官房長官と文部科学省大臣は特定国立研究開発法人の方に指示をするべき

政治家および行政の長は個々の事例に対して対応するのではなく、仕組みやインフラの方を担当してもらう方が良いと思う。今回はかなり黒に近いグレーな案件だから指示は妥当に思えるけど、政治的・思想的な理由で国立研究所や大学などで行われる研究について政治家や行政の長が指示を行う事例を作るのは長期的に見てよくない。

菅義偉官房長官は11日午前の閣議後の記者会見で、理化学研究所小保方晴子氏らが発表した「STAP(スタップ)細胞」の論文について、文部科学省理研に事実解明を求めていることを明らかにした。「引き続き専門的な見地からしっかり調査を実施し、速やかに事実を明らかにするよう求めていきたい」と述べた。

同論文を巡っては共同研究者である山梨大の若山照彦教授が取り下げを提案している。官房長官理研に対し「会見するなり、そういうことがやられるだろう」とし、早期の対外説明を促した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

日経新聞:官房長官、STAP細胞論文「速やかに事実を明らかに」

下村博文文部科学相は11日の閣議後の記者会見で、理化学研究所小保方晴子研究ユニットリーダーらが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文について「STAP細胞が否定されたわけではないが、疑義を払拭して出し直すのがいいのではないか」と話した。共同研究者の若山照彦山梨大学教授が示した論文撤回の考えを支持する姿勢を見せた。

世界の注目を集めた論文が撤回されれば極めて異例で、研究成果は白紙に戻る。会見では理研が14日にも調査の経過報告をすることも明らかにした。

文科相は「海外にも共同研究者がおり、全員が納得して(論文を)取り下げるのか分からないが、客観的な事実関係を積み重ねて論文をもう一度発表してほしい」と語った。そのうえで文科省としては「理研の説明を踏まえて適切に対応したい」とした。

日経新聞:文科相「論文、出し直しを」 STAP細胞論文


それよりも、従来以上に成果が求められるようになる特定国立研究開発法人を成功させるためにうまい枠組み作るように指示していったほうがよいと思う。たとえば、コスト部門となることを了承した上で追試専門部門を用意するとか、今回のような疑惑がでたときに原因究明を迅速に行うための仕組み(アメリカの航空機業界のような免責こみの仕組みなど。航空事故における「調査」と「捜査」が競合する問題を考える―原因究明を優先する社会をめざして―(PDF)日航機ニアミス事件で考える安全対策のための刑事免責)とか。

政府は5日、世界トップの成果を生みだす業務を担う「特定国立研究開発法人」に、理化学研究所産業技術総合研究所を指定する方針を固めた。同日、下村博文文部科学相や山本一太科学技術担当相ら関係4閣僚が合意した。12日開催予定の総合科学技術会議で正式決定する。

同法人は、給料を年俸制にして高い給与を可能とするなど、世界の優れた研究者を集めるための世界最高の研究環境を整備する。【斎藤有香】

毎日新聞:特定国立研究開発法人:理化学研と産総研を指定へ

下村博文文部科学相や山本一太科学技術相ら4閣僚は5日、世界的な研究成果を目指す「特定国立研究開発法人(仮称)」に理化学研究所産業技術総合研究所を指定することで合意した。月内にも開く総合科学技術会議で正式に決め、内閣府などが関連法案を今国会に提出する。

新法人に指定されれば、優れた研究者に高い給与を支払える。2機関については、論文の引用数や特許数、国際性などをもとに国内を代表する研究機関で、世界最高水準の研究を実施できると判断された。

日経新聞:研究開発法人に理研と産総研指定 4閣僚が合意

世界最高水準の研究開発を行う独立行政法人を巡って関係閣僚が会談し、優秀な研究者の確保に向けて、高額の報酬を支払うことができる「特定国立研究開発法人」に「理化学研究所」と「産業技術総合研究所」を指定することで一致しました。

政府は、独立行政法人改革の一環として、世界最高水準の研究開発を行う独立行政法人を「特定国立研究開発法人」と位置づけ、優秀な研究者の確保に向けて、高額の報酬を支払えるようにすることなどを目指しており、今の国会に必要な法案を提出することにしています。
こうしたなか、新藤総務大臣や下村文部科学大臣ら関係閣僚が5日会談し、科学技術に関する総合的な研究機関で発表された論文の質や量が世界ランクでも上位にある「理化学研究所」と「産業技術総合研究所」を、「特定国立研究開発法人」に指定することで一致しました。政府は今月中にも総合科学技術会議を開いて、正式に指定を決めることにしています。

会談のあと、下村大臣はNHKの取材に対し、「世界トップレベルの成果を挙げるため、国民の期待に応える新たな研究開発法人を目指してほしい」

NHK:優秀な研究者確保 理研と産総研を新法人に指定へ

追記

新しく国立研究所を作らないならば産総研理研で納得の選択なので、この二つが特定国立研究開発法人になるのは良いと思う。ただ、上述のとおりどういう方法で不正を防ぎ、かつ、良い結果を得られるようにするのかについて指示をすべきだと思う。