「科学技術基本政策策定の基本方針(案)」に関するパブリックコメント

研究環境について意見を書けばよかったのだけど、6月7日の23:00から「科学技術基本政策策定の基本方針(案)」を読み始めたので間に合わず、以下の思い付きを送ってしまった。思いつきだけど、基本的な主旨はノーベル賞受賞者じゃない研究者の緊急討論会で発言したことと同じ。

ちょっと吹きすぎたかも。

送った意見:

  • Ⅲ.国家を支え新たな強みを生む研究開発の推進
  • 2.豊かな国民生活の基盤を支える(「3.産業の基盤を支える」に送るべきだったかな)

次世代のキラーハードウェアおよびキラーアプリケーションの開発を見据えて、日本およびアジア圏(非アルファベット圏)における人文学の学術成果の電子ライブラリー化をおこない非アルファベット圏における電子版アレキサンドリア図書館の構築をおこなう。

歴史的経緯により、計算機や従来計算対象とされていた数値、画像、動画などを扱うソフトウェアの開発、そして英語圏に蓄積された文献の収集に関しては、日本は現状から巻き返すのが難しい状態であると思う。

一方で、計算機の高速化が進んだ現在、次世代の計算対象は、人文学が研究の対象にするものになると予想される。実際、Googleは猛烈な勢いで英語圏の文献を収集している。Googleを始めとする欧米系の会社および研究機関が欧州語での人文学の成果を電子ライブラリー化していくのであれば、日本は日本およびアジア地域の人文学の成果を電子ライブラリー化していくのが良いと考える。

日本は、公用語としてひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットを利用するマルチバイト文字大国であり、マルチバイトデータを扱う技術は十分に蓄積されている。また、歴史的かつ地理的要因から中国および印度の古典も国内に多く存在している。さらに、これまで行ってきた留学生増加政策により、アジアを中心とした留学生も多く受け入れている実績があり、留学生および元留学生の人脈を通じて、アジアの人文学者との連携も取りやすいと思われる。

具体的な方針としては、第一に電子ライブラリーの根幹となるフォントを開発、公開する。人文学の成果の電子化を阻む原因のひとつはフォントが存在しないことにある。そこで、既に開発・公開されているIPAフォントをベースに日本語、中国語(簡体・繁体)、韓国語(ハングル文字)のフォントを開発し、公開する。また、その後、フォントの開発を順次進めていく。特に電子化が遅れているアジア諸国を中心に行うのが好ましい。それと並行して、国内の人文学系学術雑誌の電子出版化を行う。アジア諸国への展開を見据えた電子出版プラットフォームを開発し、それに国内の人文学系学術雑誌を順次載せていく。ゆくゆくは、人文学版PubMedを目指す。また、既に出版済みの人文学系の専門書および論文を国会図書館を中心として電子ライブラリー化する。日本国内において、人文学の成果の電子ライブラリー化のノウハウが十分に蓄積された段階で、アジア各国の人文学データも該当国の人文学コミュニティと協力しつつ行っていく。