武雄市立図書館にスターバックスが入る話

Togetter:「武雄市立図書館への「スターバックス」出店が決定」を見た人のコメントで、図書の汚損について危惧されていたけど、先行して導入した大学図書館に尋ねたらよいと思う。図書館にカフェ施設を入れるのは良いと思う。できれば、貸出後の方が汚損図書の追跡とかメリハリの関係で良いとは思うけど。

スターバックスは筑波大と名古屋大の図書館でも併設しているが、コーヒーは館内には持ち込めないという。武雄市教委文化・学習課は「家でくつろぐような空間を図書館でも提供し、利用者増につなげたい」と話している。

追記2:汚損に関する論点と先行事例

筑波大学付属図書館に併設されているスタバについて情報を乞うたところいろいろと教えていただいた

Twitterで、fmht7さんに教えていただいた以下のGoogle mapで作ったカフェのある図書館マップがすごい。

図書館にスタバ併設で汚損図書は増えるか?で教えていただいた筑波大学中央図書館のスタバやTogetter:公立の図書館はがんばっているで紹介されている先行事例やfmht7さんとの議論を通して理解したことによると、カフェ併設といってもいろいろなケースがあるらしい。主な論点は、貸出前の図書を持ち込めるか?カフェの設置場所は図書館内か?図書館の閲覧所および開架で飲食可であるか?の3点。

貸出前か後かが問題になるのは汚損図書の弁償責任が誰にあるのかを証明する難しさが変わるため。当然、貸出後図書のみにした方が賠償責任ははっきりする。ただし、これは、一見してわかるぐらいの汚損に限る話。実際にページを開いてみないとわからない汚損については「私が借りたときにはもう汚れていた」と言われてしまうとどうにもならない。

カフェの設置場所が問題になるのは以下の2点。1) 貸出前図書を持ち込めるかどうかに関係する(図書館外設置なら貸出前図書は持ち込めない). 2) テイクアウト可能な飲食物を図書館に簡単に持ち込めるかが変わる。スタバの場合は2)の論点も大きい。

図書館の閲覧所および開架で飲食可が問題になるのは明らか。特に開架スペースでの飲食は、開架スペースで飲み物をぶちまけてしまうと、多くの図書(禁貸書含む)を一気に汚損してしまう。

以上を考慮して場合分けをしてみる。

論点 持ち込める図書は? カフェの設置場所はどこか? 図書館の閲覧所・開架で飲食可か?  事例
ケース1 貸出後図書のみ 図書館外(敷地内ではある) 飲食不可 多くの併設カフェ、筑波大学中央図書館付属のスタバ
ケース2 貸出後図書のみ 図書館内 飲食不可 --
ケース3 貸出後図書のみ 図書館内 飲食可 --
ケース4 貸出前図書OK 図書館内 飲食不可 武蔵野市立図書館:武蔵野プレイス
ケース5 貸出前図書OK 図書館内 飲食可 fmht7さん予想の武雄市図書館スタバ。ただし、開架スペースは飲食不可。千代田区立日比谷図書文化館有田川Library:ALEC

本来ならば3パラメータあるので2×2×2で8つのケースが存在するけれども、貸出前図書OKならばカフェの設置は図書館内しかありえないこと。カフェの設置が図書館外ならば、館内飲食禁止が当たり前であることから、あり得ないケースを省いている。

多くのカフェ併設図書館はケース1(貸出後図書のみ、図書館外)。筑波大学中央図書館付属のスタバもケース1となる。ケース2、ケース3の貸出後図書のみOKで図書館内にあるカフェの事例は見つけられなかったけど、基本的に貸出後図書のみにするなら図書館内に設置する意義が薄いので存在しないのではないかと思う。ケース4は、先行事例が2例ある。ケース5は、fmht7さん予想の武雄市図書館スタバ(ただし、開架スペースは飲食不可)。確かに新武雄市図書館のカフェレイアウトを検証してみる市立図書館、初のスタバ 本持ち込みOK 佐賀・武雄での「スターバックスは筑波大と名古屋大の図書館でも併設しているが、コーヒーは館内には持ち込めないという。」という記述からすると、fmht7さん予想は妥当だと思われる(新武雄市図書館のカフェレイアウトを検証してみるでfmht7さんが提案されているのはケース1)。

私の意見としては、図書館内の閲覧スペースおよび開架スペースに飲み物を持ち込まなければ(すなわち、カフェに本を持ち込むようにすれば)、先行事例からすれば汚損図書が劇的に増えることはなさそうなので、ケース4も認めて良いと思う。ケース5は図書館内の閲覧スペースおよび開架スペースに飲み物を持ち込むことになるので止めた方が良いと思う。