国立大学と私立大学、理系と文系の分断は避けよう

なんか左翼系政治団体の発言みたいですが。

[国の財政] 歳出〜文教及び科学振興費〜 | 税の学習コーナー|国税庁に掲載されている歳出総額の円グラフを転載。何年度の歳出総額なのかはわからない。
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今回の話題である「文教及び科学振興費」はおよそ5.3兆円。防衛関連予算が5.1兆円。内訳は以下の通り。

文教及び科学振興費は、教育や科学技術の発展のために使われています。
その内訳を見ると、例えば、公立小・中学校の教員の給与などの3分の1を負担している「義務教育費国庫負担金」に1兆5,248億円、教科書の配付や国公立大学法人・私立学校の援助のための「教育振興助成費」に2兆3,315億円が使われます。
そのほかにも公立の小・中・高等学校の校舎改築などのための支出や、育英事業費などもあり、こうした予算によって、学校での教育が運営されています。

[国の財政] 歳出〜文教及び科学振興費〜 | 税の学習コーナー|国税庁より)

平成28年度の事例だけれども私立大学への助成金は以下のとおり。3千億円弱。

(1)平成 28 年度交付学校数は 877 校、交付総額は 3,211 億 6,333 万 7 千円であり、このうち一般補助は 2,701 億 3,600 万円、特別補助は 510 億 2,733 万 7 千円となっている。(表 1)
(2)学校種別の交付額は、大学 2,968 億 8,039 万 5 千円、短期大学 238 億 31 万 4 千円、高等専門学校 4 億 8,262 万 8 千円となっている。 交付額を1校当たりに換算すると 3 億 6,620 万 7 千円となり、学校種別では、大学 5 億 2,084万 3 千円、短期大学 7,829 万 1 千円、高等専門学校 1 億 6,087 万 6 千円となっている。また、交付額を学生 1 人当たりに換算すると 15 万 8 千円となっており、学校種別では、大学 15 万 6千円、短期大学 19 万円、高等専門学校 21 万 7 千円となっている。(表 2)
私学振興事業本部:私立大学等経常費補助金より)

助成金の位置づけは以下のとおり。

私立大学等の教育研究条件の維持向上と学生の修学上の経済的負担軽減、私立大学等の経営の健全化などを目的に、日本私立学校振興・共済事業団は国から補助金の交付を受け、これを財源として全額、学校法人に対して設置学校の経常的経費を補助している。
私大の補助金交付、日大が最高額…嘉悦大ほか4校で減額 | リセマムより)

私立大学の形状的経費の1割ぐらいを担う位置づけの様子。
resemom.jp

H28年度の国立大学90校弱への運営費交付金(私立大学への助成金に該当)は総額1兆1千万円弱(参照:PDF)。
univ-journal.jp

科学研究費補助金(通称「科研費」)に代表される国の競争的資金はH26年度予算で約4千百億円(出典:PDF)。これを国公立大学、私立大学、他の研究機関が取り合う構図。

私立大学等経常費補助金の総額は国立大学運営交付金の3分の1なのでかなりの額に思えるが、700校以上の総額で3千億円であるし、「交付額(一般補助と特別補助の合計額)がもっとも高いのは『日本大学』95億2,092万7千円、ついで『早稲田大学』90億2,179万9千円、『慶應義塾大学』82億4,051万5千円だった。」(https://resemom.jp/article/2016/03/11/30290.html:出典)というように配分がべき乗則っぽい(上位2割が全体の8割を占める)ので、よくある「F欄大学の分の補助金を国立大学へ回せ」というのは実効的でないかも。

ちなみに日本大学、早稲田大学、慶応義塾大学の補助金の額はこちらの運営費交付金ランキングの35位山梨大学〜42位東京学芸大学の運営費交付金ぐらいの額。運営費交付金の決め方は基本的に2004年以前の国立大学時代の運営費交付金をベースに算出され、その後、毎年1%減額し、2016年度から各大学割り当てから一定割合召し上げて、それを取り組み内容によって傾斜配分するというもの。