自動車検査登録情報協会(自検協)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の見解が知りたいところ

公開データの想定外利用の問題で書いたIT Pro:駐車場綜研、自動車ナンバープレート解析し「町名」を把握するサービス開始の続き。自動車検査登録情報協会全国軽自動車協会連合会が問題。

読み取ったナンバーのリストを、駐車場綜研が自動車検査登録情報協会(自検協)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)に送信すると、車検証に記載された車種とメーカー、町名や大字までの住所が返信される。丁目や番地、氏名は除かれており「個人情報には当たらない」と同社は説明する。

またこの見解か!という感じ。

プライバシーについては、ウォーレン・ブランダイスが発表した論文の中で、「the right to be let alone(一人で居させてもらいたいという権利)」として定義されたが、その後、現代においては、「自己についての情報をコントロールする権利」、「個人に関する情報の流れをコントロールする権利」、または「自己情報コントロール権」が新たな包括的定義として登場してきている

一方、個人情報の保護については、平成 15 年に成立し、平成 17 年から全面施行された個人情報保護法で定められている。個人情報保護法第 2 条第 1 項では、「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。」としている。

プライバシーと個人情報は重なる部分があるものの、異なった概念である。従って、個人情報保護法では個人情報の取扱いとは関係のないプライバシーの問題などは、対象とならないとしている4。例えば、プライバシーの侵害とされない公知の事実であっても個人情報であれば個人情報保護法の対象となる。逆に、個人情報保護法を遵守していても、プライバシーの侵害とみなされる場合もありうる。
総務省:行動ターゲティング広告の経済効果と利用者保護に関する調査研究 報告書 p. 26 「3-1 プライバシー、セキュリティ上の懸念」より)

行動ターゲティング広告においては、利用者の閲覧情報等の行動履歴が収集、利用される。通常、行動履歴それ自体は個人を識別する情報とはならない場合が多いと考えられるが、行動履歴が個人識別情報と照合されうる場面では問題が生じうる。現在、以下の 3 点が主要な懸念となっている。

  1. 個人識別情報と紐付けられた行動履歴が漏洩し、プライバシーが損なわれる懸念
  2. 個人識別情報と紐付け可能な行動履歴が個人識別情報と紐付けられた場合にプライバシーが損なわれる懸念(特に、書籍の購買履歴や疾病に関する検索履歴などを通じ、思想・信条や身体に関する機微情報が明らかになる懸念)
  3. 個人識別情報と紐付け可能な行動履歴に関する情報が第三者に提供されたり、あるいは、漏洩した場合に、第三者により個人識別情報と照合され、プライバシーが損なわれる懸念

上記のうち、1. 個人識別情報と紐付けられた行動履歴については、既に個人情報保護法の保護の範疇であり、適切なセキュリティ対策が議論の中心となる。もっとも、行動ターゲティング広告で用いられる情報の中で何が個人識別情報となりうるかについては議論の余地があり、この点については「(4)行動ターゲティング広告で用いられる情報の個人情報該当性の検討」で整理を行う。

他方、2.、3.はプライバシーに関する問題であり、その場合の個人情報保護法との関係が議論の中心となる。
総務省:行動ターゲティング広告の経済効果と利用者保護に関する調査研究 報告書 p. 26 「3-1 プライバシー、セキュリティ上の懸念」より)

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