iPhone虚構新聞アプリがUDIDの収集をしていた件

なんという好事例。情報リテラシーの教材として素晴らしい。

前提知識

行動ターゲティング広告とUDID

事業者の心得(悪徳商法マニアックスの過去ログより)

私は「事業者には冷たいレス屋」として知られています。それは、事業を営む以上、自分がお客に対して様々な契約を勧
める立場でもある、つまり「契約のプロ」という事を認識して欲しいんですね。そのため、たとえ買う商品のプロでなくとも「契約のプロ」である誇りを持って、「こういう契約紛争が生じたらどうなる」くらいは基礎知識として持っていて欲しいわけです。事業者がそういうプロの意識できちんと正しい契約紛争の解決を知っている事で、消費者や取引先はその事業者から安心してものが買えるのでは無いでしょうか?事業者の方から契約紛争の「いろは」の様な質問を受けるとガックリしてしまって、ついつい冷たいレスになる面があるのです。

私の理解

  1. ブレイブソフトNEWS AGENTの対象として、虚構新聞iPhoneを作らないかと呼びかけ
  2. 虚構新聞がそれを承諾し、記事更新は虚構新聞、アプリ開発&広告配信の仕組みはブレイブソフトの形で役割決定。広告収入は虚構新聞とブレイブソフトで分ける
  3. 虚構新聞iPhone版でUDIDを取得し、それをAPP Trackerアドネットワークアイモバイルに送信していることが指摘される(iOS AppでUDIDを詐取するEvilな会社たち(その6) ブレイブソフト&虚構新聞篇の「パケット解析」を参照)
  4. 虚構新聞の筆者はUDID収集していることおよびの収集していることの問題点を理解していなかった様子
  5. ブレイブソフトからのプレスリリースがでる当社のアプリにおける個人情報の取得について

論点

  • 虚構新聞の名を関した冠したアプリをリリースし、かつ、そのアプリの利用により収入(それが微々たるものであったとしても)を得ている虚構新聞社主を事業者とみるかみないか
    • 事業者とみれば「記事提供者が詳細なアプリの仕様まで全て把握してなければいけないものなんでしょうか」という質問には「はい、把握していないといけません。」
    • 事業者とみないならば「記事提供者が詳細なアプリの仕様まで全て把握してなければいけないものなんでしょうか」という質問には「いいえ、把握できないのもしょうがないと思います。」
  • UDIDの収集を問題視するかしないか
    • 問題視するならば「よりプライヴァシーに考慮した代替手段があるのに使わないのはソフトウェア開発会社として不誠実である」
    • 問題視しないならば「そんなに熱くなるなよ!」
  • ソフトウェアについて詳しいかどうかわからない人にいきなり専門用語まじりの詰問調で問いかけるのがよいのかわるいか
    • 良いと考えるならば「コミュニケーションについて問題はない」
    • 悪いと考えるならば「指摘している点は正しいけど、あの言い方ではわからないし、対応できない」

どうみればよいか

  • ブレイブソフト側(儲かりそうでも黒に近いグレーなビジネスを考えて実行する立場)からの視点
  • 虚構新聞社主側(ちょっと名前とコンテンツを貸してあげただけな立場)からの視点
  • セキュリティクラスタ側(問題の指摘側)からの視点
  • 虚構新聞のファン側(コミュニケーションに焦点をおいている立場)からの視点
  • 神様(この騒動の第3者&いろいろな情報収集&任意の行動選択が可能)の視点

感想

ラッセンの絵を使って勧誘販売をしているかのような風情。今回の虚構新聞とブレイブソフトのような事例は今後増えていくように思う。行動ターゲティング広告を目的として、データ蓄積媒体としてのコンテンツクリエーターをくどくというような話。