「葉千栄のNIPPONぶった斬り:2009年”世界はどう動くのか!?」をみた

2008年は、金融危機をはじめ政治、外交と国内外ともに激動の年でした。のちに「あの時が歴史の転換点だった…」と、語られるかもしれません。それだけ未曾有の出来事が頻繁に起こりました。
では、この流れを受けて2009年は、ズバリどんな年になるのか!? 政治、経済、外交問題について、各分野の専門家が、世界と日本のこれからの動きを大胆に予測します。
今月も情報満載です。是非、ご覧下さい。

  • 【司会】 
  • 【ゲスト】 
  • 田中宇  (国際情勢解説者)
  • 歳川隆雄 (インサイドライン編集長)
  • イェスパー・コール (タンタロンリサーチジャパン代表)

面白かった。コールさんと田中さんの真っ向勝負のおかげで、アメリカの再生について楽観的な考え方と悲観的な考え方の双方が見えてよかった。竹田さんは、特ダネにでているときと本気の出し方が違いすぎる。しかも、今回すっごく眠そうだった。

葉さんの中国に対するなんともいえない複雑な立ち位置は今回も健在、中国の発展はうれしいが、中国政府のやり方は嫌。そして、その中国を日本が正しく把握してくれていないことにもどかしい思いをしている様子が全開だった。

コールさんの主張の要点は「オバマ政権は2010年の中間選挙で勝つために、アメリカの景気回復策(インフラ整備、エネルギー政策など)を確実に実行する。財源は、アメリカ国民の貯蓄額とアメリカ国債でまかなう。アメリカ国債は、経済や政治をひっぱるエンジンとして今現在アメリカほど優秀な国はないので、中国や他の国々が買い支える。」

田中さんの主張の要点は「財源がないから景気回復策は打てない。理由は、以下のとおり。中国や他の国が米国債を買う理由はアメリカが一極支配をしていたため。一極支配ができないアメリカの国債を買う必要はないので買わなくなる。また、アメリカ国民が貯蓄を増やすならば、アメリカ国内の消費は落ち、よりアメリカに魅力が無くなる。よって、アメリカの国債を買う必要性がなくなる。」

これとは別に終盤のコールさんが出した問い「アメリカ以外に世界のリーダーたる意思と哲学を持った国があるのか?」は面白かった。葉さん「中国にその意思と哲学はない」。田中さん「意思と哲学が無かろうと英米は中国やロシアに覇権の扉を開けた。開いているからには外に出て行かざるを得ない」。コールさん「日本の民間企業は世界のリーダーたる意思と哲学を持つ横綱だが、政治・政府には意思も哲学もない」。で、全員納得。

またコールさんの「ハードな景気対策(金融、財政政策)とソフトな景気対策私有財産に対する規制。主に環境問題を考慮した規制)が2009年の重要なポイントである」という発言も面白かった。これにつなげて「もし、日本と中国でこれからは電気自動車しか販売しないという約束をし、その上で電気自動車の性能に関する規制を制定したならば、日本には技術があり、中国には人口があるので、ヨーロッパもアメリカも”Oh, My God!"と嘆きながらもその規制に従わざるを得ないはずだ。」というのは面白かった。確かにそうだ。

そして、またもやコールさんの「危機こそチャンスだ。危機のときこそ若者が力を得ることができるチャンスなのだから、日本はポジティブに行くべきだ。」という発言も考えさせられた。「高齢化社会もチャンスだ。財源がないからといってケチにならず、看護・介護者の給料を今までの2倍にするという政策を打つならば、これにより新たな内需を生み出すことができるはずだ。」というのも納得。

高齢者にお金がないから看護や介護者の給料が低いわけなのだから、高齢者にお金を持たせるか、看護・介護料を支援するかして、看護者・介護者に今の2倍の給料を出せるようにすればよい。高齢者は現在職がないと言われる地方に多く存在するのだから、看護・介護の需要は十分ある。しかも、介護は比較的専門性が低い職であるので従来の土木業を通しての景気対策と同様の効果が期待できる。

失業したままでほうっておけば、失業保険および生活保護で失業者を養わなければならないし、社会情勢も不安になるのだから、そこらへんをすべて勘案すればそれほどのコスト向上にはならないのではないか。また、給料が低いので日本人の働き手が少ないのだから、給料がそれなりに高くなれば日本人の働き手も集まるだろうし、介護の機械化が進めば、50代〜60代の初老・前期高齢者を介護の働き手として雇用可能だ。

平成20年の高齢化白書によれば、2010年〜2050年にかけて75歳以上の高齢者はコンスタントに2,500万人いることになる。介護者1人につきニッポンの平均年収:ホームヘルパーによれば平均年収は273万円。二倍になれば約550万円。ニッポンの平均年収:サラリーマンの平均年収が436万円なので、悪い収入ではない。平成20年度10月時点での完全失業者数は255万人なので、計算しやすくするために250万人のホームヘルパーの成り手がいると考えると。老人10人につきホームヘルパーが1人。

看護・介護業務を一種の公共事業と考え退職金を支払わない年俸制と考えることにする。そうすると、月収は、総額約46万円。月収の1.5倍の人件費がかかると考えれば、毎月69万円の人件費。この69万円を老人10人が負担するとしたら、一人約7万円。まあ、無理。一人2万円とすれば、49万円を毎月、国から支援する必要がある。年額だと49万円/人月×250万人×12ヶ月=14兆7,000億円。あれ、無理!?

一桁小さければ、今回の景気対策予算と同じくらいだから結構良い提案だと思ったんだけどなぁ。

参考: