あなたに求められているのは問題解決可能性

私の勤務している学科では、学生の就職意識を高める一貫として社会人の方にいろいろとお話してもらう講義を設けている。毎回、地元の中小企業の社長さんや役職持ちの方に来てもらい多少の会社宣伝込みでお話してもらっている。講義の最後のお決まりは「会社が求める人材」というトピックで終わるのだけれども、ここでいつも言われるのが「人脈」の重要性。で、計算機科学・情報工学系に進学する人は比較的人付き合いが苦手という人が多いのでこの「人脈」という言葉にちょっと恐れをいだくみたい。

私も正直「人脈って言われても、そんなに友達多くないしなぁ。あと、友達にもそんなディープなお願い事はできないよなぁ。迷惑になるし」と思っていた。でも、何人かの企業の方の話を聞いて、博士ネットワーク・ミーティング@つくばのグループディスカッション中にサイコムの富田さんがおっしゃっていたことを思い出した。

企業が求めているのは問題を解決できる人間。問題が解決できることが重要であって、どうやるのかはその次の問題。だから、自分の能力・知識だけで解決できようが、自分の知り合いに解決してもらえようがどちらでも良い。」というような主旨の話。講師として来てくださった方が人脈が重要であるという話をするときは、決まって、「自分が〜というトラブルに直面したとき、仲良くしていた人に電話/相談しまくって、〜という問題をなんとか解決できた。だから学生時代に人脈をよくつくってください。」という展開。まさしく、サイコムの富田さんがおっしゃっていたことそのものだった。

相談の深刻さについていろいろなレベルがあると思うけれども、求められているのは「問題が自分の手に負えないときにどのくらい質問/相談できる相手がいるか?」という点にあると思う。この「質問/相談できる」程度の間柄ならば、それほど親しくなくても大丈夫のような気がする。会えば挨拶し場合によっては社交的な雑談(5分程度)できる間柄ならば、礼儀正しく質問/相談すればある程度の情報はもらえるだろう。

また、「人脈の必要性=問題解決の可能性がアップする」が正しいのであれば、重要なのは問題解決であって、人の多さではない。なので、人の代わりに本や論文であっても別にかまわないはず。図書館の司書さんやいろいろな文書館の司書さんと知り合いならば、ここをハブとして、人脈代わりに本を利用できる。

結局何がいいたいかというと、「人脈=自分のために困難なことをやってくれる人たちのネットワーク」じゃなくて、「人脈=困ったときに質問/相談できる人たちのネットワーク」であり、しかも目的が問題解決の可能性アップなので、人付き合いが苦手な人は図書館利用のスペシャリストになってもOKよという話。たぶん。