企業の研究者をめざす皆さんへ

企業を目指す人だけでなく、研究者を志す人は読んでおいた方がよいと思う。「企業の研究者」という立場でかかれた本はとても貴重。著者は、IBMの東京基礎研究所の所長経験者であるため、この本を読むとIBMのすごさを改めて感じさせられる。そして、大学で微力ながら大学院指導を手伝っている身としては、大学で学生に教えている研究技術(あるいはメタ研究技術)は企業研究所でも同じように求められているのだなぁと感じた。

ただ、構成は、著者が所長時代に書いた社内報(レター)を中心にそれへコメントというか補足説明をするかたちで作られている。このため、正直読みづらい。頭からお尻までじっくりと読むスタイルの読書の場合は、これでも良いだろうけれども、パラパラと役に立ちそうなところだけを読もうと思うと、重要なことがどこに書いてあるのかわかりづらい。一種の論文集のような感じで読むと良いかもしれない。

他の研究者の話を出すとき実名かつなぜその人はすごいと思うのかを具体的に述べてくれているので、とてもわかりやすいし、少なくとも著者の丸山さんが所長時代のトップレベルの人材は誰なのか(たぶん、今もトップレベルだと思うけど)がわかるので、日本の情報系研究者の情報収集としても使えると思う。