台風の接近にともなう休講判断基準例

週の後半に再び関東に台風が接近するみたいなので、自分の勉強がてら大学関係者のみなさまのご参考まで。

暴風警報、強風注意報

気象庁:警報、注意報、気象情報によると暴風警報、強風注意報は以下のとおり。

  • 暴風警報
    • 暴風によって、重大な災害の起こるおそれのある旨を警告して行う予報。
    • 運用基準:平均風速がおおむね20m/sを超える場合(地方により基準値が異なる)。
  • 強風注意報
    • 強風によって、災害が起こるおそれがある場合にその旨を注意して行う予報。
    • 運用基準:平均風速がおおむね10m/sを超える場合(地方により基準値が異なる)。

上記は平均風速。最大瞬間風速については最大風速と最大瞬間風速によれば、以下のとおり。

一般的に、瞬間風速は平均風速の1.5から2倍近い値になります。暴風警報が発表され、「25メートルの暴風の恐れがある」といった場合、瞬間風速では50メートル近い風が吹く可能性がありますので、注意が必要です。

風速と被害

−災害情報−いさぼうネット:風速と感覚と被害より表を転載。

風速 被害目安
10m/s 樹木が激しく揺れ、電線などがぴゅうぴゅうと鳴る。雨傘が壊される。
15m/s 取り付けの悪い看板が飛ぶことがある。
20m/s 身体を60度くらいに傾けないと立っていられない。子供は飛ばされそうになる。
25m/s 屋根瓦が飛ばされる。樹木が折れる。煙突が倒れる。
30m/s 雨戸または屋根が飛ばされることがある。しっかりしていない家が倒れる。電柱が倒れることがある。
35m/s 自動車や列車の客車が倒れることがある
40m/s 身体を45度に傾けないと倒れる。小石が飛ぶ。
50m/s たいていの木造家屋が倒れる。樹木は根こそぎになる
60m/s 鉄塔が曲がることがある。

金沢地方気象台:風の強さと吹き方にも別の表がある。

平均風速 (m/秒) 10以上〜15未満 15以上〜20未満 20以上〜25未満 25以上〜30未満 30以上〜
予報用語 やや強い風 強い風 非常に強い風(暴風) 同左 猛烈な風
おおよその時速 〜50km 〜70km 〜90km 〜110km 110km〜
風圧(kg重/m2) 〜11.3 〜20.0 〜31.3 〜45.0 45.0〜
速さの目安 一般道路の自動車 高速道路の自動車 同左 同左 特急列車
人への影響 風に向って歩きにくくなる, 傘がさせない 風に向って歩けない, 転倒する人もでる しっかりと身体を確保しないと転倒する 立っていられない, 屋外での行動は危険 同左
屋外・樹木の様子 樹木全体が揺れる, 電線が鳴る 小枝が折れる 同左 樹木が根こそぎ倒れはじめる 同左
車に乗っていて 道路の吹流しの角度、水平(10m/s)、高速道路で乗用車が横風にながされる感覚を受ける 高速道路では、横風に流される感覚が大きくなり、通常の速度で運転するのが困難となる 車の運転を続けるのは危険な状態となる 同左 同左
建造物の被害 取り付けの不完全な看板やトタン板が飛び始める ビニールハウスが壊れ始める 鋼製シャッターが壊れ始める。風で飛ばされた物で窓ガラスが割れる ブロック塀が壊れ、取り付けの不完全な屋外外装材がはがれ、飛び始める 屋根が飛ばされたり、木造住宅の全壊が始まる

通学手段別の基準案

上記の基準を見るかぎり、以下のように考えて良いと思う。「遅刻・欠席への配慮」は住んでいる場所やリスクの見積りによっては、遅刻や欠席してもしょうがないという状態(つまり、授業を行う場合でも遅刻・欠席はしょうがないと判断すべき)。「休講」は休講すべき状態。

通学手段 遅刻・欠席への配慮 休講
徒歩 強風注意報(強い風) 暴風警報
自転車 強風注意報(強い風) 暴風警報
車(市街地) 強風注意報(強い風) 暴風警報
車(吹きっさらし) 強風注意報(強い風) 暴風警報
電車 強風注意報(強い風) 暴風警報

つまり、暴風警報がでているならば休講にするべきということ。また、強風注意報(平均風速がおおむね10m/sを超える場合)は、最大瞬間風速で 20m/s がでる可能性があるので、電車の運行に影響がでる可能性もあるので、そこも考慮が必要。

追記(2013年10月23日):暴風警報がでた場合には休講だけでなく休校にすべき。休校が難しい場合でも徒歩十数分〜数十分の人にだけ出勤してもらい、他の人は自宅勤務にしておくべき。怪我したり死んだりした方が後々のダメージがでかい。

台風26号に伴う休講判断事例

Togetter:台風26号に伴う休講情報の発表状況で調べた中で言うと、千葉大学の掲示が非常に明確であり、学生および教職員にとってよかったと思う。台風上陸の前日に既にWebに掲載していたという点も素晴らしい。

本学では、台風等により、気象庁から各キャンパスの所在地域に「暴風警報」(以下「警報」という。)が発令された場合、以下の基準により休講措置をとります。

  1. 午前6時30分までに警報が解除されない場合は、第1及び第2時限の授業を臨時休講となります。
  2. 午前10時までに警報が解除されない場合は、第3、第4及び第5時限の授業を臨時休講となります。
  3. 正午までに警報が解除されない場合は、第6及び第7時限の授業を臨時休講となります。
  4. 授業の開始後、警報が発令された場合は、当日のその後に開始する授業を臨時休講となります。

千葉大学:台風に伴う休講措置の判断についてより)

他の基準つきで休講を公表していた大学

学生への直接連絡手段を持っている&担当職員が当該時間から動けるのならば、X時に判断して連絡するというスタイルでも悪くない。

前日のうちにWebサイトにお知らせを記載していなかった大学は論外として、埼玉大学のお知らせは判断を末端に投げているのでよくない。

台風26号の影響により、明日16日(水)は、早朝から風雨のピークが見込まれます。
ついては、交通機関の状況等を充分に踏まえ、通学に際しては、無理をしないでください。
また、台風の状況次第では、当日授業が休講になることもありますので、大学で公開している休講情報を確認してください。
http://park.saitama-u.ac.jp/~zengaku/docs/kyuko/kyuko.html
なお、事前の休講情報に対応できない授業もあり得ますので、予めご了承ください。
埼玉大学:【学生の皆さんへ】台風接近に伴う対応についてより)

おわりに

学生や教職員の安全を考えれば、強風注意報がでた段階で休講・休校の判断を行うべきであるが、代替時間の確保(補講など)や教職員・学生が住んでいる場所、通学方法が多岐に渡っていることをからなかなか難しい。次善の策としては暴風警報がでたときに機械的に休講の判断ができるようにしておくのが良いと思う。

年に一度(新年度ガイダンス時)に学生および教職員の通学方法についてアンケートを行っておき、各種災害(地震、台風、大雨、強風、鉄道やバスの停止など)に対して、どういう対処を行うべきかの方針を決めておくのも良いと思う。

というか、大学の中の人だから自分で提案しろということね。

追記:休校と休講

なにこれ?休講と休校の区別ができていない?教職員は関係ないでしょ.休講如きで出勤しない教職員なんて首にしちゃえよ. 台風の接近にともなう休講判断基準例 - 発声練習 http://d.hatena.ne.jp/next49/20131021/p1
Twitterより)

おっしゃるとおり、休校と休講の区別をできていなかった。暴風警報がでた場合には休講だけでなく休校にすべき。休校が難しい場合でも徒歩十数分〜数十分の人にだけ出勤してもらい、他の人は自宅勤務にしておくべき。怪我したり死んだりした方が後々のダメージがでかい。