成功するための秘訣:何度も挑戦できる環境を用意する

「仕事は楽しいかね」という本で言われていたことだけど、成功の秘訣は何回もいろいろとやってみること。でも、普通の人は何度も挑戦できない。なので、成功の秘訣はこういいかえられる「何度も挑戦できる環境を用意すること」。

最近の経済成長理論は、この「何か新しいこと」がいかなる条件のもとで創出されるかを分析することに腐心している。そして、この「何か新しいこと」が本質的には不確実であって、試行錯誤によってしか生み出されないということにすべての問題の難しさがある。
〜中略〜
経済成長の源泉が「何か新しいこと」、広い意味での新しい知識の創出であるならば、ではそうした知識の創出を促進するにはどうすればよいだろうか。
端的にいって、これが分かれば苦労はしない。経済学はとっくの昔に「奇跡」を作り出していただろう。
そのことを自戒しつつ、現代の成長理論から出てくる政策をまとめると次のようになる。
アギオンらは経済の発展水準にかかわらず、以下の4つの政策が重要であるとする。すなわち[1]所有権(知的所有権を含む)の保護、[2]金融の発展、[3]教育のある労働力、そして[4]マクロ経済の安定性である。
所有権の保護は市場経済の基本である。せっかく一生懸命蓄財をしても、それが政府に不当に没収されるようでは蓄財のインセンティブそのものが阻害されてしまう。[2]と[3]は生産要素の改善に関わる。[4]では金融政策の適切な運営がカギになる。仮に利子率(正確にいうと物価変動を除いた実質利子率)が高すぎると資本調達コストがかさみ、投資活動は抑制されてしまう。
革新は、試行錯誤の結果としてしか生まれない。そして技術フロンティアに近づくほど、試行錯誤の要素が増す。試行錯誤の機会を増やすことが政策として重要になる。技術フロンティアに接近した先進国の場合、成長政策は以上の4要因に加えて次の要素が必要になるとアギオンらはいう。すなわち[5]生産物市場における競争と参入、[6]高等教育、[7]株式市場を通じた資金調達、[8]民主主義、そして、[9]分権化された企業組織である。

試行錯誤を繰り返せる環境を作ることが政府が進めるべき経済政策であるという主張。納得。大きくは国レベルの産業発展、小さくは個人レベルでの何らかの成功まで、何度も挑戦し、飛び跳ねてみる環境を用意するのが重要みたい。

お金持ちの子どもが貧乏人の子どもよりも有利な理由は、何度も失敗できる余地の差であるということが以下の説明から分かる。(説明していることは「機会の平等」と「結果の平等」は言うが易し、行なうは難しであるということ)。