の余裕などない。家族を大切にする分、残業は滅多にしないエストニア人にとっては尚更だ。

「視察」という形だけの訪問が繰り返され、何もビジネスが生み出されなかった結果、日本企業に対する不信感が高まっていくのは自明の理だろう。

海外からの視察を受け入れる政府機関・e-Estonia Briefing Centerも、観光客気分の日本人を相手にしている時間は本来はない。日本企業にありがちな「とりあえず会いましょう」的な表敬訪問ほど、迷惑なものはないのだ。

シリコンバレー、深セン編
togetter.com

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一番の問題点であり、その他の問題を引き起こす真因でもあるのが「目的意識の欠如」です。視察希望者の70%くらいは「こういうことをするために、こういう企業を訪問して、こういう話を聞きたい」といった、具体的な目的を持っていません。

受け入れ側は「視察=協業や投資について話し合う場」として考えている。なのに、視察を願い出た日本企業はその場でジャッジもできないし、そもそもそういうモードじゃない。彼らはあくまで「お勉強」しに来ているんです。

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HAXの支援を受けたスタートアップWalkies labのCEO 藤本剛一氏は、HAXでこれまでで2組しかいない日本人のスタートアップだったこともあり、参加中に多くの視察対応を受けた。

今回の原稿を書く上で改めて話を聞いたところ、「8〜9割の視察団はきちんとしていた」と話しつつも、以下の3ポイントを苦言として挙げてくれた。

1. 事前に分かることを全く調べてきていないで質問する。深セン、HAX等について解説した書籍『メイカーズのエコシステム』や、HAXのページに書いてあることを質問する。

2. そもそも何をしに来ているのかわからない。質問もしない。聞いてるのかどうかもわからない。

3. HAXとあまり関係ない一般的なことをいきなり聞いてくる。なんで日本にはイノベーションが起きないのか、など。

いずれも、シリコンバレーやオランダなど、海外の企業視察を行う日本人に対してよくある不満だ。深センもそういう場所になったということだろう。

彼らが視察費を取るようにしたのは、利益目的というよりは一種のフィルターだと考えるべきだ。

日本編。
toyokeizai.net

そのような「心ある人」にはぜひとも心がけていただきたいのは、話を聞きに行って終わりではなく、小さくとも実践するという覚悟をもって行き、必ず自分の関係する現場に戻ったら実践することです。

そして、その成果を訪ねた地域の人に報告してほしいのです。何より、単に視察するだけではお金と時間の無駄遣いをしていて、自分のいる地元をさらに衰退たらしめることになっていることを認識しなくてはならないのです。無駄な視察ばかりしていては、活性化に近づいているどころか、逆に遠のいているのです。

実は、筆者も2003年、学生時代にアメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアのマネジメントオフィスに訪ねたときに「日本人はよく来るのだが、話した内容がどう実践されたのか、全くフィードバックがない」ということを厳しく言われたことがあります。

日本人は国内だけでなく、海外でもそのような無責任な視察をしているのかと思ったのと同時に大変恥ずかしくもなりました。戻ってから自分の営んでいた事業会社で広告事業や、ビル管理合理化によるエリアマネジメントを立ち上げて今があるのも、そんな話に刺激を受けたからでした。