参加記(1):ミーティングの進め方について


今回のミーティングは14:00〜18:00(実際は18:00で仮締め、19:30本締め、19:30〜飲み会)という長丁場だったけれども、始まってみるとあっという間だった。

進め方をまとめると以下のとおり。

  • 3名による10分程度ずつのプレゼンテーション
  • パネルディスカッション
  • 自己紹介
  • グループ別ディスカッション

まず、スタートはNPO法人サイエンス・コミュニケーションの代表 榎木英介さん、同理事 富田悟志さん、秋田県の博士号もち教員として採用された瀬々将吏さんの簡単なプレゼンテーション。これでおおよそ30分。次にこの3名にid:sivadさんを加えた4人によるパネルディスカッションというか参加者からの質問に答えようコーナー。これが40分くらい。続いて、参加者(40名以上)の自己紹介。名前と所属、研究テーマなどを発表。1人1分強で40分くらい。

休憩を挟んで、大体16:00くらいからオープン・スペース形式のディスカッションを複数のテーマでパラレルに開始。18:00過ぎにグループごとに何を話していたのかの簡単なまとめ(6テーマで大体30分くらい)。一度、閉会にして用事のある人は帰宅。

19:30ぐらいまで続けて、おしゃべり&ディスカッション。19:40くらいからつくば国際展示場近所の魚民で飲み会というながれだった。

パネルディスカッション

パネルディスカッションは正直いまいちだった。理由はディスカッションのテーマが無かったからだと思う。質疑応答タイムみたいになってしまった。次回があるならば、テーマを設定してパネルディスカッションをしたほうが良いと思う。あと、パネルディスカッションは司会がネタを降り続ける必要があるので、今回のように4人がフラットな立ち位置でパネルディスカッションをするとうまく行きづらいのではないかと思う。

でも、瀬々さんから富田さんへの質問「いろいろと意見を出していきたいのですが、新入りですし、いきなりいろいろ言っても『なんだこいつは?』と言われてしまうと思います。どうやったら人を動かすことができると思いますか?」。富田さんの答えは「仮説を立てて、それがうまくいくか検証して、うまく行かなければまた新たな仮説をたててという試行錯誤の段階を他人が手伝ってくれるわけない。理由は、うまくいくかどうか分からないから。まず、自分でやってみて他人を説得できる証拠をを用意してから他人を巻き込むのが良い」というもの。とても納得した。

全員による自己紹介

正直「時間の無駄だろう!!」と思ったけど、聞いてみたら案外面白かった。でも、今回は聴衆席がパネラーの方を向いて3列に並べられていたので、一番前の列以外の人が自己紹介をしようとすると誰かにお尻を向けなければならなかったり、体をねじって後の自己紹介をする人を見なければならなかったので、こういう場合は、全員椅子から立った上で部屋の壁を背にし、円形になって自己紹介した方がよかったと思った。

あと、この自己紹介で面白かったのは綺麗な姿勢でぴっしり立って自己紹介をしている人が少なかったこと(たぶん、私もダメだったと思う)。無意識だとは思うけど、体が斜めになっていたり、マイクを持たない方の手をポケットに突っ込んでしまったり、ナルシス系ボーカルがMCをするときの持ち方(こちらの持ち方で、空いているほうの手で、マイクを持っているほうのひじを軽く押さえ、体全体をちょっと斜めに傾ぐ、首はもっと傾ぐ)になったりしていて、「これは博士号取得者のイメージ悪いや」と思わされた。

いや、博士にかぎらずほとんどの人も同じなんだろうけど、博士号持ちは一応は学会発表とかで発表は鍛えられているはずなので、ちょっと気になった。なお、個人的には、背筋をピンと伸ばしてマイクを80年代アイドル持ちして、初々しさをアピールしたい。「ちょっと、緊張しちゃってるんじゃないの」と思わせるぐらいのあざとさで攻めたいところ、30代だけど。

あと、これだけの人数がいるんだから独り1分越えたら時間たくさんかかっちゃうだろうという状況で、長々と話す人がいて、「なるほど、こういう行動が博士のステレオタイプイメージ(興味のあることを長々しゃべる)を確固たるものにしてしまうんだなぁ」と思わされた。みなさん、状況に応じてスピーチする長さを変えましょうね(自戒をこめて)。

全体的に環境・地質系、生物系の人が多めな印象だった。博士課程の学生から企業人まで、博士号取得者から未取得者、そもそも取得する気がない人まで多種多様な人がいて面白かった。

グループ別ディスカッション

今回のミーティングで方法論として面白いと思ったのはこの部分。オープン・スペース・テクノロジーという手法でディスカッションを行った。オープン・スペース・テクノロジー 5人から1000人が輪になって考えるファシリテーションという本で提案されているらしい。(以下の説明については、やり方の詳しい説明がなかったので実際の進め方から類推している)

まず、会場の壁際に複数のホワイトボードを用意する(今回は8枚くらいだった)。そして、部屋の中央にマイクを置き、それを囲むようにして椅子を円形に配置する(スペースに応じて二重円でも良い)。配置については下の図を参照。

まず、全員が椅子に座り、これから議論したいテーマがある人は、真ん中のマイクでテーマとどのような方向の議論をするのかを宣言し、その議論が行われるホワイトボードを示す(この人が一応そのディスカッションの司会になる)。これをテーマがある人分だけ繰り返す。

その後、参加者は自分の興味あるテーマのホワイトボード付近に移動し、適宜ディスカッション。興味あればずっとそこにいるし、興味がなければ別のところに動くのは自由。もし、一定時間、自分の立てたテーマに人がこなければ、そのテーマは取り下げられる。もし、あるテーマでディスカッション中に新たに議論したいテーマがでてきた場合は、中央のマイクでそのテーマを宣言し、議論が行われるホワイトボードを指定する。

議論の内容などは適宜ポストイットでまとめていき、ぺたぺたとホワイトボードに貼っていく。ミーティングの閉会の際は各ディスカッションで何が話し合われて、どういう結論がでたのかを簡単に報告する。

やり方は上記のとおり。私が理解したポイントは以下のとおり。

  1. あらかじめテーマが決められていない
  2. 結論が出たら自由にディスカッションをやめてよい
  3. 同じ部屋で行われるので面白そうなテーマに自由に移動できる(入退出に伴う心理的抵抗感が低い)
  4. あるテーマからの派生テーマを推奨する

自己紹介後の休憩の際には既に三々五々おしゃべりグループができており、私は壁の花状態でちょっと泣きそうだったのだけど、サイコムの富田さんが一人で休息しているのを見つけ、先のプレゼンテーションで触れていた「論理力の水平展開」について説明を請うことに成功。そのまま流れでディスカッションのテーマとしてもらった。

議論のテーマは私が覚えている限りでは以下のとおり。

正直、この方式はシャイな人間にはしんどい。一度、議論が始まれば結構白熱できるので、最初のテーマ群だけはこの議論の主催者側であらかじめ参加者が興味を持ちそうなテーマを選んでおくのが成功の鍵かなぁと思った。

でも、さすがは博士後期課程 or 博士号取得者 or 企業人だけあってみなさん物怖じしないことしないこと。あっさりと議論が盛り上がり、あっという間に2時間が過ぎたのは驚きだった。大学の授業でこの形式を使ったら相当注意深く行わないとお通夜みたいな授業になりそうな方法だ。

飲み会

飲み会参加者は21名程度(およそ、半数は帰宅)。全くの初対面なのに2時間くらい思い切りおしゃべりして楽しかった。全然、知らない分野の人の話もすごく面白い。

飲み会の話題で登場した東京ミネラルショーには衝撃を受けた。日本は豊かで奥深い。そういえば、ミネラルって「鉱物」って意味だったんだよなぁと改めて実感。

早く、NHKハイビジョンはハイビジョン放送でこのミネラルショーを放映すべき。一つ一つの鉱物を丹念に撮影し、石の希少性について淡々とナレーションを入れて欲しい。

あと、テレビ朝日は、早くタモリ倶楽部の製作担当ディレクターに連絡してこれを2週連続でお送りすべき。タモリさんが食いつきまくる絵が目に浮かぶようだ。

ミーティングの進め方についてのまとめ

後半のディスカッションのやり方は斬新だったし、基本的に議論が大好物な博士のみなさまにおかれては大変に楽しんだのではないかと予想。少なくとも私は大変楽しかった。