卒論・修論のバックアップをとろう

にゃーん。


バックアップの基本的考え方

バックアップは次のトラブルから対象データを守るために行う行為です。

  1. 作業環境のトラブルによるデータの消失を防ぐ(普段使用しているパソコンが壊れた。停電などによりデータが壊れた等)
  2. 自分の操作ミス、判断ミスによるデータの消失を防ぐ(手がすべって消すべきでないデータを削除してしまった。いらないと思って削除した文章をもう一度使いたい等)

上記のトラブルから対象データを守るために、バックアップは以下の条件を満たすように実施しないといけません。

  1. 地理的に異なる2か所以上にデータを保存する(普段使用しているパソコンとは物理的に異なる場所にデータを保存する。)
  2. 今現在のデータだけでなく、過去のデータにもアクセスできるようにデータを保存する(少なくとも1週間前のデータを復旧できるように保存する)

バックアップは継続的に行えなければ意味がありません。このため、自分の情報技術に対する知識や技術に応じて、負担のない方法でバックアップをとりましょう。

難易度 低、効果 大:毎日作業終了後にgmailに送り付ける

バックアップ対象のファイルがそれほど多くない場合(たとえば、バックアップ対象のファイルがMS Wordファイル1つのときなど)は、毎日の作業終了後にgmailなどのWebメールサービスにファイルを送信するのが、簡単、かつ、効果的なバックアップ方法です。メールで送信するときに簡単なメモ(今日はどこを執筆したのか、修正したのか。明日は何をすべきなのか)を一緒にかけばより効果的です。

  • gmailに送り付けるとデータは地理的に異なるデータセンターに保存されます
  • メールの日付をみれば、いつの時点のデータなのか確認できます。
  • Webにアクセスできるならば、異なるパソコンで作業を継続できます。

準備はGoogleアカウントを作成するだけです(もし、持っていなければ)
support.google.com

バックアップ手順は以下のとおり

  1. 作成したGoogleアカウントあてにメールでバックアップ対象のファイルを送ります。
  2. 当該メールを保存するフォルダを作成し、そこにメールを保存します(検索しやすくするため)

難易度 中、効果 中:Onedrive、GoogleDrive、Dropboxなどのオンラインストレージに日付別でファイルを保存する

バックアップ対象のファイルが多く、それなりの容量がある場合(たとえばファイルサイズが10Mbyte以上)はオンラインストレージを用いたバックアップが比較的簡単です。しかし、作業ミスに弱い欠点があります。

  • オンラインストレージに保存したデータは地理的に異なるデータセンターに保存されます
  • オンラインストレージは(基本的には)現在、使用しているパソコンの対象フォルダをコピーします(これをミラーリングという)。この結果、自分で日付を区別しないと保存対象のファイルは上書き保存されます。
  • オンラインストレージは変更されたファイルを識別し、オンラインストレージ上に当該ファイルを保存します。このため、作業ミスでファイルを削除してしまうとその結果が反映されてしまいます。

オンラインストレージを使ってバックアップを取る際にはWindowsの「ファイルの圧縮」と「圧縮ファイルの展開」機能を利用して、バックアップ対象のファイルを1つのファイルにまとめます。また、その際に圧縮ファイルのファイル名に日付を付け加え、過去のデータにアクセスできるようにします。

以下の手順でバックアップを行います。

  1. 作業終わりにバックアップ対象のファイルが格納されているフォルダを「ファイルの圧縮」をもちいてzipファイルに圧縮する。
  2. その際に、圧縮ファイル名として日付情報を「YYYYMMDD-hhmm」という形で加える。YYYYは西暦4桁表記、MMは月の2桁表記、DDは日の2桁表記、hhは時間の24時間表記、mmは分の2桁表記。
  3. 作成した圧縮ファイルをオンラインストレージと連携させているフォルダに保存する。

大学でOffice 365を契約している場合はOneDriveを使うのが簡単だと思います。

Googleドライブは15GBまで無料とのことです。

Dropboxは無料で使える容量が2GBなのであまりお勧めできません。

iCloudも一つの選択肢です

難易度 高、効果 大:Onedrive、GoogleDrive、Dropboxなどのオンラインストレージ+バージョン管理システム

オンラインストレージを使うときのデメリットは作業ミスに弱いという点です。一方で、作業ミスへの対応を考えたデータ管理のソフトウェアとしてバージョン管理システムがあります。オンラインストレージ+バージョン管理システムは、難易度が高いですが大変効果的なバックアップ方法です。

  • オンラインストレージに保存したデータは地理的に異なるデータセンターに保存されます
  • オンラインストレージにバージョン管理システムのリポジトリ(バージョン管理システムでデータを管理しているデータベース)のみを保存することで、作業ミスがおこらないようにできる(手動ではオンラインストレージと連携しているフォルダ内のデータを触らない)
  • バージョン管理システムにより、過去データを復旧することができる。

バージョン管理システムとしてはGit、Gitを簡単に扱うためのツールとしてTortoiseGitを利用する。実施方法は説明が長くなるので以下のサイトをどうぞ。

難易度 高、効果 大:GitHub + Git

どうせ、Gitでバックアップをとるならば、オンラインストレージにGit専用のものを使うとより便利になります。利点は上述のオンラインストレージ+バージョン管理システムと同じ。より良い点は作業状況管理についてもGitHubを用いて行えるという点です。実施方法は以下を参照ください。

難易度 低、効果 小~高:Mac OSのタイムマシンを利用する

Mac OSの利用者の場合はタイムマシンという機能を使ってバックアップを取るのが大変簡単だと思います。ただし、タイムマシンは作業ミスには対応しますが、地理的な分散を行う場合はiCloudなどを使う必要があります。

おわりに

そろそろ、卒業論文や修士論文の季節が本格的に始まるのでまとめてみました。みなさん、よい論文執筆ライフを!!