まともに卒業研究をしている学科・専攻は安泰

漢字が読めない書けない、ことわざの意味を知らない、歴史を学ばない、勉強時間は中国人の半分、大学の教科書はマンガ、年間に一冊も本を読まない国民がなんと3000万人。そして何より働かない。途上国からもバカにされる学力と国力。

この記事の内容が正しく現状を表しているとするならば、まともに卒業研究をしている学科や専攻は安泰。ブランド力を十分に維持できる。

「コピペルナー」と名づけられたこのソフトを使えば、学生から提出された論文やレポートが、インターネット上から「コピペ」されたものであるかどうかを判別できるのだという。たとえ学生が文中の一部を書き換えていたとしても、全体の何割がコピペで構成されているかがわかるようになっている優れものだ。

昨年12月、教育機関を対象に販売されたこのソフトは、卒業論文提出期限を間近に控え、大学から注文が殺到しているという。

東京大学京都大学の教授からも『早くウチにも欲しい!』という声がありますから、コピペ問題は一流大学においても無縁ではないようです。ただ、これは大学教授のために開発したのではなく、あくまで学生のために開発したものです。

実験、製作・開発、フィールドワークなどの実際の行動を伴う卒業研究においては、コピペ問題など発生しない。どうしてかといえば、学生の行動を見ていればその卒業論文を書けるかどうかは簡単に把握できるため。仮に、学生が卒論執筆代行者に適宜データを送っていたとしても、それはほとんど卒業論文を書くのと同じくらいの労力を費やしていることに他ならないので、うまく騙しきれるならばそれはそれでかまわない(全然、依頼する学生は全く楽できていないのでお金の払い損)。

しかも、普段のゼミでの発表やメールや他の文書でのやり取りをみれば、学生の日本語能力や専門知識の量はだいたい把握できるので、その把握しているレベルを超えてくる文書を書いたのならば大体分かるはず(少なくとも違和感を覚えるはず)。あとは、何回か修正させたり、口頭で質問したりすればすぐに見破れる。

リンク先の記事では、他にも一般常識とされる事柄を知っていないことや、授業評価アンケートで大学があまりにもサービス業よりになっていることを憂いているけど、この点についてもまともな卒業研究をちゃんと終えてきた学生ならば特に問題なくクリアーできている。

卒業研究は、知らないことだらけの状態から始まり、自分でどんどん必要とする知識を増やして何とか終わらせるものなので、批判的読書法や検索エンジンや図書館を利用した情報検索の基礎は必ず習得している。少なくとも、リンク先の記事で憂えられている程度のことならば調べられる。

また、卒業研究は論文を執筆する学生が仕事を進めない限り、誰も代わりに実験や製作・開発、フィールドワークを進めてくれないので、学生は「お客様」として振舞えない。なんせ、サービス提供主が自分自身を除いていない。

記事では「優秀な」留学生の談話が載っているけど、私の周りにいる留学生は日本人学生と大差ない。まじめな子はちゃんと勉強するし、ふまじめな子は大学にこない。それが発展途上の中央アジアからの留学生であっても同じ。国費留学生は比較的勉強するけど(選抜があるので)私費留学生は当たりはずれが多い印象。

書き散らかしてしまったけど、無理やりまとめる。

卒業研究に苦しんでいる/苦しんでいたみなさまに置かれまして、ぜひ、自信を持ってください。どうやら、みなさまの周りの学生はびっくりするほど知識や技術を身につけていないようです。ぜひ、ご自身の優位を生かしてください。

今、大学1〜3年生のみなさん、あなたの所属学科・専攻で卒業研究がまともに実施されているようでしたら、ラッキーです。企業も節穴ではありませんから、周りがリンク先記事のようにひどい学生ばかりなら、必ずあなたの所属学科・専攻の学生を取りたいと思っていることでしょう。勉学に励んでください。

受験生のみなさん。リンク先の記事が本当なら、まともな卒業研究を実施しないような学科や専攻に進んでもなーんも価値がないようですよ。理学部、工学部、農学部はまともな卒業研究を実施する傾向にあります、こちらの学部・学科を選んでみてはいかがでしょう?せっかく高い授業料払って大学でたのに、リンク先の記事ように扱われたら嫌じゃないですか?

補足:まともな卒業研究とは?

私の考えるまともな卒業研究とは以下のものです。

  1. 扱う問題自体は研究テーマと成りえる、あるいは、研究テーマと成りえる問題の一部であること
  2. どんなに小さいものだったとしても、研究遂行時に試行錯誤が発生する
    • 既に正解が分かっているテーマは、単なる演習、あるいは、追試。
  3. 卒業研究および論文がある一定以上の品質でなければ、指導教員からやり直しが命じられる
  4. 成果発表会である程度の基準をクリアしないと、再発表あるいは卒業の取りやめを命じられる
    • どんな粗末なものでも形式だけ整えれば良いでは、研究の基本的技術を学べないので無意味

指導教員(あるいは指導教員に命じられた上級生)による卒業研究の過程の管理と評価がない卒業研究はまともな卒業研究とはいえません。