経済とお金儲けの真実

飯田さんの別の本を何冊か読んでいるので大体知っていることだったけど面白かった。高校生や大学生は読んでみたら楽しめるのではないかと思う。構成は経済学者である飯田さんとバイヤーである坂口さんの問いの出し合いで進む。坂口さんの実際に商売をやっている実感からくる経済学への質問に飯田さんが答えるというのが基本構成(たまに、その逆もあり)。

個人的に読んでいて憂鬱になったのが「わかりにくさが大金を生む」という話の部分。完全に情報が明らかになっている状態では、必ず商品の値段や労働賃金が下がるということに、納得するとともに、得たいのしれない大学教員というものをわかりやすくしよう、得たいの知れない研究者をわかりやすくしようという行動は、結果として自分の待遇を悪くする行為であるということに理解が及んでしまったのが憂鬱。「わかりやすさ=マニュアル化可能」と考えれば、この話はコンピュータが仕事を奪うにも通じている。まあ、世の流れだからしょうがない。

他には4章の地域通貨の話。5章の各種日本人論への反論がおもしろかった。

そして、この本を高校生や大学生に読んで欲しい一番の理由は5章の最後から6章にかけての、これから私たちはどうするべきかという話。

一つ目は、今、就職活動でお祈りされ続けている人には勇気のでる言葉が載っている。要約すると「勤められるのは一社だけなのだから、99社に門前払いくらっても1社に気に入られるような自分の売り方をしよう」ということ。結局、相性などがあるのだから、どの会社でも内定もらうような面接戦術はあり得ない。なら、1社はがっつりと食いついてくれる自分の売り方をしたらよいじゃないという提案が載っている。

二つ目は、「仕事は楽しいかね」でも述べられていた「たくさんジャンプすること」。事例つきで紹介されている。

三つ目は、効率良く勉強しようということ。教養やリテラシーは自分で金を払って時間をかけて身につけろ。資格や実戦力は誰かから金をもらって身につけろということ。

本のあおりが「20代で知っておくべき儲ける人、騙される人の新常識」はそのとおりだと思った。